絶対貧困

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著者 : 石井光太
  • 光文社 (2009年3月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334975623

絶対貧困の感想・レビュー・書評

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  • 何十カ国と途上国を回り、そこで生きる人々と暮らしを共にしながら取材をした著者が語る、テレビでは伝えられない貧困地域に生きる人々の生活と問題。


    世界全体の中で、一日一ドル以下で生活している人が十二億人(五人に一人)、二ドル以下になると三十億人(二人に一人)にもなるそうです。百円(一ドルとして)と聞いてまず浮かんだのが一〇〇円ショップ。「気に入らなければ捨てればいいか」くらいの軽い気持ちでついつい買ってしまう商品一個分です。じゃあ、あのお店一軒で何人の人が暮らせるのだろうか?そんな疑問と後ろめたさがごちゃまぜになった気持ちになりました。
    さて、そのような人々が暮らすスラムとはどのような所なのか?一般的なイメージとしては、不衛生かつ危険な所で、やせ細った子どもたちがバタバタと死んでいく・・・そんな感じでしょうか。確かにそれは事実でしょう。でも、そこで暮らす人にとってはそれが日常であり、その中でお金を稼ぎ、食事をして、性の営みがあり子どもを育てているのです。ときには身の危険もありながらその暮らしを体験した著者は、いろんな意味で凄い人ですね。
    彼らがなぜこのような生活レベルにあるかと言うと原因は色々あるでしょうが、私が一番問題だと感じたのが『負のスパイラル』でしょうか。貧しいが故に教育を受けることが出来ないのでろくな仕事にもつけない。当然そこで生まれた子どもたちも同じ道をたどり、犯罪の被害にも加害にも近い環境下におかれてしまうのです。この悪循環を断ち切るためには、もちろん社会制度を整える必要があるのと同時に、彼らの目線で日々の問題を考えていくことも大切だと著者は説きます。未来への希望がなければ今を生きられないし、今を乗り切らなければ未来はやってこないということなんだと思います。
    しかし、考えれば考えるほど自分には何もできないと情けなくなります。それでもせめて無関心にだけはならないようにしなければと思いました。

  • 今までメディアで見てきた貧困のルポとは毛色の違う書き方に戸惑ってしまった。悲惨、可哀想から一歩踏み込んで、作者はスラムに寝泊まりして、そこで起きている日常をありのまま伝えているのだろう。物乞いが儲けをよくするための工夫(障害を重く見せたり、赤ちゃんを借りたり)売春婦のヒエラルキー、そういうの知って、どう考えるのか?どう感じるのがいいの?と、どうしろっていうの?と消化できず。遠い国の出来事と片付けられる時代でないのはわかったのだけど、ただ知っただけで、何をしたらいいかなんて考えられない私が残った。

  • 久しぶりに「この著者の本を全部読みたい」、と思う本に出会った。
    “貧困”という言葉に隠れて、今まで見ていなかったし見ようともしていなかった現実。
    一日1ドル以下で暮らす人たちが毎日何を考え、何を思い、何を楽しみに生活しているのか。それを少しでも考える時間がもてたこと。

    この本でも言及されているカンボジアに私は行ったことがあるけれど、ガイドをしていた年配の水上生活者が「チップとして1ドルくれ」と言ってきたときむっとした自分が恥ずかしくなった。

    自分にできることはただお金をあげることでも物資をあげることでもないと思うし、何ができるのか今はまだわからないけれど、
    「何かをしたい」と痛切に思う。

  • 貧困国の現在が見えてくる。
    筆者は発展途上国である、インド、カンボジア、タイ等様々な国を自らの足で周り、体験し、目にしてきたものを事実として生々しく写真を添えて語っている。貧困地域の生活感や暮らし方がこの本を手に取ることで見えてくる。
    お金がないからお金を稼ぐために、仕方なく薬に走ってしまう人たち。売春婦も同様だ。もちろん、教養などないから頭を使う仕事には就けないし、知識もない。
     この暮らし様を知って、同じ人間として胸が痛むのだが、果たして私のできることは何なのだろうかと考えた。

  • 世界の最下層の人たち、例えばスラム街、浮浪者、売春宿などに暮らす人たちの生々しい実情が書かれている。人間について深く考えさせられる。貧困により人間性が破壊され、さらに弱いものを傷つける。人間の見たくない部分を軽妙な語り口で書いている。
    驚くべきは、危険でもある現場に入り込み取材する筆者の行動力。すごい人がいるもんだな。麻薬・薬物についての言及あり。大麻に関しては、文化圏によっては容認されており、ヘロインなどハードドラッグとは一線を画すものであるとはっきり述べられている。

  • 途上国のスラムなど貧困地域で実際に生活を共にした著者でしか書けないものだと思った。
    世の中には知られてない実情、当事者たちの思いなど、本当に知らなかったことだらけだ。
    特にレンタルチャイルドの話は本当に酷くて胸が苦しくてたまらなかった。

    現地での物売りや物乞いなどにはキリがないから無視するようにとかよく言われていることに対し、著者はその瞬間にたった数十円をケチることはどうなのか?ギリギリの生活をしている人はそれでその日をしのげるかもしれないのに、と発言していてなんだかとても救われた。本当にそうだよな。根本的な解決にならなくとも、目の前のことに対して自分が思う当たり前の行動をしていいんだよなと思えた。
    でも、一方でそれがマフィアなどの利益に回ることもあるかと思うと一概には言えないということも分かってしまったわけだけど。

    あと、読んでいてとても怖くなったのは、講義形式での文章のせいか、遠いどこかの世界の同じ人間ではないものたちの話を聞いてるような感覚に陥ってしまう自分がいたことだ。著者はこんなにも現地の人の目線で話してるのに私はどんな立場でどこからそれを聞いているんだろうと。

  • 「絶対貧困」といわれる人々の生々しい日々の生活の様子が描かれています。貧困の問題を考えるとき、「貧しい人々」と一括りに考えてしまいがちですが、当然のことながら、多様な事情、価値観を持つ人がいることに気づかせてくれます。また、我々が写真やドキュメンタリーで植えつけられてる貧困層への「イメージ」と現実の乖離、裏の話まで書かれており、とても興味深いです。

    中には、このような話を苦手と感じる方もいるでしょうが、読みやすい文章ですし、一読する価値はあると思います。

  • 貧困の現実を、スラム編、路上生活編、売春編の3つに分け、彼らがどのように生活しているのか、石井さんが現地で見てきたままに描かれている。写真が多く、現状がリアルに迫ってきた。世界各地の貧困地域を訪れ、何年もスラムのあばら家で眠り、路上で物乞いたちと飲み、女装男性と踊り明かしてきたという石井さん。彼の取材力は本当にすごい。

  • たんなる体当たりではなく,そこに生きている貧しい人々に寄り添った考えさせられるルポ.講義形態で非常にわかりやすく,写真が多いのも理解を助けてくれます.

  • インド、ベトナム、カンボジア、タイで見た光景を思い出しつつ読んだ。
    ユーモア溢れる文章で綴られる貧困の現実。
    わたしの町で路上生活者を見かけなくなったのはいつからだろう…
    あの人達はどうなったのだろうと考えてしまう。

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スラム、物乞い、ストリートチルドレン、売春婦の生と性…1日1ドル以下で暮らす人々と寝起きを共にした気鋭のノンフィクション作家が語る。泣けて、笑えて、学べる、ビジュアル十四講。

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