忘れ物が届きます

著者 :
  • 光文社
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感想 : 177
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929381

感想・レビュー・書評

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  • 大崎梢さんの本は初めてでした。
    装丁がかわいくて図書館で手に取ったのですがミステリーものだとは思っていませんでした。
    ミステリーはあまり読まないのですがこんなに優しさにあふれるものがあるのだな…と、ほんわかさせてもらいました。

  • 『忘れ物が届きます』は、とってもいいタイトルだと思います。
    この短編集にはこれ以上の名前がないのではないでしょうか。

    なくし物って事態が落ち着いてから、それこそその物が必要な局面が終わってから見つかったりします。
    この短編集の中で届けられる「忘れ物」も、それが本当に必要な時に届けられているわけではないようです。
    何かが永久に失われてしまってから受け取る「忘れ物」は、受け取った相手に「真実」の断片とともに優しさと悲しみをもそっと差し出します。

    自分が知らなった誰かの想いを、もう絶対に手出し出来なくなってから知るというのは、いいことばかりでも悪いことばかりでもなく難しいことだなぁと思います。
    もし、あの時それを知っていたら…
    そうしたら、人生は大きく変わっていたんです。きっと。いや、絶対に。
    今の自分はもっとずっと違う場所にいたんです。
    知っていた方が良かったのか。
    それとも知らなくて良かったのか。
    そんなことどう判断したらいいというのでしょう。判断しようのないことです。
    忘れ物が届くというのは、ある意味とても恐ろしいことなんだと思います。

    では、この短編集は悲しいお話ばかりが収められているかと言えばそんなことはありません。
    どの話もとても優しいです。
    届けられた「忘れ物」には誰かの優しさが込められていて、つらい「真実」をただつらいだけのものにはしません。
    そんなところが切なくも愛おしい短編集です。

  • 時を経て明らかになる、過去の出来事の真相。
    決してハッピーなものではなく、苦みや、鈍い痛みを伴う。
    それでも不思議と心あたたまる。
    当時の人々の思いが、時を超えて胸を打つ。
    5編で違った味わいを楽しめる。
    優しい表紙のイラストが、作品にぴったり。

    「沙羅の実」は、一気に読まなかったせいで、初読ではラストの意味が分からず。
    改めて読み返して、じわっとくる。

  • 「そういえば、あの時結局どうだったのかな…?」というような過去のちょっとした謎の真実を考える(暴く!や解明する!という程でもない)5話のお話。
    表紙と内容のギャップにウキウキしたが、内容はそれ程深くもなくあまり頭に残らない。中には文章の言葉足らずか、私の理解不足か、分かりにくい内容の物もあった。一番最初の「沙羅の実」はラストの意外性が面白くて良かった。

  • 人に薦められて手に取りました。名前は知っていたけど多分、薦められなければ手に取らなかった作家さんの一人。

    結果として薦めていただいてよかった!
    他は未読ですが、少なくともこの一冊だけでも読めてよかったと思わせてくれました。

    生きていたら時々「あれってどういうことだったんだろう?」とナゾのまま通り過ぎてしまう出来事や、人には言えないような秘密を抱え込んでしまったりすることもあります。
    そういう解決することはないだろうと諦めている「人生のモヤモヤ」がある日思いもよらないところから答えが振ってきて…という短編集。
    「忘れ物」とはそういう意味かと、最初の一編を読んで膝を打つ思い。
    しかしどの話もすごくよく書けている。じわ~んと心が暖かくなるような読後感。
    この一冊なら中高生にも薦められそうですね。

    どの話が好きか、心に残るかは人によって結構違うでしょうけれど、読後自分にも忘れているような届き物がくることはないだろうかとちょっと期待してしまいます。

    あまり人の薦めの本はぴんと来ないと思ったら読まないほうですが、たまには自分では手に取らない本を薦めていただくというのも発見や出会いがあっていいものですね。
    そういう意味ではこの本自体が「届き物」だったのかも。

  • 此方は短編集だそうです。。。

  • 本のタイトルに惹かれて読んだ。
    過去に置いてきた忘れ物=事件
    それを時を経て、再度見直していく。
    刑事の出ないミステリー短編集。
    短編ごとに人の生き様がギュッと詰まっていて、心に残るストーリー。

  •  犯人探し、事件の真相よりも、事件に伴う人の交々が、情感たっぷりに想い起こされる話。『沙羅の実』は短編で良かった。長編で味わうよりも端的に、インパクトよく味わえて、その心情がさらに強烈な印象として心に沁み入った。
    短編にどれも共通しているのが、何十年も昔か、以前の出来事を今謎解く話。

  • 「忘れ物が届きます」うまいタイトルつけたなぁ~(^^)どの話も過去に起こった事件の謎が解き明かされていく過程だけでもドキドキ(゜゜;)なのに、最後のもう一捻りで度肝を抜かれたΣ(´□`;)あれこれ考えずに素直に読むと余計に驚く(^^;)「野バラの庭へ」が一番のお気に入り♪

  • 以前に読んだ本だった。いい感じに忘れてて二度面白かったので、良しとします。

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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