坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928643

作品紹介・あらすじ

読書家としても知られる坂木司が、今いちばん読みたいテーマを、いちばん読みたい作家たちに「お願い」して、作った、夢のようなアンソロジー。十人の人気作家による和菓子モチーフの新作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 新聞で、『和菓子のアンソロジー』・『本屋のアンソロジー』・『ペットのアンソロジー』と
    3冊並んだ書籍広告を見るやいなや、「ぜったい読みたい本リスト」に書き込んだ私。
    それ以来、暇さえあれば図書館の新刊リストをチェックし続け
    リストに加わったその日に、3冊ともしっかり予約を入れたのですが。。。

    なんと、この『和菓子のアンソロジー』だけ、先を越されてしまったのです!
    「きー、どこの食いしん坊だー!」と思いつつも
    3冊のうち、よりによって『和菓子』だけ張り切って予約するなんて。。。
    そんな誰かさんとは、なんだか仲よくなれそうな気がする♪ と思ったりもして。

    というわけで、この3冊の贅沢なアンソロジー、ようやく全部読み終えることができました。
    なんといってもいちばん好きなのは、
    作家さんたちの本屋への愛が溢れ出るようだった『本屋のアンソロジー』だけれど
    ひとりひとりの個性が際立ち、こんなアプローチもあったのか!と
    驚かされるのは、この『和菓子のアンソロジー』かもしれません。
    まさか和菓子をモチーフに、臨死体験や精神疾患や壮大なSFまで描けてしまうなんて。

    和菓子はもちろんのこと、登場するカフェのランチメニューがひたすら美味しそうで
    雪解けの大地に芽吹く野草のように、しなやかでみずみずしい
    柴田よしきの『融雪』
    隠されたたった7文字の謎解きの中に、愛する妻を遺して旅立つ夫の
    慈愛に満ちたまなざしを浮かび上がらせる北村薫の『しりとり』
    この2作が、とりわけ素敵です。

    ふとしたつぶやきから、このアンソロジーシリーズの発案者となり
    自作にひっかけて、『和菓子の餡、ソロジー』開店です♪ と書く
    坂木さんの『空の春告鳥』では、懐かしいアンちゃんや立花さんにも出会えて
    いろんな味が楽しめる、本当に贅沢なアンソロジーです。

    • nobo0803さん
      アンソロジー3冊制覇!!ですね!(^^)!
      私は、まろんさんのレビューでこんなアンソロジーがあるのか!!と知り、急いで図書館に予約したんです...
      アンソロジー3冊制覇!!ですね!(^^)!
      私は、まろんさんのレビューでこんなアンソロジーがあるのか!!と知り、急いで図書館に予約したんですが・・・時すでに遅し・・
      かなりの人数の予約で、気長に待ちます!!
      どのアンソロジーから手に届くか楽しみ♫
      う~ん、食いしん坊の私、そしてアンちゃんと立花さんに会えるのなら、願わくは「和菓子のアンソロジー」から届いてほしいなぁ・・
      2013/04/03
    • まろんさん
      noboさん☆

      やっと3冊目が来て、制覇することができました!満腹です(笑)
      noboさんが、私のレビューを見て予約してくださったなんて、...
      noboさん☆

      やっと3冊目が来て、制覇することができました!満腹です(笑)
      noboさんが、私のレビューを見て予約してくださったなんて、うれしい♪
      そういえば、図書館で返却したとき、他の本はおとなしく(?)引き取られていったのに
      この本は、すぐに次の行き先の紙が貼りつけられて旅立つ模様でした。人気なんですねぇ。
      立花さんの乙女度がますます高まっていて楽しい上に
      美味しそうな和菓子オンパレード♪のこの本が
      なるべく早くnoboさんのところに届きますように(*'-')フフ♪
      2013/04/05
  • いつもとは違う図書館に行ったので、読みたいリストにあって、いつもの図書館にない本を数冊借りてきた。
    「和菓子のアンソロジー」はずっと待ちわびていたもの。和菓子というのが、ペット・本屋さんに比べて話題にしにくいのではないか、単調な話になってしまうのではないかと感じていたのだが、全くそんな事はなかった。十人十色で、かけ離れた話の中に上手く和菓子が組み込まれていて流石!と思わず唸ってしまった。
    坂木さんのアンちゃんとの嬉しい再会から始まり、刑事物ありファンタジーあり外国物あり、過去未来と時代も超えて、読みながら短編集とは思えない充実感を感じた。
    ほぼはじめましてな作家さんばかりだったが、特に気に入ったのは北村薫さんの「しりとり」と恒川光太郎さんの「古入道きたりて」かな。

  • 坂木司が「和菓子をテーマに、忘れがたい作品を」と依頼して出来たアンソロジー。
    一番好きな作家に一番好きなテーマで作品を書いてもらう企画の一つ。

    「和菓子のアン」の坂木司ですよ~これが読まずにいられましょうか。
    バラエティに富んでいて、予想外の味わいを楽しめました。

    最初の「空の春告鳥」が坂木司。
    「和菓子のアン」の続編というか。休日にもデパートの和菓子売り場へ行ったアン。
    もっと読みたいお菓子と人たちです。

    「トマどら」日明恩
    警察官が行きつけの和菓子屋での妙な出来事に気づき‥
    トマトどら焼き、食べてみたくなります。

    「チチとクズの国」牧野修
    自殺しようと思いつめて誰もいない実家に戻った男。
    そこで父親の幽霊に出会い‥?
    気の合わなかった父子だが、意外な共通点が。

    「迷宮の松露」近藤史恵
    仕事に行き詰まり、モロッコへと、あても期限もない旅行に出た女性。
    異国情緒溢れる世界で、思わぬ和菓子との再会。

    「融雪」柴田よしき
    ペンションを経営し始めて1年の若い女性。
    新鮮な材料で、毎日メニューを工夫しているある日‥

    「糖質な彼女」木地雅映子
    ひきこもりの少年が母に連れられて病院へ行き、消えたアイドルに出会う。
    病院付属の和菓子を作る作業所があり‥

    「時じくの実の宮古」小川一水
    近未来の日本。
    熱帯化が進み、南には人がほとんど住んでいない。
    和菓子職人の父と子は、和菓子が盛んだった伝説の土地へと旅をする。互いに工夫した和菓子を出して勝負しながら‥

    「古入道きたりて」恒川光太郎
    南方の洞窟で出会った日本兵二人。
    戦前の思い出を聞かされ、帰国後にその土地へと旅をする。古入道を見られるかと‥

    「しりとり」北村薫
    歌にこめられた謎を解く話。
    夫婦の出会いを思い出す情感。

    「甘き織姫」畠中恵
    新婚夫婦のもとへ友達が集まって串揚げパーティー。そこへ難問を抱えてきたのは学生時代以来、久しぶりの友人。
    友人の変人ぶりが際立つが、悪気はなさそう。

    あまりにも変化に富んでいるので、どういう薦め方をしたらいいのかと紹介が書きづらかったんですよ。
    皆さんに読んでもらいたい、とまではいえないか?と‥
    でも風変わりな話もいつまでも覚えているので、これは‥‥ 一生覚えているかもしれない!?
    と、★4つから5つに増やしました。
    知らない作家さんに興味を持てたことが良かったです☆

  • 『坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー』というタイトルと、可愛い表紙と、好きな作家さんのお名前にフラフラ引き寄せられた。

    最初の「空の春告鳥」でアンちゃんと立花さんにまた会えてとっても嬉しくて、最後のシーンの立花さんの可愛さににこにこしてしまう。
    もっとこのシリーズ読みたいなぁ!

    でもこの本の見所は最初だけではもちろんなく、他の作家さんの作品も「そうくるか!」の連続でとっても楽しい♪
    そして美味しそうな和菓子がたくさん!

    日明恩さんの「トマどら」は、タイトルのトマどらが気になって気になって…。
    どこかに売ってないかなぁ。売ってたら買うのになぁ。

    恒川光太郎さんの「古入道きたりて」は、古入道の不思議に魅了され、夜船の描写にお腹が鳴る…。
    春は牡丹餅、秋はおはぎ、までは知っていたけど夏は夜船ということは知らなかった。
    素敵な名前だなぁ。やっぱり「夏は夜」なんですね。

    北村薫さんの「しりとり」は、とってもロマンチックな謎かけに和菓子が使われる。
    とっても優しくて愛おしい思い出を鮮やかに描く北村さんの手腕にただただうっとり。

    畠中恵さんの「甘き織姫」は、串揚げが食べたくなってしまった(笑)

    他にも全部語るのはちょっと大変なほどに多彩なアンソロジー。
    贅沢な1冊を堪能出来て大満足。

    • まろんさん
      わあ、いいなあ♪
      3冊同時に発刊されたこのアンソロジーシリーズ、
      図書館に入るやいなや3冊とも予約したのに
      この『和菓子のアンソロジー』だけ...
      わあ、いいなあ♪
      3冊同時に発刊されたこのアンソロジーシリーズ、
      図書館に入るやいなや3冊とも予約したのに
      この『和菓子のアンソロジー』だけ誰かに先を越されてしまったのです!
      いったいどこのくいしんぼうだー!(笑)
      takanatsuさんの愛に満ちたレビューを読んでいたら、ますます読みたくなってきました。
      今日は図書館から「本、届きましたよ」コールが入るはずの日なのだけれど
      果たしてその中に、この本はあるのでしょうか?!ドキドキです♪
      2013/03/28
    • takanatsuさん
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      3冊同時発売だったのですか。
      私はこの本を1番最初に見つけました。
      次は本屋さんのアンソロジーを...
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      3冊同時発売だったのですか。
      私はこの本を1番最初に見つけました。
      次は本屋さんのアンソロジーを読もうと狙っています♪
      まろんさんのレビュとっても楽しみです♪
      2013/03/29
    • takanatsuさん
      まっき~♪さん、コメントありがとうございます!
      お役に立てて嬉しいです♪
      恒川さんの作品は初めて読んだのですが、とっても良かったです!
      ...
      まっき~♪さん、コメントありがとうございます!
      お役に立てて嬉しいです♪
      恒川さんの作品は初めて読んだのですが、とっても良かったです!
      まっき~♪さんのレビュ、楽しみにしてます♪
      2013/04/06
  • どのお話もよかったなぁ〜。やっぱり和菓子を食べたくなるし和菓子や日本の文化などもう少し勉強したくなります。和菓子の世界って奥深いなぁ。

  • 和菓子大好きです!
    そんな和菓子を題材にいろんな作家さんの作品が読めるなんて。
    しかも、やっぱりその作家さん独特の世界観があって読み応えありました。
    坂本さんのお話は王道と言いますか、大好きな「和菓子のアン」の続編で面白かった。
    他に好きだったのは、「融雪」と「しりとり」かな。
    「時じくの実の宮古へ」は私には難しすぎた。

  • 図書館で中身ペラペラっと開いたら、なんと立花さん、椿店長という文字が!これはアンちゃんの新たなお話が読める!!と喜び勇んで借りたところ、坂木司『空の春告鳥』は既に読んだお話と気づく。
    ガッカリはしたものの、やっぱり好きだなぁ…和菓子のアンシリーズ、と再実感。

    柴田よしき『融雪』は、これから先に続く未来がちょっと楽しくなるような読後感。
    北村薫『しりとり』と、畠中恵『甘き織姫』は、日常の中にあるミステリーだった。

    お目当ての"新たなアンちゃん作品”は読めなかったものの、日常でおこる出来事の謎や人が死なないミステリー、私、好きだ 。
    これから読みたい本を探す時にとっても役立つ発見になった。

    それに、読んだことのない作家さんたちの作品との出会いにもなるアンソロジー(特定のテーマに寄せた複数の作家の作品が掲載されている←初めて知った)って、自分好みの作品との出会いや今後の読書体験が広がっていくアイテムにもなりそうだ。

  • さすが坂木さん推薦する作家さんがこしらえてくれた
    『和菓子』

    ・・・と、いうだけあって、
    それぞれに味わい深く、
    もっと
    他の菓子も頂いてみたい、
    と、甘い余韻がいつまでも残る、アンソロジーでした。

    なかでも特に好みだったのは
    恒川光太郎さん。

    もののけ姫の『ダイダラボッチ』(←古入道)
    の登場には、胸がワクワク高鳴りました(^^♪

    • MOTOさん
      まっき~♪さん こんにちわ☆

      こちらこそいつも花丸ありがとうございます♪

      あ、実は私、恒川l光太郎さんって初読なんですよ!
      このアンソロ...
      まっき~♪さん こんにちわ☆

      こちらこそいつも花丸ありがとうございます♪

      あ、実は私、恒川l光太郎さんって初読なんですよ!
      このアンソロジーでの短編で一読み惚れしたっ感じです。(^^;
      幻想的でありながらも現想的でもあるような。
      (イミフ?)

      本当に満月の夜、ひとりで山奥に篭れば、ダイダラボッチに会えるのかも…
      そう思わせてくれるような描きっぷりが面白かったですよ~

      他の方の短編も面白いし、きっと楽しめる一冊だと思います。(^^♪



      2013/10/21
    • MOTOさん
      まっき~♪さんへ

      いやぁ~♪
      こんな雑な表現を、しっかり受け止めて頂いて、
      ありがとうございますっ!
      (伝わる)って、こんなに嬉...
      まっき~♪さんへ

      いやぁ~♪
      こんな雑な表現を、しっかり受け止めて頂いて、
      ありがとうございますっ!
      (伝わる)って、こんなに嬉しいものなんですね~

      恒川さん、今回の物語を読んだだけなんですけど、
      どこか、大好きな宮沢賢治作品を読んでいる時に似た感覚がありました。
      現代版遠野物語かぁ~♪
      うんうん!怖いのも好きだし、これから読むのがすっごく楽しみです!

      こちらこそ、嬉しいお返事をありがとうございました。(^^♪

      2013/10/23
  • 執筆陣が魅力的だったので購入。
    最初は坂木司さんの作品から。
    「和菓子のアン」の続編というか後日談であるとあとがきでご本人が書いているが、確かにそういう感じ。これからまた新しい展開があるのかと期待してしまう。覆面作家ということだが、最近ますます女性的な雰囲気が漂っているなあと思う。
    日明恩さんの作品は初めて読んだのだが、硬質な雰囲気がけっこう面白かった。
    牧野修さんの水まんじゅうには度肝を抜かれた。こんなふうに和菓子が出てくるなんて。
    近藤史恵さんと柴田よしきさんはしっとりした感じ。モロッコと日本という違いはあるが、どちらも女性の心理がねっとりと描かれている。最近柴田よしきさんは、食べ物系に重心を移しているのだろうか。作中やたら食材や料理法に言及しているのが、私には余分だった。
    木地雅映子さんは「氷の海のガレオン」以来だが、やはり心がヒリヒリするような作品だなあと思う。
    小川一水さんと恒川光太郎さんはとても不思議な気持ちになる作品。
    北村薫さんは相変わらずの北村節だなあと思った。
    畠中恵さんの作品は、時代設定がちょっとよくわからなかった。タブレットを使っているのだから現代なのだろうが、出てくる男性陣がまるで明治か大正時代の学生のようで、人間関係のあり方がやけに古臭く感じた。
    御岳さんは発達障害なのかなあ。あの反応や対応の仕方はまるっきりそうとしか思えなかった。

    和菓子にはほとんど興味がないのに、これだけ楽しめるからアンソロジーは面白い。

  • アンソロジーなので好きな話もそうでもない話もあるのですが、貧乏性なのでとりあえず全部読んでしまう。そしてモヤモヤしてしまう。
    全部好きっていうアンソロジーに出会う日はいつか来るかしら。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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