涅槃の雪

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927783

感想・レビュー・書評

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  • 最初はちょっと良く分からなく、門佑も面白くない人物に思えましたが、お卯乃とのからみから、人間味が出てきて楽しくなりました。
    遠山のお奉行も、よく時代劇のテレビで見ていたので、想像しやすかったし、そのイメージで描かれていたので、読みやすかったです。
    最後は何となくそうだろうとは思いましたが、門佑と同じタイミングで知りたかったです。
    とても良い終わり方だと思いますが、もやもやしたものが残ってしまいました。

  • 時代物は残虐な描写が少ないので読みやすい。

  • つらい時代に生きた人達。
    鳥居さんの違う見方ができたわ。

  • 水野忠邦の天保の改革が行われ
    豪奢なもの華美なものが贅沢品として
    どんどん取り締まられるようになり
    庶民を圧迫していた時代。
    吟味方与力の眼光鋭く背も高い通称「鷹門」こと
    高安門佑は新任の北町奉行、遠山に気に入られて…

    清すぎる水には魚は住めないとはよく言ったもので
    庶民の暮らし目線で描かれている天保の改革は
    さぞかし窮屈だったろうなぁ、と興味深かった。
    遠山様こと遠山の金さんもテレビなどで
    知っているわかりやすい英雄像しか知らなかったので
    同志ともいえる存在、
    敵対している奉行などいたんだなぁ…
    わかりやすく「悪役」ではなくそれぞれの信念があって
    その結果が必ずしも良い政治となるとも言えず…

    政治が庶民に与える影響と
    仕事の板ばさみ、元女郎である卯乃への想い
    ひたすら家門にこだわる厳格な姉との確執。
    文章も読みやすいので一気に読めた。

    前に(恋細工かな?)でやりきれない読後感だった
    覚えがあったのでこれも寂しい感じで終わるんだろうな…
    と思っていたので、この終わり方は
    ちょっと嬉しかった…
    主人公、鷹門の不器用さゆえに感じる孤独と
    涅槃に降り積もるただただ真白な雪の
    静かな感じがよくあっていますね。
    出来すぎなラストという評価もあるけど
    鷹門が寂しいままでなくて本当によかった。

  • 天保の改革あたりの物語。
    鳥居耀蔵やら遠山金四郎やらでてまいります。
    西條ファンにはうれしいことながら、烏金与力の高安さまが登場。
    鳥居が水野、遠山より長生きして明治をみた、という一説が面白かった。

  • 「涅槃雪」とは冬の終わりに降る雪だそうな。
    人と人とのやり取りが降り積もって、「春」「次の巡り」を予感させる様な、穏やかな読後感の本でした。


    個人的には、同じ作者だったら『四色の藍』の方が色々な見方ができて好きだったかなー。

  • 天保の改革を北町奉行の与力、高安門佑の視点で描いた短編集。
    途中で少し退屈さも感じましたが、鳥居耀蔵が登場してからの展開は軽快だった。

    江戸が東京となった晩年の鳥居耀蔵の動向にも触れていて、鳥居を主役にした話を読んでみたいと思いました。

  • どんな禁令も、人の心は縛れない。  新任の北町奉行・遠山景元の信頼厚い吟味方与力・高安門佑は、ある事件をきっかけに、お卯乃という元女郎と同居することになった。口のきき方も知らず家事もできないお卯乃だが、話し相手としては悪くない。そう思いはじめた矢先、天保の改革が発布され、江戸の世情は一変した。遠山は南町奉行・矢部定謙とともに、改革を主導する老中首座・水野忠邦と対立する。そんな両奉行と門佑たちの前に、冷酷非情と恐れられる目付・鳥居耀蔵が立ちふさがった。  厳しい締め付けに生気を奪われた江戸、そして、門佑とお卯乃の行く末は--。

  • 江戸も終わりが近づいた時代の奉行、そして与力の世界を描いた連作集。
    新しいものはないが、地味に読ませるうまさがある。
    ただ、このジャンルは偉大な先人が多いので、目立てるかというと今後に期待ですね。

  • どうもねえ、話がパッとしないんだけど。
    だらだらと、ありきたりな話で終わってしまった。

著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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