夜鳴きめし屋

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928100

作品紹介・あらすじ

本所五間堀の「鳳来堂」。若主の長五郎が調えた美味い酒と肴、そして親譲りの心意気に惹かれてまた一人、今宵も暖簾をくぐる-。時代小説の第一人者が描く江戸の情けと心ばえ。

感想・レビュー・書評

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  • うわあー、こういうの好きぃ...
    江戸時代の暮らしぶりを追体験できて、ちょっとしたトラブルはあるけどミステリーまでとはいかないから安心して楽しめる「こういうのでいいんだよ系」。

    江戸の本所にある骨董屋を営業していた父親が亡くなり骨董屋経営には才能がなかった息子が始めた深夜営業の居酒屋「鳳来堂」。主人の長五郎とそのお客さんたちによる人情話。
    今も独身の長五郎。若い頃恋仲になって10年会っていなかった芸者のみさ吉。彼女の夫が亡くなったことがきっかけでみさ吉の現在の状況を知ることになる長五郎ですが、なんとみさ吉の息子のタネは長五郎だったということを耳にします。びっくり&みさ吉のことが気に掛かっていると、その例の息子が「鳳来堂」にめしを食いにきた。。。ヒューウ!(*ノ∀ノ)

    去年牛嶋神社大祭で本所を廻ったから、「あ、あのあたりかぁー」なんて思いながら読んだり、長五郎が野菜を仕入れに行く「やっちゃ場(青物市場)」という単語を見つけて、そういえば高校生の時に地元でバイトしていたお店の名前が「やっちゃ場」だったけなぁと思い出してまだ営業しているか調べたり(もうない)。
    登場人物それぞれの江戸っ子言葉とか芸者言葉、武士言葉もこの物語の江戸の生活の雰囲気を伝えるのにうまく活かされて楽しかったです。


    長五郎とみさ吉、息子の惣助。「なるようにしかならない」というのが世の中だけど、流れに身を任せていたら、関係性が少しづつ動き出して...そしたらお互いが「エイヤ」と踏み込んでみる。いつの時代もそうやって人間関係は深まっていくんだね。

  •  宇江佐作品、まだそんなに沢山は読んでいないです。これまで読んだ中ではベストです。今年読んだ本の中でも、間違いなくベストあるいはベスト3には。宇江佐真理(1949.10.20~2015.11.7、享年66)「夜鳴きめし屋」、2012.3発行。夜鳴きめし屋、五間堀の雨、深川贔屓、鰯三昧、秋の花、鐘が鳴る、の連作6話。10年回り道をした長五郎、みさ吉(おひで)、惣助の親子3人の暮らしが今から始まります!
     今年の10月1日に読んで感動した宇江佐真理さんの「夜鳴きめし屋」(2012.3)を早くも再読しました。この作品の内容と構成の素晴らしさを再確認しました。夜鳴きめし屋、五間掘の雨、深川贔屓、鰯三昧、秋の花、鐘が鳴るの連作6話。居酒見世「鳳凰堂」の主、長五郎28歳の話と芸者駒奴から聞いた芸者みさ吉と男の子の話→男の子惣助9歳の話→10年振りにみさ吉27歳と会う→惣助のことでみさ吉と口論→みさ吉の店が火事で、みさ吉鳳凰堂に→長五郎、みさ吉、惣助3人の新しい人生のスタート。なお、元深川芸者の夜鷹おしのは可哀そう

  • 江戸本所で 居酒みせを営む長五郎
    食べ物話を交えながらの 僕の好きな人情話を楽しく
    ホロっとしながら読み終えました。

  • 2020年3月14日
    再読
    声が聞こえる。
    油障子を開ける音が聞こえる。
    形見の服も映像になっている。
    なんて生き生きしている本所ごけんぼり
    互いの思いにびくびくしてすれ違う 
    もどかしいけどきっと実際こうなる。
    火事は大事件だけど、そのおかげで話が進んで…

    なるようになった
    2019/03/27
    面白い。
    この時代の話とってもいい。
    宇江佐真理だからか?
    ハズレがない。


    2022年10月10日
    なんと
    3回目
    やっぱ良い。

  • 父の遺した古道具屋を、夜通し食事を食べさせる夜鳴きめし屋として商売替えして営む長五郎。

    彼にはかつて愛した芸妓みさ吉との間に子がいたらしい…。

    大きな出来事が起こるではないですが、大人の人情心理劇。

    自分から口にされない愛は、言わせたものなら
    贋と同じ。

    ぎりぎりのところで長五郎を待って待てなかった
    みさ吉と、何を言えばいいかわかっていながら
    ついずるくなる長五郎のやり取りがリアル。

    みさ吉はなかなか姿を見せませんが存在感があります。息子の惣助が爽やかで良い青年なのでこのお話はいい味が出ていますが、実際なら長五郎とみさ吉は他人で終わるところ。

    この三人にとっては息子はまさに子はかすがい。実際には案外と難しい世間渡りになりそうですが、本音をぶつけて幸せになろうとする終わりにほっと息を吐いて安堵するのも事実。

    いろんな受け取りようのある作品だと思います。

    それにしても、作者の宇江佐さんが急逝されたのは惜しかったですね。時代小説を好きにならせて頂いて本当に感謝しています。

    やすらかな眠りにおつきになって
    いらっしゃいますように。

  • 古道具屋を営む早起きの父親がいつまでたっても起きてこなかった。母は、心持ちが不安定になり、叔父の質屋で奉公をしていた長五郎は引き止める叔父に詫びながら家に戻った。

    質屋で奉公していた長五郎でも、古道具屋は勝手が違った。母嫌が料理が上手だったので、多すぎる古道具を処分し大工に作りを変えてもらい母親と居酒見世をすることに。

    やっと仕事を覚えた矢先、母が死んだ。
    兄弟もなく寂しく気持ちが萎えてしまい、ずるずると見世を開ける時間が遅くなり、とうとう夜から明け方まで開けてる店になった。

    だが不思議なもので、水商売の芸妓など、仕事終わりに軽い食事を出すこの店「鳳来堂」は繁盛した。
    酒は父親の幼馴染の酒屋からうまい酒を入れていた。

    そんな鳳来堂にやってくる人々のそれぞれの事情。
    長五郎の18の頃泣く泣く別れた女が、旦那に亡くなられ、芸妓に戻るという、しかも息子もいるらしい。

    生真面目な長五郎と向こう鼻が強い女の、すれ違いのやりとりも、、、だんだんと。。


    映画を見るようないいお話。

  • 一晩中あいてる夜泣きめし屋を舞台にした人情劇。

    何となく手に取ったのだが、よい連作だった…

  • 夜から早朝まで、夜の間中開いている「夜鳴きめし屋」。
    その主人、長五郎とお客の人情味あふれる時代小説。

    メインは親子の物語ですね 子供たちの喜ぶ顔が見たくてせっせと料理を工夫する姿が微笑ましい。
    もっとこのシリーズを読みたくなったけど作者の宇江佐さん亡くなられているんですね…残念

  • 宇江佐真理さんの時代小説、初読みでした。
    こたろうどんが詳細なレポを書かれています。
    タイトル作「夜鳴きめし屋」「五間堀の雨」
    「深川贔屓」「鰯三昧」「秋の花」「鐘が鳴る」
    以上6作からなる短編集です。

    本所五間堀の「鳳来堂」。
    もとは古道具屋だったこの店を若主長五郎が継ぎました。
    しかし店の経営がうまくいかず、
    思案して、店を居酒見世にしました。
    酒よりも肴とめしで持っているお店。
    しかも営業時間は夕方から明け方近くまで。
    この時代には珍しい夜型のめし屋でした。
    近所に住む夜の商売帰りの者やひとり者が
    ご贔屓にしてくれ、店は結構繁盛しています。
    この「鳳来堂」に集う江戸市井の人々と
    長五郎の繋がりを中心に
    江戸情緒豊かに物語は展開していきます。

    先日、友人たちと東京都江東区近辺を散策しました。
    ここが、江戸時代、本所・深川地域だったようです。
    本作品にも出てくる、小名木川を渡りましたから。
    現代のこの地域は
    整備されたモダンな感じの街になっていますが、
    この作品を読んで
    江戸時代は、こんな感じだったのかと、思いました。

    しっとりと情感のある文章で
    とても読みやすい作品でした。
    本所五間堀「鳳来堂」シリーズとなっていましたので、
    まだ続くのかなと期待しています。
    続編はまだのようですが、その前に
    前作にあたる「ひょうたん」も読んでおくつもりです。

  • 夜の間の飯屋を舞台に、店の主人や常連達の人間模様が描かれた連作短編集。
    時代物はあまり慣れていないのだけど、するする読めた。
    時にビターな描き方もするが、作者の眼差しは温かい。
    親子の話には思わず涙した。
    それにしても、出て来るご飯がどれも見事に美味しそう!食べたい!

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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