- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334927882
作品紹介・あらすじ
兼業漫画家の立石晴奈がまだ幼かった頃、家族旅行中に放火にあい、実家が全焼した。燃えさかる家の中から写真が一枚出てきたのだが、写っていたのは家族の誰も知らない女性だった。この出来事は立石家にとって長年の謎になっている。馴染みのバーのバーテンダー・柳井にその話をすると、常連の炭津は「名探偵」だから話してみては、という。晴奈は炭津に事件のあらましを語るのだが-。
感想・レビュー・書評
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炭津と名乗る紳士は幽霊だった。バーテンダーの柳井は幽霊を見ることができてなおかつ冷静でいられるという特異な性質である。まずこの設定が面白かった。幽霊を実体と思えるのはその人が死んだことを知らない人もしくは生前面識のなかった人、というルールも面白い。そこがラストの切なさへつながっていくわけだ。
たくさんの謎が何重にも重なりあっていて、しかも炭津の説明の仕方が非常に細かくまだるっこしいときもあるが、これが松尾さんの持ち味でもある。
「立石家の謎」が解明されるとき、人の心の際どさが明かされる。人はなんてささいなことで傷つき恨みを持ってしまうのだろう。
松尾さんの本はなかなか出ないので、待望の1冊であった。堪能した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人生は自己満足。煙も、サクランボも、バーテンダーも。満足するって難しい。
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23ごめんなさい。最後に主人公が種明かし。しかも回りくどい。あかんで!
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「幽霊」でありながら現世にとどまり続ける炭津。バーにたむろする炭津だが、最近、ある女性と知り合い……。西澤保彦さんっぽいハードボイルドな感じもあり、かつ、ラストは松尾由美さんのほかの作品のようなしっとりとしたよいラストでした。おすすめ。
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広義の意味でミステリに入ると思う。
折角の設定なので短編連作集などにしたほうがより引き締まった感じになったかと思われる。 -
ユーモアがあっておしゃれなストーリー。
そして、ラストがまた素敵。 -
やっぱりこの人は色々ジャンルが混ざっている方が面白いと思う。
バーにいる紳士の幽霊。彼が逝けずにいる理由。
残された中折れ帽もいい味わい。
未練というと湿っぽいけど、今回は煙の苦さといいましょうか。主人公の年齢が枯れてるからかな。
前に読んだ花屋と作家の恋愛物よりずっと良かった。
とはいえ、『雨恋』を超えないのだけれど。
装幀 / 高柳 雅人
装画 / 小林 万希子
初出 / 『小説宝石』2010年9月号~2011年8月号 -
幽霊探偵!?不思議な話しだけど、それなりに楽しめた♪
2014.4.18 -
大人のミステリーと帯にあるように少しほろ苦いお話。生前を知る人には見えず、知らない人には見える幽霊の炭津。幽霊ならではの悩みや特性などが面白かった。終わり方は結構好きかな。2012/336