舟を編む

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著者 : 三浦しをん
  • 光文社 (2011年9月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927769

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舟を編むの感想・レビュー・書評

  • 言葉を愛するすべての人に、読んでもらいたい一冊です。

    目をつぶって辞書を開き、その頁で見つけたお気に入りの言葉を
    ノートに書きつけるのが大好きだった、幼いころの私。
    若かりし頃は、初めてのバイト料をもらったボーイフレンドに、
    「プレゼントは何がいい?」と聞かれ、迷わず「広辞苑♪」と答えたけれど
    今ならぜったい、馬締たちが編んだ「大渡海♪♪♪」と答えるのに。

    時間も金も食うお荷物部署扱いされ、予算も人員も削られても
    常に用例採集カード片手に言葉を集め、時代に沿った語釈を捻り出し
    十数年かけて『大渡海』を編纂する、玄武書房辞書編集部。

    彼らが思い描く辞書は、「美しい日本語を守る会」のお歴々が厳かに頷くような
    古式ゆかしい日本語が行儀よく陳列された、棺桶みたいな辞書ではない。
    湧き上がる人の思いから生まれ、口遊まれ、綴られ、変化し、受け継がれていく
    生きた言葉がひしめきあう、胸躍る世界。

    何百年も受け継がれてきた言葉に心から敬意を払いつつ
    時代の波に洗われて変わっていく言葉、新たに生まれ落ちる言葉も
    大いに楽しみ、受け入れる『大渡海』の物語は
    古今の名著も、漫画もBLも同人誌も、等しく尊重し熱愛する
    三浦しをんさんが描くからこそ、こんなに心に響くのです。

    そして、言葉に精通する馬締や松本先生や荒木だけを祭り上げるのではなく
    辞書を開いた流れ者が、「西行」の項目に「遍歴するひと、流れもの」の語釈を発見し
    心強く感じる光景を思い浮かべて、この語釈を採用すべきだと主張し
    宣伝広告部に異動になり、辞書編纂に直接関わらなくなっても
    馬締たちを渾身の力でサポートすると密かに誓う、西岡のような存在にも
    ちゃんと光を当ててくれているのが、とてもうれしい。

    ブクログのレビューを書きながら、本への思いが溢れ過ぎて
    「ああ、またムダな言葉ばっかり!どうしてもっと簡潔に書けないの?!」
    と自己嫌悪に陥る毎日。
    そんな私の背中を、この本が、誰かに思いを届けるために
    拙くても、不恰好でも、心を映した言葉を勇気をもって差し出し続けていいのだと
    言葉の海に向かって、ぽん、と押し出してくれました。

  • 登場人物のキャラクターがそれぞれ魅力的で、おもしろかったです。
    難しそうな辞書作りの世界が描かれているのですが、
    とても読みやすいお話でした。
    辞書を作るって大変なお仕事なのですね。
    子供の頃から使っていたけれど、あまり意識したことがないものでした。

    読み終わって辞書のページをめくりたくなり、探したけれどみつからず。
    最近はネットで検索することがあたりまえになっていて、
    辞書が行方不明に。。。
    また辞書を使ってみたくなりました。

  • あまり見聞きすることのない、辞書編纂にかかわる人たちの仕事を垣間見ることができ興味深い。それぞれの登場人物の、仕事への情熱や辞書に対する愛着と思い入れが伝わってくる。

    馬締くんをはじめどの人も魅力的だけれど、少し屈折した西岡くんがいい。「だれかの情熱に、情熱で応えること」(P140)こんな風に自分は仕事しているかな、ちょっと自分を振り返りたくなる。馬締くんや松本先生のようにスペシャリストとして一本筋の入った仕事ができるのはとても大変だけれど幸せなことだと思う。けれど多くの人は西岡くんのように、自分の仕事に自信が持てないまま、それでも目の前のことを誠実に続ける。その結果、後から振り返ってみればほんの少し前進していたと、わずかに満たされた気持ちが生まれる。その繰り返しなのではないかな。それが誰かの役にたてて、その人が少しでも楽になるならいいなと思う。

  • 本好きには堪らない小説だった。
    物語の展開は先読みできる。
    でも白けるのではなく、読者をちゃんと連れて行ってくれる感じ。
    まわりの空気、行き先、そして乗っている人の気持ちを感じながら舟を漕いでくれてる感じ。

    辞書編さんの息遣いや心意気を知った。
    本書を子どもの頃に読んでいたら辞書のすばらしさをもっと感じたのかもしれない。
    とても損した気分。

    言葉は時と場所を越えていける。
    本となって。

    きっと数十年経つと紙である本は貴重なものになっているでしょう。
    紙も含めての本の価値が訴求できなくなると、言葉、言葉を紡いだ物語の力がもっと必要になるでしょう。
    デジタルによって音や画像、動画によってデコレーションされたとしても。

    言葉の大切さを改めて私に刻んでくれた本となりました。

  • CLASSYに掲載されていたんですね。
    なるほど。少し違和感。

    「ノーザン・ブラック」にいた岸辺さんの突然の登場は
    「CLASSY」に由来していたのかな。


    最初はなんで「舟を編む」なんだろうと
    謎だったのですが、その説明を目にしたら
    感動してしまい泣けてきました。

    「大渡海」を完成させるために費やした日々。
    静かだけど熱い想い、仲間と絆に感動しました。

    「上る」と「登る」の説明とかも分かりやすくって
    「死語」もあるから、言葉って本当に生き物
    と同じなんだな~と。

    =はじめに言葉ありき=という言葉も
    あるから、言葉は人間だけに与えられた大切なもの
    なんだよね、と何度も感動した。

    ただ途中から駆け足過ぎて、ちょっと勿体ない
    気がした。
    (風が強く吹いている並の厚さがほしかった)
    (CLASSYに連載だから仕方がないよね)
    あと映画もDVD借りて見たいなぁ~と思った。

    最後は泣いたのはもちろんだけど西岡チャラ男の
    シーンでも不覚にも泣けた。
    西岡一番好きかもしれない。
    まじめくんが香具矢さんを「俺の配偶者です」って、
    「俺」という言葉にちょっと衝撃を感じた∑(゚Д゚)

    そして辞書がとても愛おしくなりますね♪
    PC検索だけでなく、たまには辞書を引こうかな!

  • 思わず笑ってしまった。純粋に面白かった。辞書の編纂にかかわって行く人の情熱がこちらにも伝わってきてこれからはもっと辞書と真剣に向き合わなければという気持ちになった。
    実は三浦しをんの有名作品はことごとく挫折して読了したのは初。こんなに面白い作品を書く作家だったんだ。他の作品も読まねば!

  • ぴしり、と一語も取りこぼすことも無く、
    全ては整然と辞書内に収められてはいるが。

    7個集めさえすれば
    神竜(シェンロン)が現れるドラゴンボールとは違って、
    此の世に存在する全ての言語の収集となると、
    (これは途方も無い冒険となるぞ。)
    という予想は容易く出来た。

    …が。
    人は、その完成に挑む。

    自身の人生を全てかけてもすべき事だと確信したなら、
    旅立つ事が出来る。

    師匠に教えを請いながら、
    恋人に支えられながら、
    同じ志を持つ仲間と共に。

    『舟を編む』と言うタイトルからは、
    一語、一語を紡ぐように、編みこむようにして、
    巨大な舟を完成させたイメージを受けたが、
    それと同時に、
    辞書制作に携わった全ての人達の強い繋がりをも、強く感じる事ができた。

    生涯をかけてひとつの仕事に取り組んだ人達の
    実は(終わり無き航海)は、
    『大渡海』完成後も、おそらくまだまだ続く。

    船首に立ち、大海原を眺める戦士達の目にうつるは、
    刻一刻とその姿を変えてゆく、まるで生き物の様な言葉のうねり…

  • 言葉について勉強していた高校生の頃、有名な作家の先生から
    「まずは辞書を読んで君の中の世界を広げなさい」
    とアドバイスをもらって、早速辞書を読み始めたものの
    先生の本当に意図するところも汲み取れないまま
    辞書を読むことにすぐに退屈してしまった。

    そして、今になってこの本と出合ってやっと本当の意味で
    先生の意図していたことがしっかりと心に染み渡り、
    遅まきながら天啓をもらったような大切な1冊に。

    辞書を作ることは大変なことだろうとは思っていたけど
    こんなにも情熱も根気も必要な、熱量の詰まった本だったとは。
    辞書とは何か、辞書を作るということは、作る人たちの日々は…
    すべてがほんとうにおもしろくテンポよく感動的でした。

    聞きなれない単語や変わった言葉の用法があれば
    すぐに用例採集カードに書き込み、その言葉のさまざまな
    意味、語釈を考え、1つ1つの言葉を解釈し定義づけをし向き合う24時間。

    当たり前のことだけど、今更になって辞書はたくさんの作る人と
    使う人が長い年月をかけて、消したり足したり直したりを重ねて
    今もなお進化し続けている終わりのない本なんだなぁと。

    気長に、細かい作業を厭わず、言葉に耽溺しながらも
    溺れきらず広い視野を持って辞書に携わる。
    ほんとに果てしなく永遠に続く言葉の海を渡る辞書という舟。

    そんな舟を作る日々の仕事と同時にこの本で進行していく人間関係と恋。
    これもまた、しをんさんの言葉で読んでいくと
    するするといろんなことが腑に落ちたり、合点がいったり。

    真っ直ぐに突き進む人、戸惑う人、葛藤する人、
    いろんなキモチを抱えながら関わることでよりいい道を力強く歩める
    そんな人間関係が作られていく過程も読んでいてとても気持ちがよかった。

    昔と目指す道は変わった今だけど、やっと辞書としっかりと向き合って
    教えてもらうべき大切なことを受け取れるような気がしました。
    今から辞書を開くのが楽しみです。

  • 考えたこともなかった世界を知ることができるのも読書の楽しさのひとつ。本書もまさにそう。
    私は今まで辞書をひく時、何故だかその答えは絶対的なものであると疑いもなく思っていた。だから、辞書を作る人のことや、その人たちの熱い思い、辞書が出来上がるまでの気が遠くなりそうな経緯や努力など、考えたこともなかった。あらためて感服!実際に『大渡海』を手にとってみることができたら…。
    馬締さん、西岡さん、香具矢さん…登場人物が皆々ステキ。またいつかゆっくり読みなおしてみたい。

  • タイトルから想像するに、海洋とか舟にまつわるお話かと思っていたら、なんと、辞書!!
    それにしても、何とおもしろい!!

    そして、辞書出版の何と大変なこと・・・今更ながら、あの膨大な量の言葉を編纂しているのは、人間なんだなあと再認識する。

    まじめさんのキャラの素敵なこと、桁外れの辞書づくりのセンスと適性を持つ彼が、香具矢さんに「好きです」と伝えるシーンは泣けた。「好きです」の4文字にこめられた彼の気持ちの重さ、深さ。それを考えると、もう、泣くしかなかった。

    言葉は絶えず動き、変わっていく。それを残したいと願う人たちがいるって、何と素晴らしいことなんだろう。敬意を感じずにはいられない。
    私も、言葉を大切にしよう。そして、人を傷つけるためではなく、救うために、癒すために、言葉を使っていきたいと、強く思った。

  • 期待して読んだが、期待の3倍くらいおもしろかった! こんなに笑ったり泣いたりして読んだのは久しぶりだー。 
    三浦しをんさんの「プロットがわかる、透ける感じ」がたまに苦手だったのですが、まあそんなことを超越して、主人公も脇役も魅力的であっというまに読んでしまった。これは、うまい。
    文章も美しいほどにきれいだし、会話も描写も手紙もおもしろい!自宅にて前半、吹き出しながら読む。
    題材「辞書」もいままでにはない世界を見せてくれるし、最後は泣いてしまったし、良質なエンターテイメントだったなあ、と思います。
    ところでまじめくんに松田龍平をキャスティングしたひとに拍手喝采。

  • うおー!おもしろかった…!
    西岡の異動が辛くて、(そこまで読んでは閉じ、読んでは閉じ…)2年も寝かしてしまっていたことを激しく後悔です。

    一つのものを作るのに多くの人が魂をこめている。辞書を作るのに人生をかけている人がいる。みんななんてかっこいいんでしょう。
    最後、辞書が出来上がる場面ではボロ泣きしてしまいました。
    何気なく使っていた辞書。実は自分を導くための、生きる中で必要不可欠な言葉を理解するための指針だったということに、今更ながらに気付かされました。そして、月並みな感想しか言えなくて辛いですが…言葉って本当に大切なんだなと思いました。

    主人公他、辞書に対してまっすぐの情熱を持っている人々にこちらも本当に熱くなりました。
    でも西岡のように飄々としているようで熱い男もやっぱ好きだなぁ。
    卑屈になったりプライドがあったりという人間らしさ、夢中になれるものがなく悩む姿にも共感します。
    これでいいんだ!という自分が納得できる生き方が見つかってよかったです。
    馬締の無意識の優しさにも最後救われました…。

    言葉について考えさせられる作品であると同時に、働くことについて考えさせられ、どんな場所でもがんばろう、全力を尽くそうという気持ちにもさせてくれる作品でした。
    本当におもしろかった!
    映画も気になります。

  • お待ちしていました!ようやく読めた!
    辞書を作成する流れはよくわかったけど、話がバタバタしてるような。
    登場はキョーレツだった馬締さんだけど、なぜか途中から彼の成長物語は略されて、後半、いきなりバリバリの主任で活躍してる。うーん。もう少しヘタレぶりを楽しみたかったな。
    安岡さんや岸辺さんの悶々した心持の方が印象的で、馬締さんの印象が薄くなってる。
    それでも、1つの辞書を作るために膨大な時間と労力をささげた、辞書編纂部(学生バイト含む)の熱さに打たれるラスト。
    荒木さんと松本先生の一本気なところ好きだった。
    素敵なチームプレイでした。
    「仏果を得ず」をつい思い出し、お仕事のススメ的なシリーズ?とも考えたり。

    森見さんに対抗するかのような、馬締さんのラブレターが好き。
    「香久矢香具矢、若を奈何せん」
    「ご自愛専一に」
    このラブレターで「たくさんの言葉を可能なかぎり正確に集めることは、歪みの少ない鏡を手に入れることだ。歪みが少なければ少ないほど、そこに心を映して相手に差し出したとき、気持ちや考えかわ深くはっきりと伝わる。一緒に鏡を覗き込んで、笑ったり泣いたり怒ったりできる。」なんて境地になっちゃう岸辺さんも素質あり。
    安岡さんいうところの馬締さんの「飄々として見えるくせに、魂の熱量(カロリー)過多なんだよ、おまえは」
    を岸辺さんも感じてるのかな。
    そんな安岡さんもチャラいのに熱いし。
    細々したエピソードは全部しをんさんの創作なんだろうか?「情が深いが、去り際のきれいな女」とかウチの上司がいいそうなんだけど!リアルすぎる。

    「なにかを生み出すためには、言葉がいる。岸辺はふと、はるか昔に地球上を覆っていたという、生命が誕生するまえの海を想像した。混沌とし、ただ蠢くばかりだった濃厚な液体を。ひとのなかにも、同じような海がある。そこに言葉という落雷があってはじめて、すべては生まれてくる。愛も心も。言葉によって象られ、昏い海から浮かび上がってくる。」

    「死者とつながり、まだ生まれ来ぬものたちとつながるために、ひとは言葉を生み出した。」

    こういうのに、本当に弱いんだって!

  • 本屋さんにいくといつもおすすめコーナーに置いてあり、いつも気になってじーっと見ていたものの、"辞書の話"ということで勝手に難しそうと思い込みなかなか手を付けられなかったのですが、今はそれを後悔しています。なんでもっと早くに読まなかったのか!

    とにかく登場人物の一人一人が輝いていて素敵です。
    話の流れも、まるで自分も辞書編集部に携わっているかのようで、最初から最後までのめり込んでしまい、最後は一緒になって喜び涙してしまいました。
    「舟を編む」の装丁が「大渡海」の装丁を模しているのも、また良いですね。
    思わず本をぐるりと回してまじまじと見てしまいましたよ。
    読んでいる最中も、読み終わった後もやさしい気持ちになれる一冊です。
    この本に出会えて良かった!そして個人的に西岡が一番お気に入りで感情移入しやすかったです。

  • 本文中には、とてもいい言葉が随所に散りばめられています。

    『舟を編む』は、読み終えたときに、本当にいい本に出会えたと深く実感できる小説だと私は思います。



    「言葉」というものは、本当に不思議なもので、たとえ、まったく同じ言葉を使った表現でも、その時々や状況によっては、

    人を大きく勇気づけて励ますこともあるし、逆にかえって、人を傷つけることもある。


    たとえば、人一倍に一生懸命努力しても、全然成果に恵まれず、もがき苦しんでいる仲間が自分のすぐ近くにいたとして、

    「がんばって!」と励ましの声をかけることが良いかどうか。

    もしかしたら、「もうこれ以上、がんばらなくてもいいんだよ!」と、そっと優しく声をかける方が良いこともあるかもしれない。



    しかしながら、いずれにせよ、
    誰もが言葉を使って、自分の心に秘めた思いや考えを相手に伝えることには変わりないのだということを、本書は改めて実感させてくれました。



    「完璧な辞書を作ることはだれもできないとわかっていても、言葉を使って思いを伝えようとするひとがいるかぎり、俺は全力でこの仕事を為し遂げてみせる。」
    (p.72より引用)


    このフレーズは、本当にかっこいいと私は思います。

  • 情が深いが去り際のきれいな女―何のたとえ?
    これは、なんと紙質のこと。辞書作りは紙の新開発から始まる。めくりにくかったら命取り・・薄さも重要ですが、この指に吸い付くようで次の瞬間、きれいに一枚だけめくれるこの「ぬめり感」が大事なのだそうです。
    終始、こんな具合に新しい知識の泉に本書は溢れていて、心がワクワク踊らされぱなしでした。
    出版社内の地味な位置故の経済的事情の駆け引きの中、一冊の新しい辞書を作るためには、十数年以上に渡る月日と労力、そして何よりも関わった人達の、正に身を捧げるということや、情熱の波動(だれかの情熱には情熱で応える)あってこそなのですね!
    全ての仕事につながるであろうこの姿勢は自身も省みるきっかけにもなりました。

    面白くて感動して、泣けてきて、早くも「今年度マイベスト本」に出会ってしまった感です。想像力を掻き立てるユニークな熱い登場人物たちの面々が、大、大好きになりました。「俺たちは舟を編んだ」←その通り!

    本書を読んでいる間、自分自身が大きな海原に揺られているような、包み込まれているような幸福感を味わうことができました。

  • マジ最高!!
    西岡の言葉で言えばこうなるのでしょうか(笑)とても楽しく読む事ができました。

    この作品、本屋大賞を獲ったという事で、書店に行くたび目に付くもなかなか手が伸びず。何故ならタイトルとカバーのデザインから、勝手に堅苦しい文学作品とばかり思い込んでいたのです。しかも当時は三浦しをんさんの事も知らなかったので、完全に食わず嫌いでした。
    辞書編集という地味なテーマを、こんなにワクワクする気持ちにさせてくれたしをんさんにありがとうと言いたいです。

    主役の馬締は見た目もモサく性格も変わり者、ただの根暗な人物を西岡のチャラいキャラが上手く絡み合って絶妙なバランスだったと思います。西岡もただのチャラ男ではなく、自分なりに一生懸命生きている所にとても好感がもてました。誰の人生にも、こういう人物ってけっこう必要だったりしますよね。

    ラストはとても静かで穏やかで、胸にジーンと込み上げるものがありました。
    普段使ってる言葉なんて殆ど意味なんて考えないけど、とても奥深いものなんだなと改めて思いました。辞書をめくって言葉をひいてみたくなりました。

  • 一言で言うと、地味。でもキラキラしてる。
    矛盾してるけどそんな感じです。
    これは本屋大賞として納得できます。
    辞書の編纂なんて普段考えもせず辞書を使ってるけど、
    確かにあれだけの物を作るには時間も手間もお金もかかります。
    滅多に買わないけど買うときは必ず「高い」と思って買う。
    平易な文章で馴染みのない世界を活写する文章・構成は流石の一言。
    話の進行としては淡泊ですが、
    恋愛や出版業界の裏事情などを合わせて描くことで
    読者を飽きさせていないと思います。
    西岡さんは軽薄そうに見えるけど、すっごい良い人でほっこり。
    真締と松本先生がそば屋で話すシーンは、
    冒頭のシーンを思い出してグッときました。
    何年後とか結構飛び飛びなので、その間にあったことなども読んでみたいです。
    今までより辞書に興味を持てるようになりました。
    ここまで熱中できる何かがあるというのはすごいことだと思います。

  • 評判通りのよい本でした。言葉や辞書にかける情熱を感じるとともに、紙の辞書を持たずとも生活している今に対して複雑な感情を持ってしまいました。物語としてテンポが良く、登場人物が多くはないけどみんな輝いていて、爽やかなきもちになりました。
    以前の部署で、帳票を作成する仕事をしていたので、紙質へのこだわりに共感を覚えたのも良かったと思います。

  • 2012年本屋大賞受賞作として話題になっていた本で、心待ちにしていた本が手にできた。
    意外にも本の厚みがなく驚いたのが第一印象。
    でも、読み始めると内容とのギャップで重みを感じずにはいられない程、愛おしく感動させられた。
    後半になって解ったけど本の装幀もそういう事だったのねと感心させられました。

    玄武書房に勤める馬締光也を中心として松本先生や荒木さんや辞書編集部員によって、15年もの期間を経て新しい辞書『大渡海』編纂される物語だが、私事、日常綺麗に飾られてる辞書、たまに引く事あっても読む事の無い辞書にこんな御苦労があったと脱帽です。ゆっくりと読みたくなりました。

    長い時間待った甲斐があり、また素敵な本に出会え良かった。

    もうすぐ、4月13日 松田龍平&宮崎あおいさんの主演で
    映画公開されます。
    こちらも楽しみですね♪

  •  この本、本屋さんの棚に並んでいる時、「いい本だなぁ」って、ずっと思ってた。そして、初めて手にした時、「カバーはハードじゃないんだ」って、その感触がとても嬉しかった。本の装丁が気に入ったのって本当に久しぶり。ちなみに、私が大好きな本の装丁は、中央公論社版「チェーホフ全集」。かなり古いけど、これ以来かな。
     この本の装丁って、物語に出てくる『大渡海』のそれを模したものなんですよね。そう気が付いて、本屋の店員さんがくるんでくれた茶紙のカバーを外してみたら、「夜の海のような濃い藍色」のカバーが、ぱらりと落ちて、本体の表紙と裏表紙には"マンガ"がべたべたと……。なんだよこれ。
     本の、小説の中身をそのまま、この装丁が体現している。率直にそう感じました。
     辞書の編集の世界や、出版の裏話、そして言葉に対する洞察の面白さ、どれも素晴らしいです。例えば、「あがる」と「のぼる」の違いとか。
     でも、その反面、
     「香具矢さん、ですよね。いいお名前だなあ」
     「……暴走族の壁の落書きみたいで、自分ではあまり……」
    暴走族の壁の落書きみたいな名前って何ですか。また「空気が餅のように詰まり」「木製の東京タワーのごときもの」「ヌッポロ一番のジャンクな味」、理解不能。また、今の若者が使っているのかなとも推察するのですが、「なんだかなぁ」って、どう言う意味。それから、創作作品だから、あまり言いたくないのですが、漢字と送り仮名、常用漢字以外の漢字使用など、辞書をテーマとしている作品だけに、配慮がほしい。エトセトラ……。

     「たくさんの言葉を、可能なかぎり正確に集めることは、歪みの少ない鏡を手に入れることだ」

     こんなに素晴らしいフレーズがあるのに、

     「これを書いた当時の馬締の首を絞めてやりたい気分だ」

     この用例を、近未来の辞書編纂者が、「舟を編む」を出典として採用したらと思うと、私は日本語を愛する一人として悲しいです。

     映画やテレビドラマにしたら、とっても面白く、かつ感動すると思います。そのネタ本、っていうかまぁ原作本でしょうね。

  • ココロに残ったところ
    「思い入れのあるひとやもののよさを熱弁する姿は、鬱陶しく滑稽だけれど、どこか憎めない」

    マジメ君のように思い入れのある対象に、異常なほど素直にのめりこむことができて、かつそれが仕事として成立する人はほとんどいないと思う。
    それは変人、または天才と呼ばれると思う。

    そんなマジメ君のそばで、彼をからかいながらも嫉妬と羨望の目で見つめる西岡が最も凡人で、最も感情移入しやすかった。
    つい、「マジメ君のように、自分を忘れるほどのめりこめる物がある人は幸せだよなあ」とそこばかりに注目してしまうが、
    彼の行動がただの自己満足ではなく独りよがりではなく、仕事、として成立するためには、西岡のようにお付き合いや営業まわりを得意とする人などの「マジメ」君ではない人たちが要るということを忘れてはならない。

  • 幾ら褒めても褒め足りない、、、って大袈裟かな?

    とりあえず映画化に乾杯!
    http://fune-wo-amu.asmik-ace.co.jp/

  • 言葉にこだわる人は、人一倍、他人と繋がりたい気持ちが強いのかもしれない。
    その時々の衝動を、感動を、伝えたい。分かってもらいたい。
    だから遮二無二言葉を探す。
    パズルのピースのように、その時々を表現してくれる言葉が絶対にある。
    悩んで苦しんでも、それを探し当てたときの喜びは、計り知れない。

    語彙が多い人は、しあわせ。

  • 辞書を作る人達のお話し。言葉に情熱を注ぐ人達は傍から見ると変人であるけれど実に愛すべき方々である。このように細かい根気のいる作業を嫌がらずむしろ天命のように取り掛かってくれる人達のおかげで辞書は出来るのだ。私が学生時代に使っていた辞書が作られる裏にこんな物語があったのかも?と思うと胸が熱くなった。馬締さんや西岡さんの人柄もよかった。爆笑し、最後には嗚咽しそうになった素晴らしい傑作!

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舟を編むの作品紹介

玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。
定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。
個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。
しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか

2012年本屋大賞第1位受賞作

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