敬語で旅する四人の男

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著者 : 麻宮ゆり子
  • 光文社 (2014年7月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929558

敬語で旅する四人の男の感想・レビュー・書評

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  • 読むのに時間がかかってしまったけど面白かったです。ところどころにさりげないんだけど、かなり重いテーマが差し込まれていて、胸が苦しくなって何度か泣きそうになってしまった。だけど昇華されるので心地いい。読むのに詰まって一番苦しかったのは、意外と「犯人はヤス」だったような気がする。


    気のせいかもしれないけど……。さりげなく要素が盛りだくさん。同性愛、性転換、夫婦の歪み、共依存、パワハラ、性的虐待、愛着障害、そううつ、自閉症スペクトラム。


    真島、繁田、仲杉、斎木の4人の男にそれぞれ絡んでくる波乱な出来事がイタく、面白く、微妙な距離感と友情(愛情)を感じた。

    斎木とアルエ…のこの先が心配というか…とっても気になるので、続きがあったらいいのになぁ~と思った。女の子にここまで言わせるのは酷だろうけど、そうしないと通じないので読んでいる方がじっれたい!と感じてしまう。「甘い!」と、へこたれない精神で斎木に食いついていくアルエになるのか…気になる二人です。


    あと「夜霧のハウスマヌカン」とか…懐かしいと思ったし(笑)、浅草「電気ブラン」とかオシャレな感じも素敵でした。

    含んでいることや気になることが多いので、またじっくりと最初から読みたいな…と思う。

  • 第7回小説宝石新人賞を受賞した作品。タイトルが面白いなと思って購入。
    選評にもあったが、必ずしもずっと敬語を使ってるわけじゃない。ただ、登場人物の距離感が「敬語を使う」くらいの距離感なのかなと。踏み込むようでいてふと離れる。そのつかず離れずの、でも、ふっと寄り添ってくる感じがあたたかい。
    斎木さんはおそらく発達障害なのだろう。文中にも「専門医の診断がおりている」という記述があったし。こういう人が「ただの変な人」ではなくて、そういう特性を持った人だときちんと描写されているのがいいなと思った。真島くんのお母さんについても、侮蔑した感じがなくて、きわめてフラットに語られているのがよかった。でももうちょっと書き込んで欲しかった気もする。
    仲杉くんのエピソードは読んでいて胸が苦しくなってきた。新開さんとの思い出は切なくて苦くて、ふと涙がにじみそうになる。繁田さんはちょっとキャラがつかみづらかったな。スク水好きのおじさんで登場してるのに、子どもや元妻との関係ではけっこうちゃんとしてるので。でもそういう二面性が人間らしさなのかもしれないとも思う。
    読みやすかったし、物語世界もしっかりしていたので、次回作も読んでみたいと思った。

  • 真島くんと斎木先輩の関係から芋づる式に、繁田さん、仲杉くんと誘い合わせ、四人で佐渡まで旅をすることに。
    いわゆる、『世間が決める規則』通りには上手く生きて行けない人たちや、そこに優しくからんで行ける人たちの物語。
    少数派を認めよう、と声高に言い立てるのでなく、日常のありふれた出来事の中で、時には切なく、時にはユーモアを持って描かれているのが良い。

    斎木の、空気を読まない、正直で純粋な発言が、時に胸がすく。
    そして、仲間を気遣う人なんだろうなと、感じる場面もあり。

    『敬語で旅する四人の男』
    僕・真島圭太のこと。
    四人の始まり。
    父と離婚して出て行った母を、佐渡に訪ねる。
    一人でこっそり訪ね、すぐに帰るつもりだったのに。

    『犯人はヤス』
    俺・繁田のこと。
    バツイチ、京都の元妻の元に子供がいる。
    というか、種だけ取られ、俺は必要なかったんだ。
    身勝手な元妻の実家に、子供を愛宕山に登らせろと命じられる。

    『即戦クンの低空飛行』
    俺・仲杉幸彦のこと。
    「人なつこく愛想のいい」仲杉くんを悩ませる、職場、病的な束縛彼女、結婚・子作りを迫る実家。
    鳥取砂丘で懐かしい面影を偲ぶ。

    『匡(たすく)のとおり道』
    僕・斎木匡の恋。
    人との関係を上手く築けない斎木も、「相手を思いやる」気持ちを少しづつ学ぶ。
    熱海。

  • 新聞の書評で気になって読んでみました。敬語の持つ距離感がいい。男同士ならではの、踏み込み過ぎない、でも思いやりのある関係性に憧れます。大人の発達障害についても自然に描かれていてそこも良かった。登場人物みんな、幸せになってほしいです。

  • なんかおもしろい題名だなーっと思い手にとる。

    そして、おもしろかった。
    それほどの繋がりがあったわけでもない男4人が、
    なぜか泊まりの旅行に。
    しかも、その縁は切れることなく、続いていき、
    それぞれが抱えた問題(母との関係に始まり、彼女との関係、子ども、元妻との関係などなど)
    を含みつつ、佐渡から始まった旅は、京都やら鳥取やら、と。

    旅はするけれど、旅行小説、ではないな。
    抱えてる問題はそれぞれに大変だったりするんだが、
    結構、そこここでくつくつと笑える部分が多く、
    なんだかとっても楽しく1冊読み終えることができた。
    ラクダで登場には爆笑だった。

    斎木さんはいわゆる、最近よくきくようになった、
    自閉症、じゃないな、えっと、なんだっけ?あーまーよくわかんないけど、いわゆるそーゆー精神的な、障害(?)的なものなんだろう。
    本人も大変なんだろうが、周りも結構大変なんだろーなー。
    が、この小説の中では、その大変さは、どっちかとゆーとユーモアな部分を演出している感じで、実際の大変さとは少し解離があるんだろうが、小説としてはとてもおもしろかった。

    真島くんの斉木さんへの感情のベクトルが、
    ちゃんと届いているような届いていないようなところが面白い。

    仲杉さんの顔色が土色なのを指摘する斎木さんと
    本気で心配する真島くんがいい。
    なんか男の友情!!ってゆー熱い感じではないんだけど、
    あったかいなにかがあるようで。

    期待した以上によかったので、
    他の作品も機会があれば読んでみたい。

  • 面白いマンガを読むような興奮があった。
    アスペルガー症候群の斎木先輩が素敵。
    4人のイケメンでドラマになりそうだし、この4人であと数冊書けるんじゃないかという気がする。
    30前後とはいえ、今どきのこれくらいの男って、少年のようでもあり、大人のしがらみとも無縁ではなく、でもまだ夢を見る余地もないわけではなく、物語にしやすいのかも。『まほろ駅』とかもそうだし。
    一気に話題になって消費されて終わるかもしれないけど、ほんものの作家なら残る。これからが楽しみ。

  • 曖昧な表現が理解できず、自分で決めたルールは絶対に守らないと爆発してしまう斎木くん。
    「犯人はヤス」では京都を旅するということで、はっきりものを言わない京都人vs斎木くんに期待が高まらざるをえませんでした。

    物語のトーンは、穏やかですが途中でものすごく笑えたりニヤニヤしたりできました。
    主に斎木くん関係で。
    4人の男たちは大親友というほどでもないんですが、お互い思いやりのあるすごくいい関係だなと思います。
    それこそ敬語であり続ける距離感で、妙に立ち入ってくることもないけど都合のいい時だけの存在でもない。
    こういうゆるーい関係うらやましいなと思います。

    この作家さんのことは全く知らず、図書館で偶然手に取りましたがアタリでした。

  • 4人の男が何度か旅行する連作短編集。こういう、情けないところも不器用なところもあるけれど、普通に優しくて、だからこそちゃんと気を遣う男の人いる気がする。いろいろあってもみんな生きていくんだな。支えあうとかそんなんじゃなく、たまにすれ違うぐらいの関係もいいよね。

  • 仲良くもなく友だちでもないアラサー男性4人が一緒に旅行することになり、それが縁で関係が続いていく。
    仕事も価値観も抱える問題も四者四様。近すぎず遠すぎずな絶妙な距離感で、なんたかんだでバランスが取れているような気がしないでもない。
    所々での斎木の言動がたまらなくツボ。
    これからも4人で色々な所を旅してほしい。

  • 四人のアラサー男性が、それぞれの所縁ある場所へ共に旅をする─。四章それぞれの視点でのストーリー。知り合い以上友達未満という、深くは踏み込まないけど、さりげなく支えになってくれるような付かず離れずな距離感が絶妙。こういう関係って男性だからこそ成立するのかなと思うと羨ましい。

    多かれ少なかれ誰しも心に抱えてることがある─。それを優しく丁寧な言葉で少しずつ払拭してくれるような、読了感が穏やかな本。

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