- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334929329
感想・レビュー・書評
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この作品のスタイルがけっこう好きだ。人生のある場面を切り取って一覧表にしてあるような。まるで神様になったかように、ある人間の人生を俯瞰するのだ。ぽんと年月が飛んだあとに現れる情景で、描かれなかった時間に何があったのか、ありありと想像させてくれる。
それにしても、ひろ江は扱いづらいタイプの女だと思う。社交辞令とか他人の感情をほとんど考慮しない。それはもういっそすがすがしいほどだ。最初は痛々しさすら感じられるのに、いつの間にか、一本筋が通ってるじゃないかなんて思ってしまう。
明子との関係の変化もまた興味深かった。
「業」なんだよなあ、と思う。いい悪いじゃなく、どうしようもない業を、なんとかして背負って歩いて行くひろ江の姿がラストで輝いている。
ヴラマンクやビュフェの絵のような、荒々しく骨太な印象を受けた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スカッとする話。
わたしは、ひろ江が好きだな。
小さい頃から、周りにいる碌でもない大人を見てきて、ちょっとひねくれちゃったのかなとも思うけど。
人に感謝する気持ちとか、うざったいと思っても関係を切らない優しさとか、そういうのをちゃんと持ってる人だと思う。
明子のことは、ほんとうざったいと思うけど、任せておけば大丈夫だという安心感みたいなものをくれる人物かな、と思う。
実際、明子の頑張りで、ひろ江は再ブレークできたし。
女性はいっぱい出てくるけど、誰が我慢ならない女なのかな。 -
実にいい話なんだ、これが。
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変人女流作家と彼女を支える姪っ子の成長物語。「嫌な女」に続く大傑作で、ちょっとした仕掛けもお見事です。「女」シリーズとして続くのかなぁ。だとしたら見逃せません。