火星に住むつもりかい?

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著者 : 伊坂幸太郎
  • 光文社 (2015年2月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929893

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火星に住むつもりかい?の感想・レビュー・書評

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  • 第一章は、言葉は悪いがはっきり言って胸糞悪かった。平和警察とは名ばかりの暴力組織、頭が悪いとしか思えない大学生達の性犯罪集団、気に入らないと言うだけで平気で無実な人を落とし込む人々。胃がむかむかして、途中で読むのを止めようかと思う程だった。なんとか読み進めて最後は救われる展開で胃の痛みも治まった。


    それにしても、伊坂さんは時に鋭い話を書かれて怖くなる。市民による危険人物の告発、警察の情報のコントロール、情報収集力、誘導尋問、公開処刑、内部情報の隠蔽…果たして「平和警察」が物語の中の事で済まされるだろうか。このような時代が静かに、音も立てず近付いて来ているのではないか。

    「人間は、安心できる情報よりも、危険を煽る情報に、より反応するんですよ」

    私はまんまと伊坂さんの術中にはまっているのでしょうか…。

  • 本を上にかざしてみると、
    「理不尽」という文字がすかし印刷で
    びっしり印刷されているのでは…。

    と思うほどの「理不尽」のオンパレード。

    世界は「理不尽」で覆われていて
    他者から受けるものだけではなく、
    自分の中にも「理不尽」がインプットされ
    生まれた時点からその「理不尽」は
    自分とともにぴったりとくっついている。

    どんなにあがいて抵抗しても、泣きわめいても
    「理不尽」から逃げ切れた者は一人もいない。

    「正義」と「偽善」は紙一重。
    では「理不尽」と背中合わせのものってなんだろう。

    そんなことを考えながら読んだ一冊です。

    伊坂さん、相変わらず視野が広いです。
    ところどころに出てくる虫の話もさることながら
    正義のヒーローもそんな風に見ていたなんて。

    理不尽と共に生きる私たち。
    その全部は救えなくとも、
    ほんのちょこっとだけ読者を救ってくれる伊坂さん。

    そのちょこっとを求めてまた、
    私は伊坂作品を読んでしまうんだと思います。

    シャレた題名に完全に騙されました。
    でも逃れられない「理不尽」を少し感じてた時期に
    読めてタイムリーだったと思います。

  • 近未来の仮想日本のSFとでもいうのか‥
    宇宙を舞台にしたSFではありません。
    密告による処刑が公開されるという怖い話だが、そこへ正義の味方が現れ‥?

    平和警察という組織が作られ、海外テロ組織への関与を疑われた人物を取り調べる権限が与えられる。
    指定された地区では、しだいに密告が増えてくる‥

    ごく普通の人々が生活している様子のなかに、突如として町の噂や隣人の逮捕といった出来事が降りかかる。
    不運な人もいるが、すれすれで逮捕を免れる人もいる、ちょっとしたユーモアも含みつつ伊坂さんらしい展開。

    謎の正義の味方が実行力を持っている面白さと、上のほうでも何やら独自の権力争いがおきている不気味さ。
    予想のつかない展開のうちに事態は意外な展開を迎えて、ほっとする‥
    が、怖さは残りますね。
    犯罪者同士のダークな話とは違う怖さ。

    人の心の中にある自然な動き、思いやりや勇気、前向きな気持ちを大切に。
    お天道様に顔向け出来ないことはしちゃいけないよって(笑)
    平和を愛する日本を誇りにしていきたいものです☆

  • 監視、暴力、権力、がテーマのほうの伊坂さん。
    「世の中の苦しんでいる人を一人残らず救わなければ正義とは呼べないのか?」という問いかけが、この手の伊坂作品にはつきもの。私も読みながら考えていたけど、今回ひとつの答えが出た。それは、「目の前の一人だけでも救えたらそれで素晴らしい。ただ、このとき素晴らしいのはその人の正義感ではなく、勇気を出したこと」だということ。
    私たちの社会がいつかこうなる可能性はすごくあって、それが怖いなあと思いながら読んでいた。伊坂さんが見せつけてくるものが正論過ぎて、ハラハラしすぎて、いつもなんだかちょっと気持ちが沈む。
    でもラストは「そうだったのね!!!!」という感じで、とてもうれしい気持ちになったし、良い方向に向かっていく兆しが見えて良かった!

  • 最初からいきなり気分のよくない話が続く。重苦しい。本当にありそうななさそうな、でも本当にあったらどうしよう。

    平和警察。一般市民から危険人物を炙り出し、公開処刑する。普通の人たち、ほんの少しだけ疑問を持った一市民たちが、勾留され、尋問、拷問され、処罰される。
    高校生同士のいじめ、諍い。
    女子高生たちを連れ去り襲う大学のサークル。

    これらが、謎の人物により阻止される。正義の味方とは一体何者なのか。目的は。

    嫌な話続きだったのに、そこから謎が深まり気になってくる。読む手が止まらない。これが第二部まで。

    第三部からは正義の味方、警察が言うところの「犯人」の一人称で進む。祖父の死。父の死。その後の、妻の死。知り合いの死。

    この辺から話のスピードが上がってきた。どうなるの。罪のない人たちを守ってくれるの。

    正義の味方を誘き出すための、高校生の公開処刑。そう言いながら処刑の真似が本物の処刑になるかもしれない危うさ。寸前までの息を呑む展開。

    もしかして、正義の味方と金子ゼミを繋いだあの人も、最後のこの客も、変装…というかそもそも本当のところはどっちなのか。
    爆死とか、トップのすげ替え操作とか…侮れない。


    真壁のキャラは、最近観たアニメの刑事とあまりにイメージが近くて、つい重ねてしまった。マイペースだけど正義感の強いあの人。二瓶の気持ちからすると、飄々としてるのに鋭くてどこか気を許せないタイプ。第一印象は平和警察と紙一重な感もあったのだが。

    火星でも散髪屋やりたいのかな、久慈さん。火星ちっとも関係なかったけど。強引にタイトルと結びつけてあるのに英語の意味は違うんですか。でもこっちの解釈もイイ。

  • 物騒な話。
    正義だと言われても、その組織が1番の力を持つと「なんでもあり」になってしまうのね。
    平和警察と名乗っておきながら、全然平和じゃないもん。
    連行したら容疑者に仕立て上げるだけ。こわー。
    自分たちの娯楽のようになってしまっているんだもんなぁ。
    どこか、一箇所に力が集中してしまうのは、全体からみると歪みができてしまうということ。これじゃ、バランスがとれるわけがない。

  • 伊坂さんの言いたいことはよぉ~~~くわかった。汗

    治安維持法を思わせる法が国会を通り、近隣の国やそこの国民に対する敵愾心、そして、ひたひたと日本国民が同じ方向を向かせられているような気持ち悪さと恐ろしさ・・・。

    こんな今の日本だから、近い将来作中にある「平和警察」なんてものが出てきて“魔女狩り”を始めるかも、それはホントに嫌らしく恐いことだよね、と問いかけているんだ、と思いながら読んだのだけど、読み始めてすぐ、とにかく怖くて怖くてとってもまともに読み進められなかった。

    でも、普通ならこの本は私の手に負えない、と放りだしてしまうのだけど(そういうことって私、よくあるのです。汗)、大好きな伊坂さんだし、この先に何が待ち受けているのか、つまり、だからこそ明るい展開が提示されるのかを見たくて、かなり飛ばし気味に読んでようやく最後まで辿り着けた次第。

    で、うんうん、そう出るわけね、という持って行き方には納得できたし、無理して(ホントに!)最後まで読めてよかったと思う。

    でも、好きな話ではなかった。
    権力を持った人の心の恐ろしさ、付和雷同したがる一般人へのそうだろうなという嫌悪感が、辛くて気持ち悪くて・・・。

    これまでにも伊坂さんのスタンスには共感してきたし、これかもきっとそうだと思うのだけど、今度はもっと辛くない話を読ませてもらいたいです。

  • 将来、こんな世界になりませんように、と思ってしまった。また、どこかで会いたいあの人(笑)

  • 相変わらずのさらりとした伊坂調だが、描かれているのは監視&密告社会、そしてかつての特高のような平和警察とは名ばかりの思想警察。そんな閉塞感に覆われた社会に突如として現れたヒーローとは。
    平和警察の憎々しさが上手く書かれていてさすが。現代社会も一歩誤れば、小説のような世界になるかと思うとゾッとさせられる。そんな社会全体を変えようとするではなく、身の丈にあった正義という考え方も伊坂さんらしく、ラストまで伊坂節を堪能できる一冊。

  • 一時、伊坂さんの作品は好きで読みまくったけど、気に入らない内容が増えて離れていた。この作品は・・展開は初期作品に通じるじけど、設定が・・風刺と割り切るには冷酷過ぎる。ラストで中和しようとしても、後味の悪さは消えない。正直、やり過ぎでしょう。少々の優しさでは拭えません。名前の誤魔化し、社会の理不尽さ、人の身勝手さは戯画化でも現実に通じるが・・ギロチンはいけません(^^;
    前の、ふと感じるほのぼのが好きだったんだけどなぁ~

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