ナウ・ローディング

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 65
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929541

感想・レビュー・書評

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  • 20180107

  • ゲームをテーマにした小説の第2弾。
    前作同様好きな作品。

  • ゲームを題材に取った短編シリーズ第2作…とはいうものの、前作とは少々趣が違い、懐かしのゲームに絡んだミステリーはなりを潜め、なんだか深みにはまって行ってる感じ。

    ゲーム理論やRTAを題材に取った話は分かりやすい、WiiのMiiもまぁなんとなくわかる。けどエログロ同人ゲームは正直読んでてキツかった、描写はあくまで間接的ではあるものの、屍姦やら胴が割れてるやら臓物が出てるやら…、そういうのが好きって世界観が、綾辻行人程度で腰引けてる俺には理解の範ちゅうを超えてる。

    最後の短編は、既刊の作品を読んでいればそれなりにオモロいんだろうなということは分かるが、これだけ読んでもなんのこっちゃ…で、これまた乗り切れず。

    うーん、このシリーズはここまでで、いったん様子見かな。

  • 一大ブームの真っ最中の中に組み込まれ、日々熱狂と熱情の中で自らの役割の担って生きてきたものが、ブームの終了or日常・常態化により自らの足下を見失っていく。
    変わらない日常と倦怠感に対して、過去のカーニバルとの違いにばかり比較してしまうと現在の自分の幸せは見えてこない。
    歳を重ねた自分と社会の変化との折り合い、お祭り騒ぎだけが人生では無いコトへの悟り。

    そんな過去への憧憬がまだ魚の小骨のように突き刺さる主人公?が自らがこれまで築いてきた業界の考察を再構築し、マスターベーションのように自分の過去を再整理することで『今現在』の自分の足下を構築していく癒やし?の物語。

    本書は長編かと思いきや、5つの連作のような作品で構成されている。

    ・もう1ターンだけ
    母校である専門学校の特別講師として教壇に立つ主人公。ゲームの在り方の根底にもある『文章』について講義を進める中で、10年前のタイムレターの処分を任せられる。<br />その中の一遍の文章『just one more time』タイムレターに一文だけ書かれたその文章に込められた思いとともに、自らの『just one more time』の舞台を決意する。
    ・悟りの書をめくっても
    ビデオゲームにおけるリアル・タイム・アタック。通称RTA。RTAを巡る環境は進化し、動画配信によりリアルタイムで不特定多数の閲覧者がプレイヤーの一挙手一投足をネットを介して注目する。そんな中、ベテランプレイヤーの不正が発覚。しかも敢えて誰にでも解るような不正の仕方に込められたその真意とは?
    ・本作の登場人物はすべて
    同人エロゲームの楽しみの一つがイベントをクリアすると観ることの出来るエロ画像のコンプリート。しかし、どのルートどのイベントをクリアしても決して表示されない画像の存在を知ったとき、その表示されない画像を描いた作家の真意とは?
    ・すれちがう
    もはや小学校に上がる頃には誰しも手にする3DS。3DSの通信機能であるすれちがい通信がもたらす、知らない間の友だち関係の漏洩。デジタルの世界になれきってしまった想像力は、デジタル抜きにした子供の衝動を想定できなくなるという現実。
    ・ナウ・ローディング
    殺人鬼が自首した真相とは?その真意を明確に結論づける名探偵の存在。過去の名探偵との関係から自らの人生を縛り付けていた主人公は新たな人生を歩むべくこれまでのローディング時間の必然性を理解する。

    どれもこれも、現在に踏みとどまった停滞の時から静かに過去を振り返り、過去の時間を受け入れて次なる人生に時間をかけつつ踏み込んでいこうとする物語。

    次のステップに向かうには必要な『ローディング』。
    ローディングしないことには今のゲームは始まりませんから(笑)

  • ゲームを題材にしたような感じのシリーズ第二弾。なんか説明が難しいな。シリーズという感じでもないし。

    今回は特定のゲームだけじゃなくて、RTA(リアルタイムアタック)の動画配信だとかエロゲーだとか広いジャンルをテーマにしていたりします。そして語り部もいろいろと多岐にわたっています。
    なかなかに面白かったんですが、なんというかちょっと物悲しいというか寂しい印象。
    ゲームというものは楽しいものであり楽しむものだ、と思ってる自分としてはゲームを題材にした一冊ももっと楽しいものであってほしかったかな。そういう意味では「すれちがう」あたりは綺麗に気持ちよく読めた・・かも。

  • 細かく説明はあるものの、ゲーム好きやゲームをやっているひとならより楽しく読めそう。
    私は3DSをよく使うので『すれちがう』は身近なテーマだった。
    いちばん好きなのは『本作の登場人物はすべて』。このテーマがこっちに転んでくるとは思わず、つい読み込んでしまった。
    連作短編としてもなかなかまとまっていたし、テーマもしっかりしていておもしろかったと思う。この作者は何を読んでも(といっても2作目だが)佐藤誠の事件とやらを絡めてくるのでそちらも読んでみようかと思う。少しめんどくさい。

  • 受け入れろ。こんな人生(ゲーム)だ。
    十年前、思い描いた自分に、なれているかい?
    それとも、思い描いてなんて、いなかったかい?
    夢と希望の果ての果て。青春小説の極北に立つ傑作。

    ゲームクリエーター。ライター。小説家。プレイヤー。
    何も変わっていない。そのことが地獄だった。
    社会現象となった大ブームは去り、ビデオゲームの浸透と拡散は極まった。
    ゲーム情報誌の役割は終わり、一部の熱狂的なマニアは先鋭化していく。
    時代は変わる。年は取る。しかし、今日も明日も、見えるのは同じ景色だ。
    それでも。
    果てなき倦怠と、かすかに見える変化の兆し。
    執行猶予(モラトリアム)が明けた後の、静かな決意に満ちた傑作。

    本作はその構成や扱っている話題から『インサート・コイン(ズ)』の続編であることは明らかであるものの、
    著者のこだわりが強烈に反映されていることが伺える作品となっているため、前作より個人的についていけない部分が大きかった。

    ライター自身の心の変動を描く『もう1ターンだけ』や、3DSのすれちがい通信と、ミステリのミスリードを扱う『すれちがう』は多くの人に許容されそうだが、
    RTAや同人ゲームを主題とした『悟りの書をめくっても』『本作の登場人物はすべて』などは読んでても登場人物たちの心情が理解できたとは言えない。後者に至っては理解したくないほどでもあった。
    表題作『ナウ・ローディング』はお馴染み佐藤誠に関するお話。これも正直何が言いたいのか……。

    〈佐藤誠〉シリーズのひねくれた感は大歓迎だし、一方でこの著者の書く正統派(王道)本格ミステリにとても期待している(たぶんまともに書いてもねじれそうだし笑)。

    ミステリ  :☆☆☆
    ストーリー :☆☆☆
    人物    :☆☆
    文章    :☆☆☆

  • 最初は、何か微妙かなあって言う思いにかられたんですが、だんだん物語になれて来た。
    だけど、なれて面白いかと言われたら微妙なんですよね。
    シリーズ一作目とは違い、柵馬の話しは周辺でしかなかったし、驚きとかなく、よみさかさんにしては淡々としている。
    最後、佐藤誠の話しが出てきた。
    本格に対して揺れているのかって思う…ってここまでをよみさかさんは想定してるのかなあ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。2007年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に選ばれ、『リロ・グラ・シスタthe little glass sister』でデビュー。クールな文体で構成される独特の世界観と、本格マインド溢れる謎解きがミステリ通の熱い支持を受けている。

「2022年 『君待秋ラは透きとおる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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