雨のなまえ

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著者 : 窪美澄
  • 光文社 (2013年10月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929053

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雨のなまえの感想・レビュー・書評

  • 雨のなまえ・・・というと、想い出すものは狐の嫁入りとか霧雨、小糠雨、小夜時雨・・日本は雨の呼び方(名前・種類)が多い気がする。しかも響きも字面も美しい。本書には、最初そんな美しい雨と人とを織り成す優しい物語をイメージをしていただけに、読み進めていくにつれなんともやるせなくなってしまった。
    短編の中の登場人物は皆、現実に起こり得る負の感情と向き合わざる負えない人達ばかり。幸せの中にいるはずなのにふと逃げ出したくなる気持ち・・妄想の世界に身を置くことで生きながらえる人など、、それらが短いストーリーの中にぎゅっと凝縮されていてチクリチクリと読み手の心を刺す。 流せるものなら流してしまいたいものを抱えて生きている、それこそが人生というものだろう、紛れもない現実の一つなんだよというメッセージ。でも、この本がそこまで絶望的でないのは、やはり流れなくても自分の中に抱えたままでも、雨上がりの雲の切れ間から青空を観る事も人は許される、誰だって見れるはずなんだよ!という、作者の思いも汲み取れるからだと思う。そんなことも感じさせてくれた一冊。(3.5)

  • 満たされなくて、もがいてみてもどこにも辿り着けない物語。
    ざらざらした手に撫でられるようで不快なんだけど、その手の残した感触を忘れられない。

  • 窪美澄の作品だと先入観を持って読むと期待外れ。
    救いがない、未来がない。
    特に表題作の「雨のなまえ」。
    彼女の作品の柱にはいつも生と性があるが、性だけが残った感じ。

    全くの期待をしないで読んだらそれなりに読めるのかもしれない。
    巧いな~、暗いな~、でも何が言いたいんだろうと思いながら。
    それだけ今までの窪さんの作品が秀逸なことの裏返しだろう。

    でもやっぱり読後感が悪すぎる。
    ここまで登場人物たちを追い込む意図はいったい何なんだろう。
    むむむ・・・。
    次回作に期待。

  • 窪美澄らしい、毒の入った短編4編。
    一番印象に残ったのは「雷放電」。冴えない男が誰もがうらやむ美しい女を妻とし、幸せな結婚生活を続ける。妻は日
    がなけだるそうに過ごし、夫は働きながらその妻の世話をする。低いトーンで語られる物語の結末が実はサスペンスだったことをみじんも感じさせない筆力はさすが。

  • どの話も雨のシーンが出てきて、薄暗く湿気の多いスッキリとしない短編集。

    最終話だけ少し救いが見えたかな。

    窪さんに人間の暗い膿んだ感情を書かせたら天下一品なんではないでしょうか。
    どうしようもなく病んでいるのに、すごく血が通っている様な生命力を感じます。

    私はこのどうしようもない感覚、
    すごく好きです。

    雨のなまえ/記録的短時間大雨情報/雷放電/ゆきひら/あたたかい雨の降水過程

  • この人の描く作品はいつも生々しくて、変にリアリティがあって読むのが辛くなることが多い。
    今回は初めての短編集だったが、相変わらず容赦なく読み手の心理に切り込んでくるあたり、著者らしい作品。

    5編のうち最終編まで、読まなければよかったと思いつつ進んだが、最後にやっと少し救われてちょっとホッとした。
    その辺り狙って構成もされているのだろう。
    嫌いな作家ではないが、自分が精神的に参っている時には絶対読まない方がよさそうだ。

    『雨のなまえ』
    『記録的短時間大雨情報』
    『雷放電』
    『ゆきひら』
    『あたたかい雨の降水過程』

  • 男性目線でも、女性目線でも書いてるとこがすごい。性的な描写も両方。

    雨のなまえがいちばん個人的にはよかった。
    どうしようもない男だけど、仕事は真面目にしてるし、たぶんこんな人いるんだろうな…と思わせる。
    実際にこんな人にあたったら嫌だけど、小説の中の人物としては憎めない。

  • 雨をモチーフにした短編集。
    目を背けたくなる様な人の気持ちに焦点を当てた、窪美澄さんらしいヒリヒリするカンジの作品。
    どのお話も気分暗めになりますが、唯一最後のお話だけちょっと救いがありました。

  • 雨をモチーフに描かれた5つの短編。同著者「ふがいない僕は空を見た」同様、人間の心を描く。「心の闇」とか「人間の暗部」とか安っぽい言葉しか思いつかないけれど、目を背けがちな部分を抜き取って作られる物語に惹かれます。

  • 妻の妊娠中、逃げるように浮気をする男。
    「雨の名前」
    男が浮気をしたのは、目の前に機会があったから。そして彼女の倦怠に絡めとられてゆく。終わりがきたのは突然だった。妻の破水の連絡と同時に、彼女が薬物の過剰摂取で救急病院に搬送されたとの連絡が入ったのだった。

    パート先のアルバイト学生に焦がれる中年の主婦
    「記録的短時間大雨情報」
    夫と息子と自分の生活の中に義母が入ってきた。義母は品があって美しく嫌いではなかったけれど、少しボケてきているのかもしれない。でも夫は義母の事も任せきりだ。パート先でアルバイトのイケメン学生とお昼を共にするのが楽しみだった。
    ある日電話が鳴る。夫の子を身ごもったと言う女性からだった。でも夫と別れて生きて行く勇気も無い。
    自分を慕っている様子を見せる学生のアパートを訪ねてみる気になったのは後悔したくなかったから。でもその結果は惨めだった。

    不釣り合いな美しい女と結婚したサラリーマン
    「雷放電」
    誰もが憧れる美人の美津が、まさか俺に心を寄せてくれるとは思っていなかった。美津のためなら何でも出来る。何でもしよう。仕事の辛さ、対人関係の難しさにも耐えられる。
    あの地震が起きて全て失ったけれど、美津は生き残った。辛さから逃げるように眠りに逃げ込む彼女だったが、美津さえいれば良かった。
    仕事を終え自宅に戻る電車の中で、俺が経験したのは何だったのか。俺は妄想の中に生きていたのか。

    幼なじみの少女の死を引きずり続ける中学教師
    「ゆきひら」
    妻は義父から虐待を受け、中学ではひどいいじめに遭い、だから結婚したら自分の事を誰も知らない場所で暮らしたいと言った。なので東京から離れた場所で教員採用試験を受け教師となった。自分のクラスはいじめがあった。幼なじみの少女がいじめに苦しんでいたのを助けてやれなかった後悔が、いじめの対象となっている少女に気持ちをかけさせるのかもしれない。
    学校の集団登山の時にそれは起こった。グループリーダーの言葉に少女は集団から離れ山の中へ駈け入る。自分はそれを追った。山中で助けを待つ間に心が通ったと思ったのだが、助けがきた時に少女が言ったのは・・・

    まだ小さな息子とふたりで生きることを決めた女
    「あたたかい雨の降水過程」
    子供が生まれて、夫といるのが息苦しく感じられるようになった。自分のわがままだと思ったけれど、どうしようもなかった。夫とは別居して、いま一人で息子を育てている。学校や学童保育のお母さんたちは苦手だ。けれど息子に母の気持ちは伝わらない。
    地震が起きた時、真っ先に考えたのは息子のことだった。息子を迎えに行かなければ。ようやくの思いで息子の元へ辿り着いた時、息子はおかあさ~んと叫びながら胸に飛び込んできた。

  • 雨…色々あるけれどなんだか暗い闇を含んだ雨でした。読んだ闇を引き受けなきゃいけない本でした。読む時はタイミングに気をつけなきゃ。

  • しとしとと降る雨には癒されたりもするけど、この本に出てくる雨はどれも強烈・・・

    生きている中でたまった毒や膿やドロドロが空から一気に落ちてくるような。

  • 雨にまつわる短編集

    何となく今に不安や不満を
    もって生きてる人たち
    罪悪感を理由にしたり
    運命みたいなものに流されたり
    プライドとか見栄にしばられたり
    そんな人の方が多いとは思うけど

    それでも何かをきっかけに
    少し変わってみたり
    心決めたりしてみる
    だけど
    ハッピーエンドには
    終わらない

    結局・・・という思いが残り
    さらに自分を追い詰めるような

    なんだか重いというか
    イタイというかそんな読後感
    エロさが人間的だなぁ

    窪さんの本って
    暗くて重くてエロいけど
    なんか読んでしまう

  • 雨って、結構好きなんだけど、この作品に降る雨は違う。靴に雨が染みてじっとり広がってゆくような不快さを感じる。 なにかしらの共感を覚える彼らの、心の闇の部分をこうもあからさまにさらけ出されると読んでいる方もつらい。

  • 割合平穏な(というと語弊あり?)著作が2~3続いたので、本作には「ああ、こういう物も描くんだった...」とドキッとさせられた。5つの短編はいずれもあまり救いがなく、でも一方で、現実というヤツには確かにこういう側面があると認めざるを得ないところもあり。

  • 5作の短編集で、どれも日々の不満や人生に対する不安、鬱屈した気持ちが描かれています。主人公はみなどこか自己中心的で勝手で、自分だけが不幸だと思っている。
    理由があるようで理由とは呼べないようなかすかな不満。でもそれを感じてる本人にとってはとても大きな不満で、理解されないことへ苛立ち、自分勝手な行動にでてしまう。
    わかるようなわからないような、かわいそうだけど同情しきれない不快感もあります。
    好みもあると思いますが個人的のにはあまり楽しめませんでした。

  • 窪 美澄の本は"ふがいない~"から新刊が出るたびに読む作家のひとり。
    そして、やはり読まずにはいられない。はずれがないというか…
    なんでいろんな立場の女性だったり、男性だったり、年齢もさまざまなのに
    こんなに心象風景が巧いんだろう。
    今回は雨にちなんだ短編集。
    最後の"あたたかい雨の降水過程"はとりわけ良かった。
    ガサツに見えて、やさしいみつきのママや、コンビニの前でヤンキーぽく見えたギャルが足の手当てしてくれたり、スニーカーくれたり。
    生きていくって大変だけど、捨てたもんじゃないと思わせてくれる作品。

  • 不器用にしか生きられずもがいている主人公達。そして展開がイタイのは窪さんらしいし相変わらずの性描写は健在^^;だけど“世にも奇妙な物語”風で5編中4編は救いがなく終わってしまって読後感があまり好きじゃないかな。まあ、好きな人には好きかもしれないけれど。『ゆきひら』は悲し過ぎだ。。。あんまりだ、でもこういうもんだよ・・・とシビアな一面を窪さんは見せたかったのかな。『あたたかい雨の降水過程』は唯一自分の境遇にも似通っていてラストも好きな作品だった。

  • この人はなんて人なんだ。

    一話一話、どうしようもない閉塞感に襲われる。
    すぐに次の話を読むのがもったいない。
    しばらくすると、じわじわとナニカに抱かれているような気持ちになる。

    特に最後の話で「温かい部屋で食べさせる料理を作りたかった。食べさせる。学ばせる。温かい部屋で眠らせる」のくだりは、ぐっと掴まれた。
    子どもがいつかは離れて行ってしまう不安感、離婚した罪悪感、、

    これは、うわべや取材だけでは書けない。

    他の人のレビューを読むと、否定的は方もいらした。
    そういう社会なんだと思う。
     
    ああ、また、
    もう、
    次作が読みたくなっている

  • 窪美澄さんの本は、「ふがいない僕は空を見た」が出たときから読んでいるのだけど、”生”と”性”がテーマになった作品が多い。
    今回の「雨のなまえ」ももちろんそうで、5人の主人公を描いた物語だ。

    読後感は決してすっきりするものではないけれど(私の感想では)、この物語に出てくる主人公がいまよりも少し幸せになれたらいいのになと思えたから、きっといい作品なんだと思う。

    いいことばかりありゃしない。
    まさにそんな人間の生きざまをリアルに描いた1冊。

  • 窪さんの作品におけるタイトルや装幀が空に関する事は非常に窪作品の根幹に関るものだと思う。
    世界を構成する大地と空と海。
    窪という単語から思い浮かぶのははやはり大地であり、在り来たりな事を言えば海は母性の象徴で母でもある窪さんの視線はそこに含まれるとして、だからと言っても息子さんの母なだけで僕ら読者の母ではないのだけども、あとは空だ。

    神様とは空の抽象化に過ぎない。太古から人は自然に恩恵を受けながら畏怖してきた、故に崇めてきた。
    紙と木で作られた日本家屋は火山の噴火や地震によって何百年に一度すべてが崩壊し、それでも生きていく日本人の日本的な観点だしそれが諸行無常という価値観を日本にもたらしていた。

    五つの短編の中には東北東日本大震災にまつわるものが数編含まれている。それは確かに突如起きていろんなものをひっくり返して一部の人が見せたくなったものを露にしてしまった。
    その事が起きた現実を窪さんはきちんと物語の中に落としこんで書いている。そこから目を背けないと言われているようだ。その現実の世界で生きている僕らはもう大震災が起きなかった時間軸にはいないのだから。
    日々の中でゆっくりと積もる心にある暗いどろどろとしているような気持ちは突然何かの言動で現れたり行動に出るというだけではなくその積み重ねの爆発であることが多い、そのきっかけはほんの小さな出来事だったり何かだったりする。そして、他者のそれに僕ら当人は気付けない。ウインドブレーカーの彼女の言動のような仄暗い想いみたいなものとか。

    性への衝動と生と死の狭間でずっと連続運動のようにして続く生活の中で諦めていくもの、数編の終わりにはもう絶望しかないような寸前で物語は終わる。読者にある種委ねる。それは僕ら読者の心の中の湖に大きな石が投げられて波紋が続く。
    それは小説だとできるはずだと窪さんはわかっているから書いていると思う。答えを求めるだけではなく受け手に委ねてのその中でいろんな感情を巻き起こすもの。

    雨の日に読めば小説の世界と閉じられた世界が繋がり、サウンドトラックは名前の知らない雨の音だ。

  • 短編集。現実から逃避、妄想と現実、なんかぐちゃぐちゃ。暗い。3.11の影響あり?
    本の一説でスコールみたいな雨、地球温暖化、ヒートアイランド、そういうことに驚かず、いつの間にか慣れてしまったみたいなことが書いてあって、あらためて考えると「慣れ」ってすごく怖いなと思った。

  • 大好きな窪さんの作品。短編だったので、今度また長編の切ない恋愛ものを読みたい。自分の気持ちを書かれているような作品があって、いつもながらドキッとした。

  • 私は、この世界観好きです。
    ラストで展開ががらっと変わる作品もあって裏切られました。
    「雷放電」が一番よかった。
    美津が布団の中で眠っている、という描写が伏線となっておりラストでそういうことだったか、とこれまでの幸せな夫婦生活が一瞬で崩れていった。なかなかいい夫婦だと思ったのに。
    「ゆきひら」も裏切られ方としてはとてもよかった。
    生徒思いの教師。昔自殺した好きだった幼馴染と転校生の教え子の姿を重ね合わせてしまい…ラストはなんだか主人公の教師が哀れで仕方ない。
    また窪さんは相変わらず既婚者の不倫描写が儚くてエロくて好きです。

  • 短編が5個ほど。
    最後の3つくらいは大地震の起きたときのお話だった。

    日常の中に、受け入れられないものとか我慢してるものがあって、それをうまく消化できずにいると自分で思ってる以上に日常を壊しちゃうのかな。

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