- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334929558
感想・レビュー・書評
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斎木くんが良い一冊。
なんだか良かった。
なんとなく寄り集まった男子4人が旅をするストーリー。
みんなそれぞれ心に曇りを抱えていて、旅することで晴れやかの一歩手前まで…という自然さが良い。
中でも言葉を正直に受け止める斎木くんの存在が良い。
アスペルガーゆえと思われる正直な言葉が時に救いに時にナイフのような両局面を併せもつ、その描き方も良かった。
飴と鞭のような笑いがあるけれど実際、自分がアルエさんだったら斎木くんの言葉と態度には泣いちゃうだろうな。
大切なのは時間と理解なのかな。
マニュアルを残したお母さんの愛には涙。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第7回小説宝石新人賞を受賞した作品。タイトルが面白いなと思って購入。
選評にもあったが、必ずしもずっと敬語を使ってるわけじゃない。ただ、登場人物の距離感が「敬語を使う」くらいの距離感なのかなと。踏み込むようでいてふと離れる。そのつかず離れずの、でも、ふっと寄り添ってくる感じがあたたかい。
斎木さんはおそらく発達障害なのだろう。文中にも「専門医の診断がおりている」という記述があったし。こういう人が「ただの変な人」ではなくて、そういう特性を持った人だときちんと描写されているのがいいなと思った。真島くんのお母さんについても、侮蔑した感じがなくて、きわめてフラットに語られているのがよかった。でももうちょっと書き込んで欲しかった気もする。
仲杉くんのエピソードは読んでいて胸が苦しくなってきた。新開さんとの思い出は切なくて苦くて、ふと涙がにじみそうになる。繁田さんはちょっとキャラがつかみづらかったな。スク水好きのおじさんで登場してるのに、子どもや元妻との関係ではけっこうちゃんとしてるので。でもそういう二面性が人間らしさなのかもしれないとも思う。
読みやすかったし、物語世界もしっかりしていたので、次回作も読んでみたいと思った。 -
敬語で話す微妙な距離感が絶妙で面白かった。
斎木先輩がいい味出してます。
しかも、毎回4人での旅じゃないところもまた好き。 -
真島くんと斎木先輩の関係から芋づる式に、繁田さん、仲杉くんと誘い合わせ、四人で佐渡まで旅をすることに。
いわゆる、『世間が決める規則』通りには上手く生きて行けない人たちや、そこに優しくからんで行ける人たちの物語。
少数派を認めよう、と声高に言い立てるのでなく、日常のありふれた出来事の中で、時には切なく、時にはユーモアを持って描かれているのが良い。
斎木の、空気を読まない、正直で純粋な発言が、時に胸がすく。
そして、仲間を気遣う人なんだろうなと、感じる場面もあり。
『敬語で旅する四人の男』
僕・真島圭太のこと。
四人の始まり。
父と離婚して出て行った母を、佐渡に訪ねる。
一人でこっそり訪ね、すぐに帰るつもりだったのに。
『犯人はヤス』
俺・繁田のこと。
バツイチ、京都の元妻の元に子供がいる。
というか、種だけ取られ、俺は必要なかったんだ。
身勝手な元妻の実家に、子供を愛宕山に登らせろと命じられる。
『即戦クンの低空飛行』
俺・仲杉幸彦のこと。
「人なつこく愛想のいい」仲杉くんを悩ませる、職場、病的な束縛彼女、結婚・子作りを迫る実家。
鳥取砂丘で懐かしい面影を偲ぶ。
『匡(たすく)のとおり道』
僕・斎木匡の恋。
人との関係を上手く築けない斎木も、「相手を思いやる」気持ちを少しづつ学ぶ。
熱海。 -
面白いマンガを読むような興奮があった。
アスペルガー症候群の斎木先輩が素敵。
4人のイケメンでドラマになりそうだし、この4人であと数冊書けるんじゃないかという気がする。
30前後とはいえ、今どきのこれくらいの男って、少年のようでもあり、大人のしがらみとも無縁ではなく、でもまだ夢を見る余地もないわけではなく、物語にしやすいのかも。『まほろ駅』とかもそうだし。
一気に話題になって消費されて終わるかもしれないけど、ほんものの作家なら残る。これからが楽しみ。 -
タイトルが気になり、読みました。
初めて読む作家さん。
面白かったです。
周りの人は大変だと思いますが、斎木さんがイイ。
他の3人も優しく面白い。
続編読みたいです。