神様のケーキを頬ばるまで

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著者 : 彩瀬まる
  • 光文社 (2014年2月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929282

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神様のケーキを頬ばるまでの感想・レビュー・書評

  • ずっと気になってた本。ほっこりと思いきや、グサグサくるものが多くて。
    「龍を見送る」はなんかわかる。好きで作ってたのがいつの間にか義務感みたいなの、形式化定式化してしまう感じ。マンネリとは違う感じ。
    「塔は崩れ、食事は止まず」の崩壊から再生は良かった。

    追記
    どの話にも「深海魚」という作品が出てくるけど、謎のままに終わってたなー。

  • 『神様のケーキを頬張るまで』
    彩瀬まる 光文社

    タイトルから想像していたのと、良い意味で違っていて驚いた。よくある、甘いほっこりした話とは違っていたからだ。

    錦糸町にある、ありふれた雑居ビルで働く人々の叶わなかった思いや、大切にしているもの、心から惹かれる何か、出会いと別れ。「どうにもならないこと」「その中でまた生き続けて行くこと」「変化して行くこと」の切ない苦しさと、一筋の明るさを描く。

    この連作短編には、「ウツミマコト」と言う一人のアーティストが初めて描いた絵と、彼がその後「内海真琴」として監督し、話題になっ『深海魚』と言う映画がそれぞれの人間の物の見方や感受性の違いを測る試金石の様に登場する。だからなのか、不思議とそれぞれの話の場面が絵画的な、映像的な彩りを持って迫って来る感じがした。

    一生懸命に生きているのに、思う様にならない人生。誰しも、自分の見たい様に相手や物事を見る。その思い込みによって、大切な人と別れなくてはならなかったり、全く違う他者の視点に立ってぐるりと景色が変わって見えたり。前途洋々とは言えない、冴えない暮らしのよどみから、ふとしたきっかけでまた自分の心を持ち直したりする。

    五つの連作短編は、どれもラストに含みがあって心に残ったが、「光る背中」と「塔は崩れ、食事は止まず」が敗者復活の兆しを感じさせて良かった。

  • 面倒くさい女ばかり

  • とあるビルに関係した5人を主人公とした5つの物語。
    5人の別の生活が、ひとつの映画とビルを架け橋に大きな世界を構成するワンピースになっていて、短編集なのに長編の作品を読んだ読み応えがありました。
    マッサージ店の中年女性と絵画。めぐりめぐって最後の話につながっていて、読み終えるとどこか希望が持てるような、温かい作品だったと思います。

  • 古いビルに関わる人達の短編集
    毎回ウツミマコトの深海魚という映画が出てきます
    主人公が他の主人公の目からどう見えてるのかを描くのが面白いなと思った

  • 短編集。絶賛している方が多かったので、読んでみました。薄暗い雰囲気らしいので苦手かもな、と思っていましたが、読んでみたらどんどん物語に引き込まれていきました。最後の「塔は崩れ、食事は止まず」が特に好き。波江さんの言葉がすっと胸に入る。作中に出てくる「深海魚」のように、この作品も好みが分かれるだろうな、と思いました。

  • 彩瀬さんの文章は金平糖のように甘くて、でも細かいトゲが心を刺すようにちゃんと存在感がある。ちょっとしたセリフでほろっと涙がこぼれる。誰もが抱える小さいようで重大な葛藤や問題をロウソクを灯すようにフィーチャーして、最後はその光が心に残る余韻が最高。5つの話の中でも「龍を見送る」が特に心に響いた。人間の持つエゴやプライドが繊細に描かれているのが彩瀬さんらしくて好きだった。これからもこの人の作品を読んでいきたい、と思えるそんな短編集だった。

  • ひとつの雑居ビルを中心に織りなされる短編集。

    みんな、一所懸命に生きていて、でも報われなくてつらくって。
    それでも、それぞれの最後には、一筋の光が、夜明けのように訪れてくれて、よかった。

    誰からも好かれようなんてありえないこと。
    それはいいのではなくて、どうでもいいってことで、
    だから、ものすごく嫌いだっていう評価があったとしたら、それはすごいことなんだと、そういう話は今に始まったことではないけれど、今回はなんとなく実感として
    呑み込めた。

    きれいごとばかりが書かれていないリアルさで、こういうのは苦手な感じなのだけれど、どの登場人物にもなんとなく希望がもてる終わり方をしてくれたので、まぁ、よかったかな。

  • とある雑居ビルで様々な人生が交錯する連作短編集。つらい出来事や劣等感を乗り越えて、少しずつ前に進む5人の姿にほのぼのした。

    印象的だったのは『七番目の神様』。彼女から嫌われたくないあまりに、好きな映画さえ正直に言えない橋場さんの心理が切ない。エンディングがなんとも意味深…。その後がめちゃくちゃ気になるなぁ。

    最終話『塔は崩れ、食事は止まず』のラストシーンには作者の思いがギュッと込められている気がする。“私は私を褒めていい。” というフレーズにものすごく勇気づけられた。

  • 雑居ビルを舞台にした連作短編集。
    決して人生がうまく行ってるとは言えない人達の話だけど、その人達を語る視点は暖かくて丁寧。これは作者である彩瀬まるさんの人間感が反映されていると思う。
    「塔は崩れ、食事は止まず」で、ある小さな幸せに到達して未来を見つめるオーノさんを通して、人間の幸せとは何かを再考させられた。
    暖かな読後感に浸れる一冊。

  • 20160807
    パンケーキが食べたくなった。

  • 綾瀬まる作品初読。これエエわぁ

    1つの雑居ビルと1本の映画を共通背景とした5本の連作短編を収録。そのどれもが凄く心に沁み込んでくる。今の俺の気持ちに添ってくれるストーリーだったり登場人物だったり、なんやろこの読み心地の良さ。

    どの作品の主人公も、日々の生活を前向いて過ごしている。ツラいことしんどいことがあっても、自分の中でしっかり折り合いをつけて、解決したり受け流したりその場その場をしのいでいく。でも何か一つしのぐごとに、心の中に何か一つ滓のようなものがこびりつき、次第次第に檻が心に溜まってくる。

    5つの物語は、檻がかなり溜まった主人公たちが、やりきれなくなって前向いて生活できなくなったあたりを描く。どの物語にも手を差し伸べてくれる人が出てくる。差し伸べ方は様々。その手を探したり、握りに行こうとする主人公たちの葛藤が実に深くて読みどころなのだ。

    差し伸べられた手をありがたく握っているか?邪険に振り払うようなことをしていないか?自分は誰かに手を差し伸べているか?いつでもじゃなくてもいい、前を向いて生活しているか?前を向いた生活に戻ろうという気持は残しているか?…

    ついつい自分と照らし合わせてしまう。が、良い小説ってのはえてしてそういうもんである、自分と照らし合わせる醍醐味、その中でとゆとりでも勇気でもなんか漠然としたエエモノをもらえる嬉しさ。この本はそういうモノが詰まっていた。

  • ☆泥雪
    どうしても現実から逃げてしまう、目を反らしてしまう癖って、いつの間についちゃうのだろう。そうしなくちゃやり過ごせない何かが、過去にあったのかしら。
    優しさでも暴力でも、それが自分だけに与えられるものなのだと思うだけで、どこか満たされているようにも見える。
    ☆七番目の神様
    自分の弱点ばかり目につく…ことはまああるとして、だからってそれにとらわれ過ぎてちゃいけない。みんながほめてくれることを見逃しちゃいけない。もったいないからね。
    ☆龍を見送る
    遠いから憧れて、光って見える
    ☆光る背中
    その人が好きなのか、その人が持っているものが好きなのか。

  • ≪神様のケーキを頬ばるまで≫

    なんとも言えない,読後感.
    ミニシアター系の映画を見てきたような.
    美しく静々とすすみ,シンプルでありテーマが練りこまれていて,群像劇のようで一人ひとり,一つのひとつの短編に救いがあって….
    後半3つのお話しが特に好きかも.

  • 彩瀬まるさん初読み。

    1つの雑居ビルを共通点にしたお話たちは、どれも灰色がかっていて、でも一筋の光を見つけ出していく主人公たちがいた。

    私は「龍を見送る」と「光る背中」が好きだったな。

    全ての中でウツミマトコの存在がチラリと見え隠れしながらも、捉え方は千差万別。
    実際、話題作というのはそういうものだろう。

    最後、みんながどうなったのか気になったけど、きっとどこかで新しいスタートを切っているであろうことが想像できた。

  • 短編集になっていて、とても読みやすかったです。
    何でもない日常を描いた、その中で、もうちょっと頑張ってみようかな私。って人たちの話かな。
    さらっと読めました。

  • 短編連作集。1話目が一番好きだな。

  • 小さな雑居ビルで働く人たちの連作短編集。

    好き嫌いがはっきり分かれる映画監督の話も色々な登場人物によって語られる。

    大きな事件が起きる訳でもなく、一生懸命悩みながら生きる人たちの生活を淡々と描く作品。

    心に響く言葉もたくさんあるし、読みやすくて感情移入しやすい良作

  • 彩瀬さんの本は初めて読んだけれど、やはり「女による女のためのR-18文学賞」の賞受賞者の方は良い作家さんが多い。
    この方の本も良かった…!
    一番最後の話が一番好きだった。

  • 辛かったり悲しかったり苦しかったり。でもそんなことは人生でいつでも日常茶飯事に起こることで。人より頑張ってる、人より辛い、人より悲しい、そんな風に自分で自分を甘やかしてみても現状は変わらない。変わっていくときは自分が動くとき。そんなどこかの自己啓発本で散々書かれてるうんざりしてしまうような事がこの作品だとすとん、と胸の中に落ちてくる。少しずつのリンクとそれぞれの苦悩や挫折からの次の一歩。誰もの一歩を応援したくなる読後でした。とても、とてもいい作品だと思います。

  • 短編集です。
    「熱帯魚」という映画とその監督、そして雑居ビルがそれぞれの形で繋がっています。

    他の人にはわからない挫折したり苦悩したりしながらもちょっと前進する男女がでてきます。

    大きく前進するわけじゃない、何もかもがうまくいって大団円になるわけじやない。
    それになぜだかホッとしました。
    そんなこと現実では早々あるわけではない、そのリアル感?があったからかも。

    それぞれの先が知りたくなりました。

  • テナントの入っているビル・・で働く人々(または向かいに住む女性等)、監督「ウツミマコト」作・深海魚。
    このキーワードがちょこっとづつ繋がっている、短編連作集。(ウツミマコトの章もあるのかと期待しながら読んでいったのに、彼は結局出てこないで残念)。
    短編連作は大好きです。もちろんこれも好き。
    そして短編連作は、☆甘めです。
    (短編連作じゃなかったら☆3かな。)
    さらさらっと読めて、ときどき琴線にふれる言葉があって、ああいいね。と思って、でもしばらくするとふわふわとあまり覚えてない(苦笑。

    光る背中、が好き。ウツボフィギア持ってる彼女も、プロレス好きな彼女も、アイドルオタクな彼女も好きです。
    「神様のケーキを頬張るまで」・・・いい題名ですよねー。こういったフレーズがキラキラしてて、彩瀬まるさんの超短編(川上弘美さんの「猫を拾いに」みたいな」とか、散文詩とか・・・もういっそ、詩集とかでもいいよね、そういうの、読んでみたいと思いました。
    休日に酒のんで、頭ほわん足軽くフラフラでもサラリと読めそうな本です。(そうやって読んだ本を、後でもう一度読みかえすんですけどね。)

  • 綾瀬まるさんの本は2冊目ですが、この本も良かった~!

    歌舞伎町のとある雑居ビルに関わる人々を描いた短編集。
    マッサージ店を営む女性。
    カフェの店長。
    古書店のアルバイト。
    アプリ開発会社の女性社員。
    雑居ビルの向かいに住む女性。
    それぞれが生き方に悩み、模索中。

    心に残る言葉がちりばめられている。
    「目にしていて、それでも見えないもの」
    「誰にも嫌われないのはいい作品じゃなくて、どうでもいい作品。強く主張するものが無くて、意識に残らないから嫌われない」
    「全部出し切った人の背中は、負けても光って見える」

    綾瀬まるさんの他の本も読んでみたい!

  • 雑居ビルに通うひとたちの日常や想いをつづる短篇集。ちょっとずつつながってるところがいい。

  • 1本の映画と古い雑居ビルでつながる短編集。
    1冊丸ごと読むのは初めての作家。

    人の感情のざらざらな端っこに触ってくる感じが、
    とてもよかった。

    ちょっと暗くて、憂鬱な感じもするけれど、
    大人ってそういうとこあるし、
    それでも歩こうとするところがいいなと思う。

    その先は今より、ちょっと明るい。

    「七番目の~」と「塔は崩れ~」が好きだな。

    にしても、どれも凝ってるタイトルだなぁと思った。

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