- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334928490
作品紹介・あらすじ
母のない子持ちやもめの家庭を転々と渡り歩く広美。短いときは数か月、長くとも数年、トラック運転手や遠洋漁業、家を長く空ける父子家庭の母親役をして、家庭が軌道にのると人知れず去っていく。それは、母性が有り余っているのか、母性がぶっ壊れているのか、子供にとっては女神でもあり、突然姿を消す残酷な悪魔でもある。すばる文学賞受賞作家が挑む、初の長編エンターテインメント。ひたすらに"母"をさすらう女の物語。
感想・レビュー・書評
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ちょっと、今までとは違うイメージだと感じた。
原田ひ香さんの10年前の本になる。
シングルファーザーの家にするっと入り込み、子育てをする。
それもまだまだ母親が必要だと思われる幼児から小学生くらいまでに絞っている。
だが、長くは居ず1年くらいで姿を消す。
これは、どういうことなのか…⁇
単に子育てしたいのか⁇
子どもが好きなのか⁇
とにかく父親が好きになり、そして子どものお世話をするパターンじゃないのが不思議なのだ。
それも短期間で次々と子持ちやもめのところばかり。
家族をつくるわけではないのが、なぜ?なのだ。
子どもたちが大人になり、実の母親だと記憶していたという展開もあるのだが、けっしてべったりと依存したり想いでに浸るわけでもなく、さらりとしている。
彼女がほんとうに望んでいたのは、自分の子どもを育てたかったのか?
「おそれいりましてございます」と今もどこかで言っているようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんな小説読んだことがない。
どこからこんな設定を思いつくんだろう。
「彼女の家計簿」でもその緻密な構成に圧倒されたけれど、この小説も勝るとも劣らず。むしろ私はこっちの方が面白かったな。
あり得ない設定なんだけれど最後まで破たんもなく落とし所もしっかりしている。
原田ひ香さん(不思議な名前ですよね)てとんでもないストーリーテラーだよ。
何を書いてもネタバレになりそうだからなるべく書きたくない。
先入観なしに読んだ方が絶対に面白い!!
でもこれじゃなんだか分からないか(笑)
一人の謎の女、広美。
とにかくこのふわふわ漂っている得体のしれない女に終始イラっとします。
それでも彼女は救うんですよ、マリア様のように。
本当に救われたかどうかは別として。切ないなぁ・・・。
ああ、何書いてるんだろう。
とにかくサクッと読めて、面白かった。
お勧めです。 -
母親の存在は、子どもたちにとって偉大なんだなぁ。血の繋がった本当の母親か育ての母親か...いろいろ考えさせられる話だったけどすごくよかった。
原田ひ香さんのお話は、やっぱり好きです。いろいろ読破してみたいです。 -
おもしろうて、やがて悲しき。
そういうニュアンスの表現がありますが、この本を読んだ感想がまさにそれです。
家から家へ、「母親がわり」をつとめては突然去っていく女性の半生をつづった物語。風変わりな設定と物語は、どこかさばさばとした文章で予想もつかない展開を迎えていきます。
読み進めるうちに、「問題のある母のいない家庭を建て直し、引き際を感じて去っていく」という彼女の過去の生き様と、「スナックの店主として落ち着いた彼女の前に現れた大学生の男女」の現在進行形の物語が交互に綴られていっているのがわかります。
それぞれのエピソードによって、親と子というかけがえのない信頼関係、家族という繋がりの大切さ、がさらりと描かれていてしんみり涙を浮かべさせるのですが、では、彼女はなぜ?というところは、最後の最後のほうまでわかりません。
そしてその「真実」は、数ページほどに小さくまとめられて語られていました。けれども、それだけで、彼女がなぜあのような生き方を選んだのか、がすうっと理解できたのです。そして、まるで破天荒な生きざまのように見えた彼女の人生に道筋がはっきりと見えたのです。だからか、という納得と、それゆえの、悲しみがひたひたと。
だから、エピソードのあたたかさが面白く、そして読み終えてしんみりと悲しく、そういう情感漂う一冊、となったのでした。 -
一度、母と別れた子供たちの家庭に入り込み、世話をして、しばらくすると出て行く。子供にすれば、2度も母、母親代わりと別れる事になって、切ないなぁと思いながら読み進めたら、いろいろ散らばっていた家庭の話も最後にはいい感じのハッピーエンドで 私は好きでした。
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原田さんの作品は読み手が、あまり元気でなくても、心を飛ばしてくれる力があるような気がする。家庭・母性・母と子等々、いろんな形を見せてくれた作品。
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母親不在の家に入り込み、子供のため母親として暮らし続けた広美。
ひたすら母性の強い女性なのだと思っていましたが、実はそうではなかったのかも…
最後に明かされる広美の本心には、少しショックを受けました。
でも、だから子供達を置いて出て行くことが出来たのか。
広美のしてきた事は広美のエゴでしか無かったのか…悩まされます。
母親の存在が子供に与える影響は大きい。登場するそれぞれの母親に翻弄される子供達の姿に、母親とは、子供にとって何にも変え難い大切な存在ではあるけれど、ある意味罪深い存在でもあると、考えさせられました。 -
木皿泉のエッセイに出てきたので読んでみた。ドキドキだった。こんなふうに放浪しながらするりと子どもに馴染んで母親になるって。すごく自己満足の世界。いつまでもきっと主人公はからっぽのまま。