- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334929251
感想・レビュー・書評
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原田ひ香さん...気になっていた作家さんで初めて読みました。家計簿を通じてバラバラだった親子3世代が繋がっていくお話。
加寿さんは、私の祖母と同じ大正9年生まれだったのでこんな時代を生きてきたのか...といろいろ知ることができました。
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働く女性たちへの応援歌と言ったらいささか言い過ぎだろうか。
古い家計簿から始まった女性達の物語は思いもしない方向へ展開していった。
シングルマザーの里里、NPO法人代表の晴美、そして家計簿を記した加寿。
彼女たちの必死に生きる姿、働く姿、それぞれに物語がある。
苦悩を抱え見て必死にもがきながら、それでも前に進んでいく姿にジーンとくる。
一人として男性に依存している女性が出て来ない潔さもまた良い(笑)
ミステリーかと思わせる展開にもグッと引き込まれ複雑な構成にも破たんがない。
よどみのない滑らかな文章はまたすごい作家が出てきたなという印象を持った。
ただ、謎の多い祖母と軋轢のある母親というと角田さんの「私のなかの彼女」が頭に浮かんだ。角田さんに比べるとどうしても浅い。
もうちょっと母親との確執を掘り下げて欲しかった。
でも一般受けするのはリズムがあってぐいぐい読ませるこちらの作品かもしれない。
好みの問題かな。
いずれにせよ、大変面白く読めた。
さっそく以前の作品も図書館に予約しました。楽しみ♪-
vilureefさんこんにちわ。
いつもレビュー楽しみに読んでいます。vilureefさんのレビューはどれも興味がわくものばかりで、今...vilureefさんこんにちわ。
いつもレビュー楽しみに読んでいます。vilureefさんのレビューはどれも興味がわくものばかりで、今回もその中のひとつ『彼女の家計簿』読みましたー!
すっごく良かったです♪
私も母親の朋子との確執をもっと読みたかったです。だけど、そんな事抜きにしても心に響きました。
素敵な作品に出会えるとテンションあがりますね~☆
でわでわ。2014/10/23 -
フーミンさん、こんにちは♪
花丸&コメントありがとうございます(*^_^*)
この物語、とっても良かったですよね。
加寿の思いが受...フーミンさん、こんにちは♪
花丸&コメントありがとうございます(*^_^*)
この物語、とっても良かったですよね。
加寿の思いが受け継がれるといいなと思いながら読み終えた記憶があります。
原田ひ香さん、ぐいぐい読ませてくれますよね。
最新作はちょっと軽そうなのでパスですが、これからも追いかけて行きたい作家さんです。
私の拙いレビューが少しでも参考になっているのだとしたら嬉しいな。
とはいえ、最近ちょっと読書停滞気味ですが。
井上荒野さんの新作の順番が回ってきたようなので、ちょっと楽しみです♪2014/10/24
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なんか…すごく良かった…。
もう終盤の方は涙ぼろぼろでした。感動というのとちょっと違うんだけど、時代を超えた女達の生き様にぐっとくるものがありました。
ちょうど今の自分の年頃が里里と重なって、私にも戦争の時代を生きてきた祖父・祖母もいるので自然と話に入っていけました。
家計簿のちょっとしたメモから垣間見える加寿の生活。喜びや悲しみ、希望や不安が伝わってきて、会った事もない祖母との血の繋がりを感じることができた里里。シングルマザーという社会的弱者でありながら強く生きようと必死な姿は勇気をもらえます。
自立支援団体の代表をしている三浦晴美もまた、女であるという性で傷ついた過去がある女性。その傷に呑みこまれないように必死に気を張って生きている姿にも心打たれました。
決して女だけが弱い立場という訳ではないですが、女ってやっぱり甘えたいし、守ってもらいたい訳ですよ。
晴美が昔つきあっていた永田義道と再会して、過去に囚われたままなのは自分だけなんだと、はっと目が覚めるところは切なかったけど良かったです。
久しぶりに短時間であっという間に読み終えた作品でした。 -
女性の 家計簿は 日記と 同じとは 聞いていましたが。
読んでいくうちに 引き込まれてしまいました。
3人の女性の 生き方。
なんか うまいんですよね。
次の作品 楽しみです。 -
シングルマザーの里里の元に、祖母のものと思われる古い家計簿が届けられた。送り主は、祖母の家の跡地で女性の自立を支援する団体の代表晴美。
存在を知らなかった祖母の家計簿から、里里が見つけたものとは。
葛藤してきた晴美の過去とは。
戦中戦後を生きた加寿、職を失った里里、立派な仕事をしていると言われることに違和感を感じ続ける晴美。
3人の女性の姿を通して、働くことへの生きがいを持つこと、人生はやり直せるのだということが語られています。
家計簿の中でしか語られないですが、加寿さんが素晴らしい。
その血を分けた朋子ですから、頑なな心をいつかは溶いてくれるのではないかと期待したいです。
それぞれの未来が明るいものであろうと思える終わり方で、読後感はかなり良好。
やっぱり原田ひ香さん、大好きです。
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時代時代の生きづらさってあるよな〜と思いながら読みました。
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奉仕とは、ただそばにいるだけでいい。
心に沁みます。
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2020/7/21
古民家から発見された昭和初期の家計簿。
家計簿に書かれた日記のようなもの。
3人の孤独な女性の人生がつながっていく。
繋がって、良かった。
ただ、男たちのしょうもなさに辟易した。 -
シングルマザーの里里の元に不仲な母親から荷物が届いた。それは会ったこともない祖母が書いた家計簿だった。
その頃、女性を支援するNPOの代表である晴美は、老朽化した事務所を建て替えすることになり、忙しくていた。
この二人のストーリーを軸に、話が進み、やがて家計簿を巡って交わっていく。二人のストーリーがそれぞれ面白く、出会ってからも無理なく進んでいく。家計簿に日記のように書かれた祖母加寿の日常も、二人のストーリーと絡んで、三人の女性の物語となっていく。
それぞれの世代の女性の物語として、とてもよかった。 -
プライベートとの折り合いなどで罪悪感を抱えながらも「頑張って働く女性」が話題になるこの頃。最近だけの話という印象が強いが、いつの時代も女性は働いてきたのだと再認識させられた一冊。
今も昔もいろいろ折り合いをつけながら、罪悪感を抱えながら女性は働いてきたのだ。「だから、私も頑張ろう」とは感じさせず、「女は結局、こういう生き物なのだろう」とニュートラルな気持ちにさせてくれた。本書は、「頑張らなきゃ」という気持ちに客観性を与えてくれた。 -
夕顔ネットというわけあり女性達の就労支援をするNPOが舞台。
家計簿というより、家計簿に書かれてた日記のに関する話で、家計簿感はない。
今でも、市販の家計簿には日記欄があるものがありますね。戦中からある文化なんだなぁ。
戦中戦後に綴られた祖母の家計簿の文章が、すごく心を打つものがあった。
戦時中、子供が先生へ「疎開先に会いに来て。すぐに。」と訴える手紙が、子供らしくて。
大人からしたら無理だよね、心配かけちゃうし、と忖度して遠慮するところ、そういうのが無くて、純粋さを感じた。 -
主人公が母親に母性を感じられずに育った心細さや悲しさが、ひしひしと伝わってくる。誰かが誰かを想い、それがその人を支え、成長する力になることが、作中謎の女性「加寿」の戦中の家計簿のとの関わりから、感じられた。冒頭は時代や場面をまたぎ、複数の登場人物が交錯するので我慢かな。最後は女性たちが抱える悲しさ、寂しさがすべて連なっていく。誰かを想うこと、想われることで人が強くなれる。
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ある女性が残した家計簿。そこには「男と駆け落ちして心中した女」の秘密が隠されていた…
「クローズド・ノート」を読み終えたばかりで、次に何を読もうかと図書館を物色中に手に取った一冊。
ノートと家計簿の違いはありますが、ある女性が残した強い想いと、それを受け取る女性、そういう大きいくくりでの共通点を感じながら読みました。 -
シングルマザーの里里が、夕顔ネットの晴美と共に家計簿を通して祖母のことを知るお話。
母との折り合いが悪いが、最後には少し氷解したかなー。大袈裟でない感じが原田さんらしい。出てくる人がみんないい人で、曽我さんの気持ちもわかるし、最後に晴美に言った言葉も突き刺さる。
個人的にはみずきちゃん大丈夫かな?本人が望むように働けるかな?微妙に有名人なだけに、これからいろいろ大変かもしれないなーと、勝手に思ってしまった。 -
主人公?の里里、祖母と思われる加寿の家計簿、家計簿を預かっていた三浦、三者の語りで物語が進んでいく。最初は読み慣れるのに時間がかかったけれど、慣れてくるとそれぞれのその時の思いが伝わってくる。
温かい気持ちで終わる物語だった。 -
あんまり叱っちゃだめよう、そんなに叱ると、会えなくなった時に後悔する、って
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昭和初期、代用教員となり、徴兵された夫に代わって婚家を支えた加寿。
平成の世、その加寿と関わりを持つ2人の女性、里里と晴美は、加寿の残した家計簿の記述を辿ることで、自身の生き方を見つめていく。
3人それぞれの視点で描きつつ、女性の生き方を浮き彫りにしていく問題作。
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いつの世も、女性にとって生きづらい。原田氏が数々の作品で取り上げるテーマです。 ( 多くの女性作家たちも扱っていますが。)
けれど本作は他作品と比べ、明らかに趣が異なります。こんなしっとりした作品も原田氏は書けるのかと意外に思ったほどでした。
また、2つの時代の主人公たちが、どこでどのようにして交錯するのかを1つの焦点にした設定は見事で、つられて最後までひと息に読んでしまいました。
婚約者の心を奪った晴美の目前で頸動脈を掻き切って自殺するというのは作りすぎだと思うけれど、その他はストーリーに無理がなく、読み進めるに従ってどんどん惹き込まれていきました。
さらにエンディングも後味がよく、ぜひ映像化して欲しいと思える作品でした。
原田ひ香さんの長編作品としてはピカ1だと思います。 -
原田ひ香さん5作品目にチャレンジでしたが、これまで読んだ作品の雰囲気や本作の装丁からいって勝手にほのぼの系のお話かと思っていたら、全然違っていて完全なある意味、ミステリーにも近い作風で驚かされました。4人の女性が時を超えて絡み合うクロニクルで、女性が働きながら子供を育てていく大変さがリアルに伝わる描写は圧巻でした。登場人物それぞれにどこか陰のあるキャラがまた魅力的で、ついつい気になり引き込まれてしまいます。シングルマザーの主人公「里里」があらゆる人物とかかわっていく中で変化していく様は微笑ましかったです。
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たくさん本を読んでいると、余計な事ばかり気になってしまう。
例えば、苦手な物語のパターンに似ているか、など。
タイトルの通り「彼女の家計簿」をヒロインがてにするところから始まる物語なのだが、エピローグまで読むと、何というか、女つえー。たくましいってなる。心配していた人情モノでは無く、女性が社会の中で生きるというメッセージ性の強い作品だった。 -
送りつけられてきた祖母の家計簿からひととなり、人生をたどっていく。丁寧に書かれた作品と言う印象。
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シングマザーの親子と NPO法人の代表が、残されていた家計簿で繋がる、奇跡のような話。みんなが幸せになる予感がして本当に良かった。それにしても、女性の自立は難しい。
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加寿の子どもたちに寄り添い、見守る視線に胸があつくなった。子どもを育てる母親として「こうありたい」と強く思う。そして、「女は家」という価値観や、戦時戦後と大きく変わる時代の中でもまれながらも、しなやかに生き、私が進むべき道はこれだ、と見つけて進んでいく力強さ。私にはまだ「これ」とひらめくものは見つかっていないけど、したくないものを一つずつ消していきながら、子どもに恥じないように、一生懸命日々を生きていきたいと思う。
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祖母、母、娘と親子三代に渡るしがらみを解消し、女性の力強さと前向きに生きていくようで素敵な話であったが、『三千円の〜』や『財布は踊る』的なお金にまつわるアレコレを期待していたので、肩透かしをくらった気分。
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はじめから引き込まれてどんどん読んでいった。
シナリオライターとして活躍したとのことが、納得できる筆致だった。
ただ、最後は少し残念。ジェンダーを前面にだしすぎたのでは?
文学としての香をもう少し際立たせて欲しかった。
昭和の女性のキャラクターがちょっと違うように思った。 -
家計簿という名の日記ですかね?
お母さんの心、いつかほどけるといいな -
子どものこころ、大切にしたい。
子どもを思う気持ちも、伝えたい。
表し方には、様々な形があるけれど、悲しい事件もあるけれど、そのぬくもりを、忘れることはないはず...