笑う娘道成寺 女子大生桜川東子の推理

著者 :
  • 光文社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928261

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎作品をモチーフとした奇怪な殺人事件を描いた短編集。

    視点はヤクドシトリオ(おっさん3人組)のひとり、探偵の工藤ちゃん。
    ボケ担当の2人のツッコミ役(ほとんど心の内で突っ込んでることが多いですが…)でもあります。

    探偵役は美人女子大生の東子(はるこ)さん。
    彼女の名推理と、歌舞伎作品を一風変わった視点で見たその別解釈が見どころ。

    歌舞伎オタのお姉さん、いるかちゃんの歌舞伎豆知識も見逃せません!!
    あと、ヤクドシトリオが語る古い俳優さんたちの魅力とか。
    (古すぎて、ピンとこないけど……)

    歌舞伎入門てな感じで、歌舞伎への興味へも湧き、いい作品でした。
    しかしソープ嬢とかストリッパーとか、風俗系の女性が多すぎる。
    (元の歌舞伎作品で遊女にあたるキャラだから、しかたないんだけど)

    「女殺油地獄」
    和菓子のアンソロジーの「空の春告鳥」(坂木司)にも登場した作品。
    油屋をめぐる愛憎劇、とは聞いていたけど、こんな話だったのか!と。
    油屋=ガソリンスタンド、とはうまい。

    「曽根崎心中」
    曽根崎の森で心中するから曽根崎心中ね。
    で、六本木で心中したら六本木心中、と。(アン・ルイス……)

    「白浪五人男」
    「知らざぁ言ってきかせやしょう」ってセリフ、この作品だったのか!!
    このセリフと、スパイが女に変装して潜り込む、という話を、つい最近もどこか別の作品で聞いた気がするのですが、何の話だったかな。歌舞伎について語っているシーンだったのは間違いないんですが……。

    「勧進帳」
    牛若と弁慶の話だそうです。
    勧進(かんじん)って、募金集めのことなのですね。
    源義経が皆元、武蔵坊弁慶が武藤慶とは、今回もナイスネーミング。

    「忠臣蔵」
    忠臣蔵って、2004年頃にテレ朝でドラマ化したのは知ってるんですが、内容はほとんど知らなかったです。
    のちに、赤穂浪士の話、吉良と内蔵助の話、実は幕府の関係で実名が禁じられていた、など表面的な知識だけは聞いていましたが……。
    忠臣、内蔵助(由良之助)が亡き主君のために吉良へ復讐する話なんですね。

    「娘道成寺」
    山村美紗作品を扱ったゲームで、ある能楽師が殺される話のときに「道成寺」が出てきて、それで知った話。
    そこで道成寺(能)を知り、安珍清姫(伝説)を知り、今回、歌舞伎では「娘道成寺」という作品になることを知りました。
    歌舞伎版は、安珍が釣鐘の中で蛇(清姫)に焼き殺されたあとの話もあるのですね。
    ってまたストリッパー…。

    歌舞伎ってむずかしそう!と思いましたが、読み終わると、歌舞伎観てみたい!と思えるから不思議ですね。
    6作品だけじゃなくて、もっと他の作品も見たい。続編とかないのかな。

  • ミステリーでも軽快に進んで行きます。一つひとつのお話しが短いので、ちょっと読むのに適しています。

著者プロフィール

鯨統一郎
一九九八年、『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。大胆な歴史解釈から、日本の常識を覆す独自の作品が話題を呼ぶ。以来、歴史だけではなく幅広い題材を用いて、次々と推理小説を発表している。著書に「喫茶〈ひとつぶの涙〉事件簿」シリーズ、「ハウスワーク代行・亜美の日記」シリーズ、「女子大生桜川東子の推理」シリーズ、「歴女美人探偵アルキメデス」シリーズ、『タイムメール』『女子大生つぐみと古事記の謎』『作家で十年いきのびる方法』など多数。

「2022年 『カルトからの大脱出』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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