日本思想という病(SYNODOS READINGS)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334976033

作品紹介・あらすじ

日本思想における右翼や保守の意義とは何か?そもそも右翼と保守はどこがちがうのか?「あの戦争」を不可避なものとした「保留の思想」「中今の思想」「無の思想」とは?なぜ日本の大衆は、文系知識人を疎んじるのか?終戦、安保闘争に見られる思想とは?靖国神社、象徴天皇制をめぐる思想とは?二〇世紀、二一世紀、二つのゼロ年代における経済思想の反復とは?-日本特殊論を抜け出し、新たな視点で戦前・昭和の思想を読み直す。

感想・レビュー・書評

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  • 回送先:目黒区立緑が丘図書館

    萩上チキがプロデュースする「シノドス」プロジェクトの一環。日本思想のなかのねじれてしまったきっかけを探る営みになっているのだが、編者がそれについてきているかといえば評者は率直に同意しにくい意見を抱いてしまう。バラバラとか編者の編集能力の限界という問題ではなく、根底部分が同じであるがゆえに「編者の位置」をとりづらくなっている印象のほうが強い。
    というのも、ここで言う「日本思想」の定義をめぐって発話者間で微妙に(というか大きく)食い違う箇所がいくつか見られるからで(「近代日本」で変容した東洋思想のことなのか、近代化以降に日本に上陸した西洋思想の日本語アレンジメントなのか、はたまたそれらに対するアンチテーゼなのかという部分を指す)、これはこれで頭の体操になりまた同時に「日本思想」に対する思い込みを是正する効果もある。

    しかしながら、あえて苦言を言うのであるならば、日本思想にとっていまだにくびきである「京都学派」と「近代の超克」についても編者・発話者おのおのの言及が求められよう。『日本思想という病』を名乗るのであれば避けられない部分ではあるし、これに対する立ち位置の不明瞭さと魑魅魍魎さが、思想を用いることへのアレルゲン的反応を呼び寄せたり、あるいは思想を邪険視する環境を助長したりする側面があるからだ。

  • 2023.6.4読了。

  • 簡単なブックレビューもついているので、入門として手に取るには悪くないと思う。

  • 保守、右翼の説明が面白い。

  • 思想、思考、感情、理論
    その不確実で、不測的で、不完全なるもののために、
    私たちは何度も歴史の罠に嵌ってきたのだなぁ、と思います。

    時間や空間的に、限られた範囲で視野を狭めてしまうよりも、
    歴史との対話による視野の拡張はとても、意義があります。
    広い時空間の膨大な情報量に隠されてしまった事実を発掘し、
    過去や未来、日本や世界を学び、現在の様々な問題に適用させていこうという、前向きさ。


    この本は、「思想」という、
    ともすれば、特定の世界や集団や世代の視野の中に、人を押し込めてしまうことのありそうな、
    また、身近でありながらも、あまり語ることが一般的ではないという意味で、限られてしまった分野に対して、
    史的にアプローチをもち、それを一般と共有しようと試みた点で、とても、優れた本だと思います。

  • 各講師のセミナーをまとめたものなので、話す事を前提にされているのでわかりやすく、読みやすい内容になっている。
    日本でよく語られる意見はどういう思想が元になっているのか、そういう思想が生まれた元はどこにあるのかとそれぞれが意見を語っていて、それに賛同するもしないも関係なく、そのものを見直すのは良いことだと思う。
    あえて不満を上げるなら、基本的に批判で後ろ向きな態度が強めな人が多いことくらいかw

  • 用語や思想についても丁寧に説明されていて、とくに保守や右翼についての話はなかなか楽しめました。
    書中の推薦図書も読んでみたい。

  • 5名による「思想」と「歴史」に関するセミナーを文章に起こしたもの。
    「なぜこの国は行きづまるのか?」という副題が冠してあるわりには、それに対するアプローチがあったのかどうなのか…といった感じがする。
    ただ単に知識不足だったのかもしれないけれど、わりと上級者向けな感じがした。僕のような素人ではなかなか読みこなせない。総括するようなことも、到底無理な話で、これにレビューを書くなんて恐れ多い。
    ただ、それぞれのセミナーの末尾にセミナーへの理解を深める?ための書籍が紹介されているところに善意を感じました。

  • 満員電車の中で読むにはちょっと固すぎ。
    座ってじっくり読まないと。

  • http://synodos.jp/
    この知のプラットフォーム集団が手がけるセミナーをまとめたもの。
    発見の多い1冊でした。

    歴史や思想というものの、ある種「使い方」が垣間見えました。

    保守思想についてなども勉強になりましたが、
    個人的には、「文系知識人の受難」に没頭。
    根深い「理系文系論」の出発点に触れました。
    つくづく、明治維新以降の日本はユニークな作られ方をしたのだな、と。
    「日本では大衆が知識人を自分たちから遠い存在とは思わず、自分たちと同じなのに妙にいばっている者とみているのではないか。学校制度と徴兵制度が絡んでいる」とかいわれると、ぎくっとします。
    当たり前、珍しいと思うことの根本を探ることは必要なのかもしれません。
    演者曰く「高等遊民は、いまでいうと引きこもりやニート。明治40年の様子が2007年と良く似ている」とのことですよ。

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