二歩前を歩く

著者 :
  • 光文社
3.36
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本棚登録 : 286
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929343

感想・レビュー・書評

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  •  ホラーとミステリがうまく融合されていて、すごく好みな感じでした。
     
     両方の要素がある場合、京極堂シリーズのように、怪奇現象のように見えて実はちゃんとカラクリがありました、という作品が結構多い。でも、この作品では、怪奇現象が起こる「原因」についてはミステリ的手法で解き明かすけど、怪奇現象そのものは依然としてそこにある。

     例えば、トイレに花子さんが出たとして、花子さんが死んでしまってトイレに出るようになった経緯は科学的、理論的に証明されるけど、花子さん自身は幽霊として確かに存在している的な。
     
     怪奇現象については、スリッパが勝手に進むとか、ガソリンが減るといつの間にか給油されているとか、派手じゃないけど「何それ!?」と興味をそそられるものが多いです。ラストはホラーとしてのオチもついていて、なかなか怖い。最後の話だけはちょっとほっこりする内容でした。

     連作短編になっていて、どの話でも「小泉」が登場人物から相談を受けて謎を解き明かします。各話の主人公たちは何らかの罪を犯している人が多く、それが怪奇現象の引き金になっているのですが、小泉に相談する前に自分の胸に聞いてみたらどうなんだ。心当たりありすぎでしょ!

     中には展開が読めてしまった話もありましたが、全体的にはミステリとしても、ホラーとしても楽しめると思います。

  • 石持浅海らしかった。上手く数字が組み込まれててどの短編も楽しめたけど、テーマの都合上か似てしまっているので若干単調に感じる。
    一歩ずつ進む、がいちばん好き。ナナカマドはラストが納得いかない…。

    三階に止まるは何故これに収録されなかったんだろう?

  • 静かにぞわりとさせられるような、不気味な短編集。
    最後の話のおかげで後味も良い。

  • 石持浅海の、怪奇系ロジカルミステリ。連作短編集。
    非科学的な現象に対し、その発生理由をロジカルに解き明かしていく、という作品集。
    結構面白かった。
    フーダニットやハウダニットが丸ごと削がれているのはさすがに少し寂しく、ミステリとしては評価しがたい。
    しかし、人外のなにかが、人間味溢れる理由でささやかに生活に入り込んでいく感じは、温かいエンターテイメントとして読み応えがある。
    作品が、1-2-4-5-7-9と進んでいくのも、遊び心があって好き。
    「ナナカマド」はどこの雑誌で既読だった。一番好きなのは「五ヶ月前から」だろうか。
    3-

  • 2015.5.12

  • 幽霊的なものが存在する世界における安楽椅子探偵もの。
    ホラーテイストだが、連絡短編でパターンがわかってしまうと、あまり怖くなくなってしまう。ネタはホラーなのだが。
    なので最初の「一歩ずつ進む」が、もしやそう来るのか?しかし? という感じで、一番怖さはあったかも。あと、こういう人がそういうことしてるって話なんだろーか、というのもまだわからなかったので。
    しかし、この小泉の同僚たち、ヤバすぎでしょう。いわゆるDQNじゃないのにDQNなことしすぎ。そこが石持ワールドではある。
    現実に考えると一番怖いのは表題作。見えないものにいつ後ろから突き飛ばされるかわからないなんて怖いわー。
    下種さ爆発なのが「四方八方」。もお石持っぽいなあ、と思ったが、そういえばこれによく似た実話があった…。というかそれだけじゃなくよくある話かも。現実の方がもっと下種で怖いかも。ごめんなさい石持さん。
    「ナナカマド」は、ミイラ化した水子の足が脇腹に刺さるってそんなことありえんのかよと笑った。ミイラのほうが損壊しそうなものだが。
    「九尾の狐」でなんかほっこり締めにしているのが石持っぽくなかった。
    ほかに「五カ月前から」を収録。

  • うひょー!星新一?じゃあないけど同じ読後感。久しぶりだなあ、この感じ。小泉さんいいですね。

  • ホラーだと何でもありになってしまうからなー。

  • 超常現象と論理という相反するものが見事に組み合わされている。

  • ・家に戻るとスリッパが勝手に位置が変わっている。
    (一歩ずつ進む)
    ・道を歩いていると向かって歩いてくる人が必ず
     ぎょっとした顔で二歩前で避ける。(二歩前を歩く)
    ・亡き妻の髪の毛を壁一面に貼り付けた男(四方八方)
    ・朝、消したはずの風呂場の照明が、
     帰宅すると必ずついている(五ヶ月前から)
    ・車のガソリンが残り三割になると必ず
     勝手に七割ほどまで増えている(ナナカマド)
    ・先輩のポニーテールが、自分に仕事を頼む時に
     意思を持っているかのように二つに割れる…
    (九尾の狐)など6話収録。

    たまたま図書館で見つけてこの作者さん
    最近読んでないな~と借りたのですが
    思ったよりも面白かったです。
    ミステリだと思うと「ん?」となりますが
    SF(すこし不思議)かホラーテイストで
    楽しめました。

    連作短編集ですが、それぞれのタイトルに
    数字が入っていたりで凝っているわりに
    最後の話で共通の登場人物である小泉自身の
    話になるかと思ったらほったらかしで終わったのが
    残念。でも最後にほっこり話が来たので
    後味は悪くなかったです。

    全くどんな内容か知らなかったので怖!と
    思ったのは「一歩ずつ進む」
    本気でホラーではないか…とおののいたのが
    「四方八方」。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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