子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334962142

感想・レビュー・書評

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  • 本書の惜しい点を一つ挙げるとすれば,それは邦題にある。

     『子どもは40000回質問する』

    これではどこかの子育て指南書と勘違いされかねない。
    (少なくとも私は勘違いした)

    もともと本書の原題は CURIOUS(「好奇心旺盛な」という意味)。
    そう,本書はわれわれヒトの「好奇心」について,
    心理学的な側面から解説した一般向けのノンフィクションである。


    本書はまず,言葉を理解する子ザル・カンジの紹介からはじまる。
     
    カンジは人が話す言葉を理解して,口頭で受けた指示に従うことができる。
    たとえば,記号を使っておやつをねだったり,
    ドアを開けてほしいと頼むとその通りにしてくれる。
    カンジはいわば,天才子ザルだ。

     
    この実験によって,カンジの知能がきわめて高いということ,
    そして人間と同様に,サルも言葉を理解し,それを操れることが示された。
    つまり,動物の中で,人間とサルは知能的に近いといえる。
    しかし,この実験によって両者の違いも浮き彫りとなった。

    カンジが絶対にしないのは,なぜかと問いかけることだ。(P12)

    カンジは冷蔵庫を使えるが,その仕組みに疑問を持たない。
    自分の周りにいる人間の生態に興味を抱かない。
    自分がサルであることに疑問を持たない。
    人間はサルを観察し,その生態を解き明かそうと必死なのに…。


    好奇心とは何か。
    サルとは違い,人間が「なぜ?」と問うのはどうしてか。本書はその謎に迫る。

  • 単なる子育て本と思い本書を手に取った。そうそうにその期待は裏切られることになるが、決して悪い裏切られ方ではなかった。大人になってからも好奇心を十分に持続させることでき、新しい世界を知ることができることに希望を持つことができた。

    もちろん、子供との関係において、問いを発することの重要性や、こどもの認知の変化を知っておくことは子育てをするうえで重要なことであり、子育てにも十分活かすことができる。

  • 近年読んだ本ではダントツに面白く、かつ勉強になった!


    特に好奇心のU字曲線と学校の基礎学習の話はまさに納得。

    学校の勉強なんか詰め込み式で受験用でしかない云々…というフレーズ(←上手く言えないけど、なんか安易過ぎてあまり好きじゃないのよね)が巷によく溢れてるけど、その主張に対して明確に反論している。基礎となる知識がなければそもそも好奇心が湧かないというのは、最近読んだ滝本哲史さんのミライの授業にも通じる部分があり、自分の中でバチっとリンクしたのが気持ち良かった。


    題名からすると育児本の様に思えるが、全くそんな事はない。老若男女問わず読んでみるべき内容だと思う。
    学び続けよう、と励まされた様な気がしました。


  • 子どもの好奇心をその子の為に育ててやれるのは親を始めとする周りの大人たちだ。とはいえ、親は子供たちが好奇心によって絶えず指を指したり、質問したりすることに苛立ちを覚えることもある。食事の用意をしている時や、友達と話している時、Eメールを書いている時、子どもの問いかけに一つ残らず応じるのはなかなか難しい。

    最近ではますます手軽に、大人が対応すべき役割をデジタル機器に任せられるようになっている。テクノロジーは、子どもの好奇心から親をしばしば解放してくれる素晴らしい存在だ。私たちは子供をテレビの前に座らせておくことも、携帯電話を触らせておくことも、あるいはお気に入りのゲームの入ったiPadで遊ばせておくこともできる。そういったことが子どもに対する最悪のしうちだというつもりはない。しかし私は、専門家の意見を聞き、子どもたちの学習のメカニズムについて知った今、娘からの問いかけを受け流すたびに、娘の知りたいという内なる欲求を台無しにしてきたのではないかと深く反省せずにはいられない。

  • タイトルは子どもの教育本色が強いが、中身は親に限らず全大人向け。
    原題が"Curious: The Desire to Know and Why Your Future Depends on It"なので、日本向けに教育色を強めたのかなと推測する。好奇心の意義、育て方などを豊富な実例を元に紹介するがっつり好奇心本。

    「ダ・ヴィンチのToDoリスト」「パズルとミステリー」「苦労して学ぶほうが習熟度は高い」「情報技術は人間の好奇心にとってプラスか」が印象に残った。

    ・アイルランド和平
    ・退屈会議

  • 面白かった。
    当たり前すぎて言語化したこともなかったが、「好奇心を持つためには基本的な知識量が必要」という事実に目から鱗が落ちる思いである。
    本書の論点はいくつかあるが、個人的に刺さったのが上記の「基本的な知識量」の問題だ。例えば「関東では桜は三月末に咲いて一週間程度で散る」という基本知識が無ければ、沖縄の2月の桜や、北海道の5月の桜の面白さは理解できないだろう。
    好奇心は人間以外の動物には無い感情であり、第4の基本的欲求という見解も理解できる。

    <アンダーライン>
    ★★★★★
    背景知識

  • 好奇心がいかに大事かを改めて感じ、考えさせられるとても良い作品。
    子どもに限らず、成人以降の知識についての分析もあったのも為になった。
    好奇心と不安と安心感のバランス、可能性の広げ方等々。すごく納得がいく内容だった。

  • 2年ほど前に一度読んでいた。そのときはあまり響かなかったけど、改めて読んでみて色々気付きが多く、当時はロックダウンで疲れてたのかな、、と思う。

    タイトルは正直内容にふさわしいか不明だが、より多くの子育て世代がこれを手にして、新たな気付きが得れるであればそれは成功なのかもしれない。

    知的好奇心をどうやって保つか。育てていくか。子供に関して言えば親の役割は大きいということと、パズル化されてる世の中の流れの中で、ミステリーを追求するかのようか楽しみに時間を要せるかがポイントなのかな。

    幅広い知識をつけること。知性がセレンディピティを生み出す。

    脳に負荷をかけること。フラストレーションを感じること。空白を意識すること。

    ググって一発解答OKの世の中から生まれるものは何か?

    夫婦関係の維持についても言及されており、一人の大人として、人生に大事なことを教えてもらった一冊であった。興味深かった。

  • はるさん推薦


    好奇心をどう活かすがが現代。

    好奇心の歴史(威信失墜、問いかけ、解答の時代)という変遷が面白い

    子どもの好奇心に大人が反応することが大切

    うしなかった好奇心は取り戻せない

    好奇心格差が社会格差へ

    貧しい家庭では、質問の仕方を知らない


    マインドマップ参照
    【気づき】

    ・子どもの好奇心に応えることはかなり重要。
    失った好奇心は元に戻らない。




    以下、心に残ったところ

    ・好奇心旺盛なコンピューターは存在しない。

    ・好奇心は環境によって大きく左右される。
    生き方次第で好奇心をかきたてることも、台無しにすることもできる。


    ・拡散的好奇心
    知りたいと言う心のうずき
    これは探究心の第一歩だ。
    未知なるものへと目を開くきっかけとなり、新たな経験を求め、それまでのなかった人々に出会うことを後押ししてくれる。
    ただし知ることへの欲求を膨らませて成熟させない限り、何の洞察も得られないまま興味の対象を次々と変えるだけで、エネルギーと時間を無駄にしかねない。
    方向性を持たない好奇心は不毛だ。


    ・知的好奇心
    知識と理解を求める意欲
    意識的に訓練をしなければつかない奥深い好奇心。個人とっては、魂の糧となる満足と喜びをもたらす。
    組織や国にとっては、独創的な才能にたっぷりとエネルギーを注いでイノベーションを誘引し、いわば鉛に過ぎない拡散的好奇心を黄金に変える媒体となるだろう。
    知的好奇心はさらなる飛躍の時代を迎えても良さそうだが、私たちは拡散的好奇心を浪費するばかりだ。





  • 読む目的
    質問について構造、心理などを知りたかった。

    所感
    知りたいテーマではなかったが非常に面白い内容だった。

    概要抜粋
    ・好奇心が高いのは個性ではなく状態=環境で手に入る
    ・好奇心を得る方法=つまらないを楽しいに変える方法は、目的意識を、持ち探究すること(好奇心を持つ)
    ・好奇心は学ぼうという意思によってのみ保たれる
    ・退屈は夫婦仲(人間関係)にも悪影響がある
    ・退屈〈言い合いをする=一緒にやることがある

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