- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334928261
感想・レビュー・書評
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歌舞伎作品をモチーフとした奇怪な殺人事件を描いた短編集。
視点はヤクドシトリオ(おっさん3人組)のひとり、探偵の工藤ちゃん。
ボケ担当の2人のツッコミ役(ほとんど心の内で突っ込んでることが多いですが…)でもあります。
探偵役は美人女子大生の東子(はるこ)さん。
彼女の名推理と、歌舞伎作品を一風変わった視点で見たその別解釈が見どころ。
歌舞伎オタのお姉さん、いるかちゃんの歌舞伎豆知識も見逃せません!!
あと、ヤクドシトリオが語る古い俳優さんたちの魅力とか。
(古すぎて、ピンとこないけど……)
歌舞伎入門てな感じで、歌舞伎への興味へも湧き、いい作品でした。
しかしソープ嬢とかストリッパーとか、風俗系の女性が多すぎる。
(元の歌舞伎作品で遊女にあたるキャラだから、しかたないんだけど)
「女殺油地獄」
和菓子のアンソロジーの「空の春告鳥」(坂木司)にも登場した作品。
油屋をめぐる愛憎劇、とは聞いていたけど、こんな話だったのか!と。
油屋=ガソリンスタンド、とはうまい。
「曽根崎心中」
曽根崎の森で心中するから曽根崎心中ね。
で、六本木で心中したら六本木心中、と。(アン・ルイス……)
「白浪五人男」
「知らざぁ言ってきかせやしょう」ってセリフ、この作品だったのか!!
このセリフと、スパイが女に変装して潜り込む、という話を、つい最近もどこか別の作品で聞いた気がするのですが、何の話だったかな。歌舞伎について語っているシーンだったのは間違いないんですが……。
「勧進帳」
牛若と弁慶の話だそうです。
勧進(かんじん)って、募金集めのことなのですね。
源義経が皆元、武蔵坊弁慶が武藤慶とは、今回もナイスネーミング。
「忠臣蔵」
忠臣蔵って、2004年頃にテレ朝でドラマ化したのは知ってるんですが、内容はほとんど知らなかったです。
のちに、赤穂浪士の話、吉良と内蔵助の話、実は幕府の関係で実名が禁じられていた、など表面的な知識だけは聞いていましたが……。
忠臣、内蔵助(由良之助)が亡き主君のために吉良へ復讐する話なんですね。
「娘道成寺」
山村美紗作品を扱ったゲームで、ある能楽師が殺される話のときに「道成寺」が出てきて、それで知った話。
そこで道成寺(能)を知り、安珍清姫(伝説)を知り、今回、歌舞伎では「娘道成寺」という作品になることを知りました。
歌舞伎版は、安珍が釣鐘の中で蛇(清姫)に焼き殺されたあとの話もあるのですね。
ってまたストリッパー…。
歌舞伎ってむずかしそう!と思いましたが、読み終わると、歌舞伎観てみたい!と思えるから不思議ですね。
6作品だけじゃなくて、もっと他の作品も見たい。続編とかないのかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示