堕天使の秤(はかり)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929831

感想・レビュー・書評

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  • 厚労省・向井シリーズ第3弾。
    偽の外交官ナンバーで、起きた死亡交通事故を追う警視庁捜査一課の視点と、不正年金受給詐欺を追う向井の視点、2つの物語で進められる今作。
    たくさんの病院関係者が登場するが、二つの事件の交点は見えそうで、見えない状況で中盤まで話が進む。
    二つの事件の接点が見えた時、そこにはただの交通事故でも、不正年金受給でもない、もっと壮大な事件の背景が隠されていた。
    これまでだと向井一人の推理で、強引に謎解きがされてきたが、今回は準主役とも言える警視庁の南雲・茂木の推理などもきちんと組み込まれ、これまでの作品よりも、かなりミステリーとして、仕上がりが良かった気がする。
    警視庁の二人にも、それぞれの事情があり、その事情も事件を大きく左右する。
    ラストは、帯にもあるように、「最後に選ぶのは、正義か。愛か。」を問いかけており、今までチャラいキャラを通してきた向井でさえも、悩む。
    読者であっても、自分が同じ立場だったら…と考えずにはいられない作品。
    そして、最後、選んだ答えは、心が温まるものだった…

  • 8月-1。4.0点。
    厚労省向井シリーズ第3弾。
    臓器移植の問題と、ある刑事の祖父の戦後すぐの出来事。
    別物と思っていたものが、最後に思わぬ形で繋がる。
    第一作・第二作と殺害方法にフォーカスを当て、改名していくスタイルが、今回は周囲の人間にフォーカスを当てた感じ。今回の方が読み応えあり、面白い。

  • 佐賀県出身で島根県に移住し、漁師を営みながら作家活動をする同い年?の著者に関心を抱いた。ミステリーとしては私情が強過ぎて緊迫感に欠けるなと思いつつ、読み進むほどに惹かれていった。厚労省の向井君はテキトーに脱力しながらも、やるときゃやる。重いテーマだけに、彼のキャラが中和してくれる。人それぞれ置かれる立場で秤は定まらないけれど、自分自身の考えとしてドナー制度には否定的なのは変わらない。どんなに愛しくても辛くても願っても、運命は受け入れたい。自分が生まれもって授かったカラダ、臓器の働きの範疇で生きていくしかない。

  • 2014/12/30読了

著者プロフィール

佐賀県生まれ。島根県在住。2011年『変若水(をちみづ)』(光文社)島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作に選ばれデビュー。主な著作に『凶血公安調査官 霧坂美紅』(KADOKAWA)『凶眼の魔女』(実業之日本社)『化身の哭く森』(講談社)『背律』(原書房)『堕天使の秤』(光文社)『四面の阿修羅』(南雲堂)

「2023年 『龍のはらわた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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