さようなら、猫

著者 :
  • 光文社
2.80
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本棚登録 : 336
感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928445

感想・レビュー・書評

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  • 背中をむけてぽつんと坐る猫の表紙と、章ごとにはさまれる可愛い猫のイラストに
    猫とのほのぼのしたやりとりを期待してしまった猫好きさんは
    「あれ?あれれ?」という気分になってしまう本かもしれません。

    『自分の猫』、『わからない猫』、『降りられない猫』など、
    猫をタイトルにした短編が9つ並んでいるのですが
    物語の中で猫が描写されるのは数行、というお話がほとんどで
    中には、猫が本当にいるんだかいないんだかわからないまま終わったり
    昔飼っていた猫を、惚け始めた父が呼ぶ声しか出てこなかったり、
    猫はあくまでも物語を進める上での薄めのエッセンス、といった感じです。

    初めて自分だけの猫を飼うことになって、狂おしいくらい夢中になり、
    なんとかイマドキの若者らしい生活に戻るため手放そうとするも
    やっぱり離れられなくて、クロエのバッグに仔猫を入れて逃走する
    19歳の美那を描いた『自分の猫』、

    疎遠だった姉を訪ねる口実に「うさぎ」と名付けた猫を連れてきて居座り
    それでも素直な口がきけない妹にほろっとする『赤ん坊と猫』の2作には
    ほのぼのとした部分もあって救われるけれど

    その他の作品は、どこで誰と一緒にいてもヒリヒリとした淋しさを抱きしめている
    登場人物の孤独が伝わりすぎて、頁をめくる指先からどんどん身体が冷えていくようで
    打たれ弱い私が手を出してはいけない作品だったのかも、と思ったのでした。

    • kuroayameさん
      この本、見かけたときから気になっていて、猫を飼っているので「悲しい話ばかり記載されていたらどうしよう」と思うと、なかなか購入までいたらなかっ...
      この本、見かけたときから気になっていて、猫を飼っているので「悲しい話ばかり記載されていたらどうしよう」と思うと、なかなか購入までいたらなかったです・・・。
      でもレビューを拝見させていただいき、内容を知ることができとても嬉しかったです♪。
      ありがとうございました★。
      2012/11/13
    • まろんさん
      そうですよね、猫好きならこのタイトル、気になっちゃいますよね!
      私みたいに猫が活躍したり、猫の描写ににんまりできる本をお探しなら
      ちょっとこ...
      そうですよね、猫好きならこのタイトル、気になっちゃいますよね!
      私みたいに猫が活躍したり、猫の描写ににんまりできる本をお探しなら
      ちょっとこの本は作者の意図しているところが違うかもしれません。
      でも、章ごとのイラストはとってもかわいいので、こっそり立ち読みしてみてください(=^・・^=)
      2012/11/14
  • 猫をモチーフにして若者の生活を描いた短編集です。猫好きでも、そうでない人も気持ちが伝わります。ちいさくて、か弱い存在に見えるけれど、愛しい猫たちの存在は心の隙間を埋めてくれること間違いなしです。それぞれの見出しを挙げておきます。この中のどれかに自分自身が隠れているような気がするんですけれどね♪ 「自分の猫」「わからない猫」「赤ん坊と猫」「降りられない猫」「名前のない猫」「ラッキーじゃなかった猫」「他人の猫」「二十二年目の猫」「さようなら、猫」(3.5)

  • 猫って(犬もだけど)、私達の人生には切っても切れないものかな。
    ちょっとした事柄の隣りには猫、みたいに。

    「二十二年目の猫」が1番好きかも。
    あと装丁もね。

  • 全話に猫が出てくる短編集です。
    (姿が見えないこともあるよ)
    ままならない気持ちや事情を抱えた人たちと、ただそこにいるだけの猫。
    何かを変えるきっかけにもなり、行動を起こすための口実にもなりうる、猫。
    癒しを求めて手に取りましたが、読了後は物悲しさのようなものが残りました。
    なんか…切ないんだよなぁ。
    次は犬にまつわる短編集を読みます。

  • 猫がいる日常。人間に振り回される猫も、たいへんだ。

  • 井上荒野さん、好きな作家さん。
    「ラッキーじゃなかった猫」事故にあった猫を迷いもなく病院に連れて行った誠二。治療費は頼子もちだが、その優しさと行動力にはひかるれかも。人生なんてラッキーじゃないことの積み重ねなのかも。

  • 乾いている人、求めている人、愛している人、憎んでいる人、何も考えたくない人。
    彼らの日々にそっと加えられる一匹の猫。
    猫も、愛も、幸せも、閉じ込められない。
    (アマゾンより引用)

  • 猫がお話のエッセンスとして登場する短編集。猫たちは確かにそこにいるのだけれども猫たちは主人公ではない。あくまで猫たちは脇役なのだ。ちょっと思ってたのとは違うくて読んでて少ししんどかったなぁ。ちょっと読みにくかったなぁ。2013/175

  • 少し暗い感じ 2014.5.3

  • タイトルに期待して読んだけど人間主体の話。

著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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