火星に住むつもりかい?

  • 2716人登録
  • 3.53評価
    • (107)
    • (369)
    • (407)
    • (63)
    • (9)
  • 397レビュー
著者 : 伊坂幸太郎
  • 光文社 (2015年2月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334929893

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
米澤 穂信
伊坂 幸犬郎
PK
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

火星に住むつもりかい?の感想・レビュー・書評

  • 第一章は、言葉は悪いがはっきり言って胸糞悪かった。平和警察とは名ばかりの暴力組織、頭が悪いとしか思えない大学生達の性犯罪集団、気に入らないと言うだけで平気で無実な人を落とし込む人々。胃がむかむかして、途中で読むのを止めようかと思う程だった。なんとか読み進めて最後は救われる展開で胃の痛みも治まった。


    それにしても、伊坂さんは時に鋭い話を書かれて怖くなる。市民による危険人物の告発、警察の情報のコントロール、情報収集力、誘導尋問、公開処刑、内部情報の隠蔽…果たして「平和警察」が物語の中の事で済まされるだろうか。このような時代が静かに、音も立てず近付いて来ているのではないか。

    「人間は、安心できる情報よりも、危険を煽る情報に、より反応するんですよ」

    私はまんまと伊坂さんの術中にはまっているのでしょうか…。

  • 本を上にかざしてみると、
    「理不尽」という文字がすかし印刷で
    びっしり印刷されているのでは…。

    と思うほどの「理不尽」のオンパレード。

    世界は「理不尽」で覆われていて
    他者から受けるものだけではなく、
    自分の中にも「理不尽」がインプットされ
    生まれた時点からその「理不尽」は
    自分とともにぴったりとくっついている。

    どんなにあがいて抵抗しても、泣きわめいても
    「理不尽」から逃げ切れた者は一人もいない。

    「正義」と「偽善」は紙一重。
    では「理不尽」と背中合わせのものってなんだろう。

    そんなことを考えながら読んだ一冊です。

    伊坂さん、相変わらず視野が広いです。
    ところどころに出てくる虫の話もさることながら
    正義のヒーローもそんな風に見ていたなんて。

    理不尽と共に生きる私たち。
    その全部は救えなくとも、
    ほんのちょこっとだけ読者を救ってくれる伊坂さん。

    そのちょこっとを求めてまた、
    私は伊坂作品を読んでしまうんだと思います。

    シャレた題名に完全に騙されました。
    でも逃れられない「理不尽」を少し感じてた時期に
    読めてタイムリーだったと思います。

  • 近未来の仮想日本のSFとでもいうのか‥
    宇宙を舞台にしたSFではありません。
    密告による処刑が公開されるという怖い話だが、そこへ正義の味方が現れ‥?

    平和警察という組織が作られ、海外テロ組織への関与を疑われた人物を取り調べる権限が与えられる。
    指定された地区では、しだいに密告が増えてくる‥

    ごく普通の人々が生活している様子のなかに、突如として町の噂や隣人の逮捕といった出来事が降りかかる。
    不運な人もいるが、すれすれで逮捕を免れる人もいる、ちょっとしたユーモアも含みつつ伊坂さんらしい展開。

    謎の正義の味方が実行力を持っている面白さと、上のほうでも何やら独自の権力争いがおきている不気味さ。
    予想のつかない展開のうちに事態は意外な展開を迎えて、ほっとする‥
    が、怖さは残りますね。
    犯罪者同士のダークな話とは違う怖さ。

    人の心の中にある自然な動き、思いやりや勇気、前向きな気持ちを大切に。
    お天道様に顔向け出来ないことはしちゃいけないよって(笑)
    平和を愛する日本を誇りにしていきたいものです☆

  • 監視、暴力、権力、がテーマのほうの伊坂さん。
    「世の中の苦しんでいる人を一人残らず救わなければ正義とは呼べないのか?」という問いかけが、この手の伊坂作品にはつきもの。私も読みながら考えていたけど、今回ひとつの答えが出た。それは、「目の前の一人だけでも救えたらそれで素晴らしい。ただ、このとき素晴らしいのはその人の正義感ではなく、勇気を出したこと」だということ。
    私たちの社会がいつかこうなる可能性はすごくあって、それが怖いなあと思いながら読んでいた。伊坂さんが見せつけてくるものが正論過ぎて、ハラハラしすぎて、いつもなんだかちょっと気持ちが沈む。
    でもラストは「そうだったのね!!!!」という感じで、とてもうれしい気持ちになったし、良い方向に向かっていく兆しが見えて良かった!

  • 最初からいきなり気分のよくない話が続く。重苦しい。本当にありそうななさそうな、でも本当にあったらどうしよう。

    平和警察。一般市民から危険人物を炙り出し、公開処刑する。普通の人たち、ほんの少しだけ疑問を持った一市民たちが、勾留され、尋問、拷問され、処罰される。
    高校生同士のいじめ、諍い。
    女子高生たちを連れ去り襲う大学のサークル。

    これらが、謎の人物により阻止される。正義の味方とは一体何者なのか。目的は。

    嫌な話続きだったのに、そこから謎が深まり気になってくる。読む手が止まらない。これが第二部まで。

    第三部からは正義の味方、警察が言うところの「犯人」の一人称で進む。祖父の死。父の死。その後の、妻の死。知り合いの死。

    この辺から話のスピードが上がってきた。どうなるの。罪のない人たちを守ってくれるの。

    正義の味方を誘き出すための、高校生の公開処刑。そう言いながら処刑の真似が本物の処刑になるかもしれない危うさ。寸前までの息を呑む展開。

    もしかして、正義の味方と金子ゼミを繋いだあの人も、最後のこの客も、変装…というかそもそも本当のところはどっちなのか。
    爆死とか、トップのすげ替え操作とか…侮れない。


    真壁のキャラは、最近観たアニメの刑事とあまりにイメージが近くて、つい重ねてしまった。マイペースだけど正義感の強いあの人。二瓶の気持ちからすると、飄々としてるのに鋭くてどこか気を許せないタイプ。第一印象は平和警察と紙一重な感もあったのだが。

    火星でも散髪屋やりたいのかな、久慈さん。火星ちっとも関係なかったけど。強引にタイトルと結びつけてあるのに英語の意味は違うんですか。でもこっちの解釈もイイ。

  • 物騒な話。
    正義だと言われても、その組織が1番の力を持つと「なんでもあり」になってしまうのね。
    平和警察と名乗っておきながら、全然平和じゃないもん。
    連行したら容疑者に仕立て上げるだけ。こわー。
    自分たちの娯楽のようになってしまっているんだもんなぁ。
    どこか、一箇所に力が集中してしまうのは、全体からみると歪みができてしまうということ。これじゃ、バランスがとれるわけがない。

  • 伊坂さんの言いたいことはよぉ~~~くわかった。汗

    治安維持法を思わせる法が国会を通り、近隣の国やそこの国民に対する敵愾心、そして、ひたひたと日本国民が同じ方向を向かせられているような気持ち悪さと恐ろしさ・・・。

    こんな今の日本だから、近い将来作中にある「平和警察」なんてものが出てきて“魔女狩り”を始めるかも、それはホントに嫌らしく恐いことだよね、と問いかけているんだ、と思いながら読んだのだけど、読み始めてすぐ、とにかく怖くて怖くてとってもまともに読み進められなかった。

    でも、普通ならこの本は私の手に負えない、と放りだしてしまうのだけど(そういうことって私、よくあるのです。汗)、大好きな伊坂さんだし、この先に何が待ち受けているのか、つまり、だからこそ明るい展開が提示されるのかを見たくて、かなり飛ばし気味に読んでようやく最後まで辿り着けた次第。

    で、うんうん、そう出るわけね、という持って行き方には納得できたし、無理して(ホントに!)最後まで読めてよかったと思う。

    でも、好きな話ではなかった。
    権力を持った人の心の恐ろしさ、付和雷同したがる一般人へのそうだろうなという嫌悪感が、辛くて気持ち悪くて・・・。

    これまでにも伊坂さんのスタンスには共感してきたし、これかもきっとそうだと思うのだけど、今度はもっと辛くない話を読ませてもらいたいです。

  • 相変わらずのさらりとした伊坂調だが、描かれているのは監視&密告社会、そしてかつての特高のような平和警察とは名ばかりの思想警察。そんな閉塞感に覆われた社会に突如として現れたヒーローとは。
    平和警察の憎々しさが上手く書かれていてさすが。現代社会も一歩誤れば、小説のような世界になるかと思うとゾッとさせられる。そんな社会全体を変えようとするではなく、身の丈にあった正義という考え方も伊坂さんらしく、ラストまで伊坂節を堪能できる一冊。

  • 一時、伊坂さんの作品は好きで読みまくったけど、気に入らない内容が増えて離れていた。この作品は・・展開は初期作品に通じるじけど、設定が・・風刺と割り切るには冷酷過ぎる。ラストで中和しようとしても、後味の悪さは消えない。正直、やり過ぎでしょう。少々の優しさでは拭えません。名前の誤魔化し、社会の理不尽さ、人の身勝手さは戯画化でも現実に通じるが・・ギロチンはいけません(^^;
    前の、ふと感じるほのぼのが好きだったんだけどなぁ~

  • よくぞやってくれました!というスッキリ感よりも怖さが残る読後感。それはたぶん、公開処刑を煽る群衆の中にいる自分を少しでも想像できてしまうから。仮に私の住む町が平和警察の安全地区に指定されたとして、こんな仕組みはおかしいという当たり前の結論にすら辿り着けない可能性があることを、現実社会で感じているから。

  • 平和警察による危険人物の取り締まりと称し、情報操作、密告、拷問、公開処刑が公然と行われるようになった日本。そこに謎の正義の味方が出現し、弱者を救っていくのだが…。

    序盤の拷問や、サディスティックな描写、悪意には気持ちがずんと重くなる。徹底的な悪を描かないと、そのあとの正義を正当化できないから、仕方がないのだろうが、寝る前に読むと寝付きが悪くなった。

    市民と警察の視点が複数入り交じって語られるうち、主要人物が絞られてきて、徐々に全体図が見えるようになる。
    ときどき前のほうのページを見直して、伏線を確認し直しながら読んでいくが、ミスリードされてさらに足元をすくわれる。いつもながら、よく練られたしかけで楽しませてくれた。

    仮想の日本ではあるけれど、監視カメラやネットでの情報操作、そして危険なものをいち早く排除することで平和を守ろうとする人々の姿は、決して現実とかけ離れたものではない。
    悪者をでっち上げ、吊し上げることで捌け口を作り、恐怖政治を行う。そんな日本にはならないでほしいと、切に願う。

  • 一九八四年に代表されるディストピアもの。

    昆虫すごい。組織を変えるには中に入ってトップをすげ替えるといいらしい。

    平和警察よりはシビュラシステムの方が好みだな。

    結局のところ個々が考えなくなること自体がまずいんですよねとか。

  • この本は面白いというより、上手い本だと思う。
    物語を書いたり書き方について考えたりするような人にとっては
    展開や伏線など唸らされるところはあると思う。
    それが他の伊坂作品と比べてどうかという話になると
    この物語が一番優れているというわけではないと自分は思う。

    伊坂作品は小気味良いものとかなり重めのものとがあるが
    この作品については後者である。
    タイトルからはそれが予想できず、気を晴らそうと手にとったので
    ちょっと予想外な展開に読んでいて気が滅入ってしまった。
    あとがきにも勘違いさせたらごめんというような趣旨があったので
    ちょっと笑ってしまった。


    ネタバレあり。


    いつかこんな時代が来ないとも言い切れない不気味さに、
    本当に読んでいて底冷えするような恐怖を感じた。

    ゼミがトラップというのも読んでいて本当に辛かったし、
    ヒーローが所謂意味でのヒーローではなかったことも
    がっかりというと少し違うような気もするがショックを覚えた。

    特定の登場人物に思わず肩入れしてしまうような
    特別に魅力を感じるキャラクターはいなかったように思う。
    ラストもすっきりとしているとは言いがたく
    読者に解釈を委ねられた終わり方になっている。
    淡々と描かれているからこそ、どこにでも起こり得るようにも思えるのかもしれない。

    こうして物語として書き起こされ、いろんな立場の人からの視点で書かれていると
    わからない一般市民が異常なように見えるが
    実際渦中にいれば徐々に慣れてしまい異常さに気がつけず、
    冤罪という重大な可能性にも目を伏せて、
    犯罪を犯しそうもない人物が犯罪をしたのだと言われてそれを疑うのではなく
    あの人は危険人物だったのだと納得してしまうということは
    現実にありえることであり現実に起こっていることでもあり
    空恐ろしい内容となっている。

    火星に住むつもりはなくこの地球で、日本で住むしかない
    その中で一体自分には何が出来るのだろうか。
    自分が彼らの立場になったら、何が出来るか。しようとするのか。

    動物の本能として、安心できる情報より危険な情報、恐ろしい情報に反応するというのは
    確かに尤もである。
    実際大昔のこととは言え魔女狩りは存在したのだから。
    他人事だと思っていたことが突然自分の身に振りかかる。
    この恐怖は、平和警察などの突飛な設定がなくとも
    現実に起こりうることだ。

    犬や音楽などいつもの伊坂作品にお馴染みのものも登場しつつ
    郵便配達員も序盤から何度も織り込まれている。

    すべての人を救わないことは偽善というあたりは読んでいて胸に痛かった。
    個人的に、ボランティア活動をしていても同じような目にはよく合う。
    全員を助けることは難しい。だがそれをしないなら偽善だと後ろ指をさされ
    何故かひとりも救っていない人が偉そうに人を否定し、
    正しいことというのがよくわからなくなってくる。

    やはり一番興味深かったのは武器となる磁石のくだりで
    磁石を束ねる時S極とN極を揃えると磁力は強くなるが
    向きを揃えない方が安定するというのは大変印象的だった。

  • ゴールデンスランバーのような感じ。
    世界の経済のパワーバランスの移行、テロ、正義などなど
    今の世界情勢も学べるような内容。
    著者の言いたいことが伝わってくるような感じもする。
    読んでいる間、これからの日本がどうなっていくのか想像してしまう。
    テロが起こる理由もわからなくもない。生まれた時から階級制度のように、運命は覆すことができないのなら、この資本主義社会を、格差社会をいったんぶっ壊して更地にしてしまおう。という考え方はあるんじゃないかなと。
    しかもスピードの増したインターネット社会のおかげで、もはや国という集団を個人でも壊すことはできなくはない。
    これからどうなるのか。遠くの国で起こっている戦争はもはや身近なことになっている。

  • 系譜としては『モダンタイムス』のような監視社会が舞台。タイトルからSF作品かなと思っていたら違った。残酷な描写を軽い表現で書いているけれど、実際にあったら怖いことばかりだよなぁと思う。最近の伊坂幸太郎は当たりはずれが大きいなぁ。

  • ドキドキしながら読み進めたけど、私の想像力不足もあって、そんなに強力な磁石だったらもっと日常生活に影響出ちゃうんじゃ・・・?とか余計なことを考えてしまった。でも、また仙台が舞台なので、そのあたりは想像しやすくて楽しませていただいた。
    久慈の祖父の宝くじの話は、誰かのために使っても偽善って言われるし、自分のためにしか使わなくてもケチっていう人はいるし、努力せずに何かを手にした人に対しては何か言わずにはおれない人が必ずいると思う。人一人にできることなんて限られているんだから、自分の中で限界を決めるのは正しい方法だと思う。

  • 悲嘆の門を読んで気分が重くなったので、軽い話を・・・と、伊坂先生の作品に手を出したら・・・初っ端から期待を裏切られました。
    もう少し時間をおいて違う本を読んでから読むことにします。

  • 振り子の揺れを真ん中で止めることはできない。大事なのは行ったり来たりのバランス。偏ってきたら別方向に戻さなければならない。警察には警察にとって都合のよいシナリオがあって、殺人者さえも釈放される。義だ誠だと声高に叫びながらも自分たちにとって都合のいい情報が真実となる。社会の人の考え方も一つに揃えない方が自然な状態。全体の力は弱くなるが安定する。それはそれで、ある意味、平和ということなのかもしれない。良くも悪しくも今の世相である。自分自身のありようというものを静かに見つめなおすことができた。

  • すごい小説。素晴らしい小説を読んでしまった!一日使って読んで、今は達成感と充実感でいっぱい。とてもこわかった。恐ろしかった。でも面白かった。
    本当の意味での正義とは善意とは何だろうと考えた。この小説には色んな人がいて色んな考え方があった。震災のことも重なった。病気のことも重なった。死を意識したことも。フィクションだけれど、伊坂さんの心の葛藤のようなものもとても感じた。苦しくなった。でも最後には優しい方向に終わった気がする。バランスが大事だなと思った。偏りはやっぱりこわいし、ダメだよねぇ。
    伊坂作品はいつもそうだけど印象的な言葉が多いなぁ。忘れないようにノートに書いておこう。
    とても楽しい読書時間だった。15/06/19

  • デビッド・ボウイさんの名曲のタイトルを冠していますね。
    だからといって、その曲自体との関連性は、あくまで気分的なものみたいです。
    「住みづらい浮世」=「火星にすむしかない」というたとえ話的な気分。
    原曲の意味とはちょっと違う使い方。

    伊坂幸太郎さんの最新作。
    オーウェルさんの名作「1984年」を、仙台を舞台にして、痛快にハッピーエンドにしたような内容です。

    これまでに、衝動買いした
    「チルドレン」(2004) を皮切りに、発表順で言うと

    「ラッシュライフ」2002
    「陽気なギャングが地球を回す」2003
    「重力ピエロ」2003
    「グラスホッパー」2004
    「死神の精度」2005
    「魔王」2005
    「砂漠」2005
    「陽気なギャングの日常と襲撃」2006
    「ゴールデンスランバー」2007
    「モダンタイムス」2008
    「SOSの猿」2009
    「オー!ファーザー」2010
    「バイバイ、ブラックバード」2010
    「マリアビートル」2010
    「夜の国のクーパー」2012
    「残り全部バケーション」2012
    「ガソリン生活」2013
    「死神の浮力」2013
    「首折り男のための協奏曲」2014
    「アイネクライネナハトムジーク」2014
    「キャプテンサンダーボルト」2014
    「火星にすむつもりかい?」2015

    と、なんと23作品読んでいることになります。
    僕は好きです。凸凹はありますが。
    大体において、犯罪があったり殺人があったりというのはほぼ一貫していまして、
    それなりに入り組んだ伏線と、弱者への暴力という現実を認めつつ、
    フィクションとして最後にうっちゃりをかまして溜飲を下げる、というエンターテイメント性。
    そういう意味で基本は男子向きなんだろうとは思います。
    (ここまで読んじゃったら、もう、未読の作品もおいおい全部読んじゃおうと思っています)


    特に好きなのは殺し屋モノ「グラスホッパー」「マリアビートル」。
    それから「バイバイ、ブラックバード」「キャプテンサンダーボルト」。です。
    僕としてはこの4作は特に、真冬に凍えて帰って風呂につかるような快感でした。
    (並べるとカタカナ題名ばかりですが…)

    ####

    「火星にすむつもりかい?」。面白かったです。

    設定はまあ、現在もしくは近未来?の日本。
    2015年現在の安倍政権よりも、もっと恐ろしい国家権力重視な政権下の日本です。
    (2015年現在からまっすぐ直線上に想像できるところが怖いんですけどね)

    このフィクションな日本では、「平和警察」という名前の、戦前の特高警察のような組織ができています。
    この組織が警察の一部でありながら特権的な力を持っていて、
    「テロに加担している」という疑いをもたれた市民、あるいはそういう密告を受けた市民を、
    合法的に拉致監禁して、非人道的な拷問を課して、
    例え無実でも自白させてしまって、公開処刑しています。
    市民はこの警察を恐れつつ、
    「まさか無実の人を有罪にしていないでしょう。彼らは悪い人なんだろう」
    と、納得してしまっています。
    そして、「密告した者勝ち」の様相を呈しています。

    ここで寒気がするのは、

    「人を見下して、優位性を味わいつつ虐げる喜び」

    「他人事に不感症になり、スキャンダルとして娯楽的に愉しむ国民たち」

    「権力そのものを正当化して、権力を行使するために、暴走する権力」

    ということを圧倒的に描いていることですね。
    それはつまり、

    「あなたもわたしも、われわれの身近にも、実際そうでしょう?」

    という慄然とするリアリズム、とでも言いますか。


    つまり、「いじめ」「パワハラ」の構造... 続きを読む

  • 偽善行為、自己満足、自己犠牲など、なんとなく触れて欲しくない部分が事件を通してさらされる。
    政情が良くなった様でそれは振り子がどちらかへ振れたに過ぎない。
    そこから逃れたかったら“火星に住む”しかない。割とストレートな伊坂ワールド。

  • 伊坂幸太郎自身も後書きで書いていたけど、すごく読むのが辛かった。

    夜の国のクーパーでも、自分が恐いと感じたことを書いて安心すると語っていたけど…なんでこんなに恐いことを書くのだろう…と思った。

    恐い内容に対して、それを乗り越える部分が私にとっては比率的に少なくて、なんというか、人間の恐ろしさに目を向けさせる小説なのかな…という印象で終わった作品でした。

  • 「どうした私!伊坂の世界に入り込めないわぁ」
    と思いつつ読み進めて途中、あぁ、伏線回収をしたいがためにオチを作るための前半戦?!と深読みをしながらあれよあれよという間に深みにはまり込み、でもどうしても納得できないまま終盤へ。
    練りに練ったストーリーテラーに舌を巻く思いですが、なんだろどうしてだろ、☆は5つ付けたくない。
    後味の悪さ、手を洗っても洗っても綺麗にならないような気がしてしまうような・・・

  • いつも伊坂氏の語り口ではあるが、世の中の設定が実はおそろしい。善悪、偽善について考えさせられる。世の中常に偽善の中で生きているような気すらするもの。その果てにもしかしたらこんな社会が待ってるかも?そのころ火星に住めるようになっているかどうかは???

  • この前に読んでいた本に比べてページが進むこと進むこと…改めてエンタメ読書だな自分、と痛感。
    さて、伊坂さんの新作です。正義って何かね…と菅原文太さん風に聞きたくなるような。伏線回収のスカッはあっても、読後感はスカッとする感じではなくモヤモヤと考えさせられる。ゴールデンスランバーやモダンタイムスで公権力の怖さみたいなものはよく書いておられますが、それともまた少し違う感じ。
    集団心理の怖さ?暴力のもつ引力?誰が、何が正しいのか?
    常識を疑え、心で感じろ、という言葉がうかびましたが、本当にこんな風になったら下を向いて嵐が過ぎるのを待ってしまいそうだ。と言っている時点で他人事なのだが。
    淡々と抑えて話が進む感じが余計に怖かった。伊坂さんらしい軽妙な会話や伏線はいつものように楽しかった。

全397件中 1 - 25件を表示

火星に住むつもりかい?に関連する談話室の質問

火星に住むつもりかい?を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

火星に住むつもりかい?を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

火星に住むつもりかい?のKindle版

ツイートする