神様のケーキを頬ばるまで

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著者 : 彩瀬まる
  • 光文社 (2014年2月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929282

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神様のケーキを頬ばるまでの感想・レビュー・書評

  • この作家、彩瀬まるさん。懐がものすごく深い気がします。

    いろんな年代の、それも性別も違う登場人物が
    あたかも自分のいる隣のビルに本当にいそうに感じる不思議。
    なんでこんなに色々なことを知ってらっしゃるのか。
    彩瀬さんの人間力、どんどん好きになっていきます。

    東京の錦糸町にある雑居ビルと、ある人物に関係する人々の連作短編集。

    仕事場でのちょっとした知り合いや、もっと関係の深い友達。
    その人が見せてくるいつもこちらが見られている面を通り越し
    見ているようで見せてもらっていない、
    いや見たいとこちらが思っていないから、見られていない面に
    スポットをいつも当てている気がします。

    相手と一緒に時間を共有すれば、
    色々なものが変化して、相手との関係性も変化していく。
    いい方向でも、悪い方向でも、
    変化は毎日続き、接近してみたり、離れてみたり。

    時と共に同じ場所に留まれないから少しずつ先に進んでいく。

    他の人には鼻で笑われるような変化でも、自分で愛おしく思っていいんだ
    と思える一冊です。

    しおりさんの『ウツボのフィギュア』
    天音さんが作った『パンケーキ』
    どちらも、ものすごく欲しい~。
    絶対的なもの、私も探そうっと。

  • 錦糸町の雑居ビルを舞台に、マッサージ店を営むシングルマザー、喘息を患うチェーン系カフェの店長、古本屋でバイトするミュージシャン、エリートに恋するアプリ会社のOL、人気カフェの共同経営者とケンカ別れした無職の女性…心にいびつなものを抱えながら不器用に生きる日々を切り取った連作短編集。
    そこはさわられたくないと思う心の傷、多少なりとも誰でも抱えているのではないだろうか。いつも彩瀬さんは、そんなデリケートな部分を敢えて触れてくる。だけど触れられることによって、凝り固まった痛みは少しずつほぐれてくる。
    短編の主役達は、皆どこか頑なだ。向き合う相手に対する思いに、己のエゴ、或いは劣等感のようなものが絡まってがんじがらめになる。必死になればなるほど自らを追い詰め、うまくいかなくなる。そうやってもがき苦しみながら、自分なりに踏み出す一歩のタイミングを見定めて、悩みつつも結論を出す彼ら。読後はあたたかいものが胸に溢れてきた。
    各短編に必ず登場するのが、ウツミマコト監督の「深海魚」という映画。独特な作風のこの作品をそれぞれの登場人物がどう捉えるか…バロメーターのような役割をしているのが面白いなと思った。
    決して明るい話ではないけれど、どの短編も読みこむほどにじわじわと沁みてきて好きだ。でも敢えて選ぶなら、ネット発の若いミュージシャンに井伏鱒二の「山椒魚」のエピソードを絡めてきた「龍を見送る」、人気カフェの経営から外され、無気力な日々からの再生を描いた最終話「塔は崩れ、食事は止まず」がお気に入り。そして各短編に登場する、物語のキーとなる脇役達もそれぞれに魅力的。彼らにも、主役に負けず劣らずの様々な背景があるのだろう…そんな奥行きの深さが感じられる。いい意味で皆、一筋縄じゃいかないのだ。
    自分のみっともなさを認めてしまえば、曇っていた目に今まで気づかなかった風景が映る。傷はすっかり癒えなくても、いつかきっと笑えるようになる。彩瀬さんの作品は、いつもそんなことを信じさせてくれる。

  • 綾瀬まるさんの本は2冊目ですが、この本も良かった~!

    歌舞伎町のとある雑居ビルに関わる人々を描いた短編集。
    マッサージ店を営む女性。
    カフェの店長。
    古書店のアルバイト。
    アプリ開発会社の女性社員。
    雑居ビルの向かいに住む女性。
    それぞれが生き方に悩み、模索中。

    心に残る言葉がちりばめられている。
    「目にしていて、それでも見えないもの」
    「誰にも嫌われないのはいい作品じゃなくて、どうでもいい作品。強く主張するものが無くて、意識に残らないから嫌われない」
    「全部出し切った人の背中は、負けても光って見える」

    綾瀬まるさんの他の本も読んでみたい!

  • タイトルに惹かれて手に取った本。
    「神様のケーキ」という言葉からは何故か美味しそうなケーキは想像出来なくて、もっと抽象的な安らぎのようなものを思い浮かべた。
    毎日オンオフのスイッチを入れては切って、ゴムみたいにブチっと切れそうになりながらなんとか生きている。
    そんな人達の心の揺れを自分の身に置き換えながらどうして切れずにいられるのか。どうしてまた笑えるようになるのか。そんなことを考えていた。

    毎日毎日正解のない問いを投げかける。
    どうすべきだったのか?
    どうしたいのか?
    何を求められているのか?
    あの言葉の真意は?
    そして、全ての問に対して「分からない」と繰り返す。
    「分からない」と繰り返しながら、でもどうにかしなきゃと手を伸ばす。
    その手を握りかえしてくれる手を見つけたり、その手に何かを掴んだと思えた時に感じる喜びがもしかしたら「神様のケーキ」なのではなかろうか。
    その瞬間があるから生きていけるように思う。

  • 錦糸町の古い雑居ビル付近を中心に展開される短編集。
    「ウツミマコト」という作家の絵と映画作品がリンクしています。
    強く感じたのは同じものを見ても、受け止め方は人それぞれということ。
    自分のこだわりや、欠点だと思っているところも、
    ほんの少し見方を変えるだけで世界が変わることもある。

    些細なことにとらわれて、つい周りが見えなくなってしまいがちな私にはどのお話もツボでした。
    「たまには肩の力を抜いて自分を褒めてあげていいんだよ」
    って言ってくれてる気がしました。
    いつも褒めてる気もしますが…ふふっ。
    ものすごくパンケーキが食べたいです♪

    恥ずかしながら『山椒魚』自選全集の削除も論争も、
    全く知りませんでした。
    評価は分かれるようですが、井伏鱒二氏の慈悲に心がなごむ気がします。

  • 会社の社報に紹介されていたので、図書館で借りました。

    雑居ビルを取り巻く人々のオムニバス短編集。

    「泥雪」
    「七番目の神様」
    「龍を見送る」
    「光る背中」
    「塔は崩れ、食事は止まず」

    他の章の登場人物が違う章にちらっと出てくるのがまたいい。

    あと、人々を繋ぐキーワードは「ウツミマコト」

    こういった話は、最終的にウツミマコトの隠された謎(笑)が現れて~て、なると思うのですが、ウツミマコトの存在がチラリズム過ぎる(笑)
    そして、受けとめ方も「名作だ!」「理解出来ない」と極端なのがまたいい。

    何処にでもいる人々の中に、自分自身を垣間見た、そんな作品集です。

    特に「塔は崩れ、食事は止まず」は、仲間割れした相手が不幸になったりして、それを聞いて主役が…な、展開になりがちですが、そうはならないのが良かった。
    あくまでも、相手は関係なく今の自分の現状を受け入れながら、前に進んでいこうとするところに作者の愛を感じた。

  • 5つの短編からなる作品。『骨を彩る』がよかった!と思って本書を手に取ったのだが、3つ目の話を読み終わった時点では物足りなく感じた。その理由は「終わりのあっけなさ」である。僕が『骨を彩る』を読んで良いなあと感じたのは、読みながら、そして読み終えてから「じわじわと」込み上げる感動、あったかさだった。それを読者にもたらしてくれるのが彩瀬まるの文章の魅力だと思った。しかし本書の3つ目の短編までは、その魅力が失われている。「え、ここで終わるの?」という物足りなさを感じる。あったかさで心が満たされないのが残念で堪らない。
    ところがである。
    4つ目の短編で僕のそれまでの評価が一気に覆る。話の締め方に対する不満もあったが、それと同じぐらい僕の心をモヤモヤさせていたものがある。それは「ウツミマコト」という映画監督の処女作『深海魚』が全ての話に登場する意味だ。この映画は、王道のラブロマンスなのだが、主人公のシンクロナイズドスイミングの振り付け師が恋人である女性アスリートに究極の演技を求める。そのストーリーが暴力的でエロチックな為、評価は真っ二つに割れる、という作品である。3つ目の話を読んだ時点で、「ああ、究極を求めると精神もなにもかも壊れるから、ほどほどでいいのよ、ほどほどで」というまるで近所のおばちゃんがよく口にするような言葉しか思い浮かばなかった。彩瀬さんが伝えたいメッセージはそれなのかと思った。
    全く見当違いである。
    彩瀬さんは近所のおばちゃんではなかった(こう言ってるが僕は近所のおばちゃんを侮辱していない)。
    話が前後して申し訳ないが、僕が感動した4つ目の話のあらすじはこうだ。
    主人公はIT会社で事務員をしている28歳の女性、十和子(とわこ)。合コンで知り合った一流会社勤めで34歳の上条に惹かれる。十和子の趣味は「プロレス」なのだが、彩瀬さんの趣味もプロレスなため、プロレスを語る十和子が彩瀬さんに実写化されしまうのは僕だけではないはずだ。それはまあいいとして、何回か食事に誘われるのだが、お洒落をして、話す内容は食べ物とか旅行とか職場の中の変わった人の話で、自分の趣味が「プロレス」とは言えない。上条が自分を好きなのかどうか、自分は上条のどこが好きなのかと悩み、職場のトイレに籠もっては新着メールの問い合わせボタンを連打する(想像するとおもしろい)、上条から食事に誘われれば嬉しくなってついていく、というようなことを繰り返していた。
    しかし、あるときに「芦原しおり」というイラストレーターとふとしたきっかけで(これには「ウツボ」が関係している)友人になる。
    しおりと飲みに行ったときに、ウツミマコトの『深海魚』の話になり、映画を観てない十和子にしおりがストーリーを説明するが、反応は良くない。しかし、しおりはこう述べる。

    「(・・・)そのまま出してくれてるんです。みじめな部分も、どろどろの汚い部分も、ごまかしたり取り繕ったりしないで。それって、もの凄く勇気や胆力のいることだと思います」

    僕はこの箇所を読んだとき、はっとした。これまでの話の主人公はみな相手に合わせているひとたちばかりだと。十和子もそうだと。プロレス好きだと言えないで、上条に好かれようと、行動している。上条に溺れて「本当の自分」を見失っているのだ。後日、十和子は上条に自分の想いを打ち明けるが...さてどうなる?
    5つ目の短編だけが他の4つと毛色が少し違うと僕は感じました。なので、4つ目の話でそれまでの3つの話で著者が言わんとしていることをしおりに語らせたのではないかと僕は思うのです。
    しおりだけではありません。十和子はなぜプロレスが好きなのかをこう述べています。

    「ぜんぶ出し切った人の背中は、負けても光って見えるんです。」

    脱線するが、ソチオリンピックのスケート競技のショートプログラムで浅田真央選手がそれまでしたこともないようなミスを連発し、メダル獲得が危ぶまれる、というようなことでメディアが騒ぎ、世界中のファンが動揺を隠せないでいた。僕は「あらまあ、大変なことになったねえ」とこれまた近所のおばちゃんがテレビを前に誰にともなくつぶやくようなセリフをつぶやいていた。しかし、翌日のフリースケーティングで浅田選手は自己最高得点をマークする。最終結果は6位入賞とメダルには届かなかったものの、浅田選手は演技に満足しているようであったし、彼女の演技、涙は世界中のファンを感動させた。
    僕が本書を読み終わって思い出したのは浅田選手の演技終了後の姿だった。美しく、輝いていた。十和子のセリフが心に沁みた。でも、僕は浅田選手は負けてはいないと思う。メダルを獲得できなかった=負け、ではないからだ。それは別の問題だろう。彼女は勝ったのだ。1日で気持ちを立て直し、チャレンジし続けてきたトリプルアクセルを見事に決めて!
    ...まあ結局何が言いたいのかというと、彩瀬さんの伝えたいことは4つ目の話に凝縮されてるなあと僕は感じました。もちろん読み手によって好きな話は違うだろうし、それはそれでいいんですが、僕は4つ目の話「光る背中」を読む前に、本書を投げ出さないでほしいと思います。4つ目いいですよ。僕と同じように感じる人、4つ目まで頑張りましょう。

  • 錦糸町の雑居ビルで働く人たちの生活を描いた短編連作。
    マッサージ屋、カフェの店長、古本屋のアルバイト、IT企業のOL、ビルの向かいのマンションに住む元カフェのオーナー。それぞれが、それぞれの悩みをかかえながら生きている。

    『光る背中』に出てきた言葉が強く残っている。
    「いえ、誰にも嫌われないのはいい作品じゃなくて、どうでもいい作品ってことです。強く主張するものが無くて、意識に残らないから嫌われない」

    <収録作品>
    泥雪/七番目の神様/龍を見送る/光る背中/塔は崩れ、食事は止まず

  • 彩瀬さんの文章は金平糖のように甘くて、でも細かいトゲが心を刺すようにちゃんと存在感がある。ちょっとしたセリフでほろっと涙がこぼれる。誰もが抱える小さいようで重大な葛藤や問題をロウソクを灯すようにフィーチャーして、最後はその光が心に残る余韻が最高。5つの話の中でも「龍を見送る」が特に心に響いた。人間の持つエゴやプライドが繊細に描かれているのが彩瀬さんらしくて好きだった。これからもこの人の作品を読んでいきたい、と思えるそんな短編集だった。

  • ≪神様のケーキを頬ばるまで≫

    なんとも言えない,読後感.
    ミニシアター系の映画を見てきたような.
    美しく静々とすすみ,シンプルでありテーマが練りこまれていて,群像劇のようで一人ひとり,一つのひとつの短編に救いがあって….
    後半3つのお話しが特に好きかも.

  • 彩瀬まるさん初読み。

    1つの雑居ビルを共通点にしたお話たちは、どれも灰色がかっていて、でも一筋の光を見つけ出していく主人公たちがいた。

    私は「龍を見送る」と「光る背中」が好きだったな。

    全ての中でウツミマトコの存在がチラリと見え隠れしながらも、捉え方は千差万別。
    実際、話題作というのはそういうものだろう。

    最後、みんながどうなったのか気になったけど、きっとどこかで新しいスタートを切っているであろうことが想像できた。

  • 伊坂幸太郎風だった。登場人物がすべての章でリンクしてて、全てがなんとなくつながっていて。
    パンケーキ、食べたくなった。

  • 今私の中でイチオシの若手作家さん。86年生まれだって。若いのに文章が上手い。角田光代より繊細で、漥美澄より上品で、山本文緒ほど意地悪じゃなくて、皆が感じてるモヤモヤを言葉で表現する才能はナンシー関ばり。前に読んだ「骨を彩る」のほうが衝撃的ではあったけど、これも良い本です。

  • 橋本愛さんおすすめだったので手に取った本。

    会話、主人公の状況などどこかが引っかかってモヤモヤしていても、小さな変化が主人公の背中をそっと押しているようでその姿に自分を重ねて救われた気持ちになる。パンケーキが美味しいとか普段の何気ない幸せも、色々な悩みも全部が生きていることなんだと思った。

  • 短編集。どれも日常生活のひとコマ。優しい人たちが事の大きい小さいに関わらず、人との関わりの中で苦悩する。
    それぞれの短編集をつなぐキーワードもフワリ盛り込まれお洒落。
    おそらく作家と歳が離れている為だろうか、私の感性が繊細さを失いつつあるのか、このフワリの優しさが今回は、、、消化不良気味です。

  • 錦糸町の6階建てのビルのどこかで関わりのある人たちの連作短編集。どの短編にもモチーフとして『深海魚』という映画が使われているけど、それが重要な意味のある作品とも、くだらない作品とも両方の受け止められ方をしていて、それが登場人物それぞれの揺れ動く心情や、物事の多面的な捉え方を示してるようで面白いです。皆、生きるうえで悩みや困難を抱えていても、乗り越えて行けそうな示唆があるので安堵します。

  • ある雑居ビルで働く性別も年齢も職業も異なる人々の連作短編。
    共通項はビルとウツミマコトっていう映画監督。
    登場人物たちはみんな抱えているものがあって、少しネガティブなんだけど、新しい出会いとか別れとかを経験してすごく前向きになる。
    そこにウツミマコトが少なからず関わる。
    ウツミマコトの実態はないのに、影響力は少なからずあって、これってリアルだなーと思った。
    どの短編も好きで甲乙つけがたいけど、
    書き下ろしの『塔は崩れ、食事は止まず』がよかったかな。

    地名が自分にとって、馴染みぶかいのも感情移入しやすい一因かも。

    彩瀬さん初めて読みましたが、他の作品も気になります。

  • やっぱり、まるさんの作品はいい。
    間違いない!って感じです。
    短編集でそれぞれ主人公が全く変わるのだけど
    どれを読んでも共感の嵐。
    どんなに若くても、裕福そうでも
    楽しそうに見えても心の中に抱えている
    屈託が必ずある。
    他人に優しくなれそうな気がする一冊。
    別々のお話が微妙にリンクしてるのもいい。

  • ある雑居ビルを取り巻く人々を描いた連作短編集。
    苦かったり切なかったり、負の感情に潰されそうになるけど、最後は登場人物たちの前向きな姿にじんわり温かくなる。
    「七番目の神様」と「龍を見送る」が特に印象深かった。
    派手な出来事はなく地味ではあるけど、味わい深い一冊でした。

  • 雑居ビルを舞台にした連作短編集。それぞれの一室で、精一杯不器用に生きる人々。
    濃い一日を過ごしても
    淡々とした一日だったとしても
    上手く行かない事の方が多い。
    先の展開を読み手側に託してくれる楽しさもある。
    「七番目の神様」が好き。

  • 雑居ビルを舞台にした連作集。マッサージ店を営むシングルマザー、カフェの店長、古書店でバイトするミュージシャン、IT企業のOL、元人気カフェの共同経営者、みんなそれぞれの事情を抱えて生きています。都会で仕事と孤独を抱えながら人生に悩みつつ、傷ついたときはご飯をおごってくれる友達がいて、がんばって生きていく登場人物たちに元気がもらえました。

  • 彩瀬さんの書く小説を読めば読むほど、ファンになる。デビュー作の花に眩むからルポルタージュ、近著も全て読んでますがいいなって思う箇所がどんどん増えていく。筆力上げてるのが目に見えてわかる。
    こちらは連作短編小説、といってもそんなに繋がってはないです。初めの泥雪がわりと暗くて、首の痣とかDV的な表現がちらつくとき心臓がぎゅってなってひんやりとしていたんですが繊細で、わたしの想像するウツミマコトの絵らしい話で、反抗期の息子とのラストとかよかった。
    わたしが好きなのは龍を見送る。売れない頃から一緒にやってきたボーカルで彼氏だった男が他の女と組み、それが自分が作詞作曲したものよりも世間で評価されるなかでのこと。あんたの彼女のまま、あんたが他の女と作った曲を聴けるほど、心広くないっていう言葉にNANAを思い出しました。そこを除けばすごく好きな話。ラストの温泉宿でのシーンてわ目頭熱くなった。


    一生懸命なのにうまくいかない。そんなことってたくさんある。これを読んで救われる人はきっと多かれ少なかれいるはずです

  • 彩瀬まるさんの、ほんのちょっとずつリンクしている5つの短編。さらさらと気持ちよく読めました。

    がんばっているけど、みんな少しずつうまくいかない。でもどうにか折り合いをつけて生きていくわけで、登場人物の諦めや潔さ、切り替えるための前向きな姿には何度かはっとさせられました。

  • ある雑居ビルを舞台に5人の人生模様を描いた連作短編。皆精一杯頑張ってるけど悩み葛藤している。そこから何かに気づいて一歩前に進んでいく。前作のような感動ではなく共感するお話、特にラスト二編がたまらなくいい。次作が待ち遠しい。

  • タイトルと表紙で衝動買いしました。
    読んでみたら、とても好きなタイプの本でした。よかったです。

    自分にとって、大きな事を乗り越える人々の話しでした。
    苦しみながらも、確実に一歩を踏み出す人の姿は、見ていて感動的ですね。

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