ルポ 子どもの貧困連鎖 教育現場のSOSを追って

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  • 光文社 (2012年5月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334976903

ルポ 子どもの貧困連鎖 教育現場のSOSを追っての感想・レビュー・書評

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  • =抜粋=(日本は)子ども時代の重要さがまだまだ認識されていません。乳幼児より小学校の方が大事、小学校より中学校の方が大事、中学校より高校の方が大事、結局は大人が一番大事であるかのような錯覚が支配しています。小さい時の子どもたちはたいしたことを学んでいないと、きわめて乳幼児期の育ちの意味が軽んじられている。=288ページ=

    私もこうだった。子育て中はこんな小さい子供に時間をかけていられない…と、常に「早く!」「急いで!」「もたもたしない!」と叱ってばかりいたと思う。

    この本は…乳幼児から高校生に年齢が上がっていくのではなく、高校生から乳幼児(保育園)に下がっていくので、普通の視点とは違うなぁ…と感じた。高校生には高校生の苦しみ、乳幼児には乳幼児の家庭(両親健在、母子、父子家庭)の苦しみがあって、年齢が違うので対応策も違う。だけど根っこには「貧困」があって、単純な問題ではなく複合的。

    一番すごい、ここまでやるのか!と驚いたのが、小学校の「保健室からのSOS」でした。過去には家庭に立ち入る教師や保健養護教諭とかいたけど、時代も変わりプライバシーや個人情報とか叫ばれ始めて、先生たちも業務が忙しく、個人宅には立ち入らない風潮がほとんどの中、行政に掛け合ったり保護者を説得したり…。ここまで踏み込まないと命にかかわることもあるから。地域と学校でここまで取り組んでいるといのに驚いた。

    読んでいる間、気持ちが殺伐とした思いでいっぱいになった。荒野のようだった。現実過ぎて泣けないというか、これで物語だったら泣いて終わりなんだけど。泣けない。そこに重さを感じた。

    保育園も幼稚園も小中学校、高校も本当にお金がかかり過ぎる。行事や教科ごとに臨時集金が多いのだ。体育着や柔道着なんて学校で卒業生のお古を、リサイクルして貸し出せばいいのに…と思っていたところに、実際にそうしている学校があってそこも驚いた。少しでも家庭の負担を減らしてほしい。もっと子供の保育教育に予算をかけてほしい。少子化ならなおさらそうるべきかと…。

  • 確か最も新しい調査では、日本の子どもの16人に1人が貧困という結果だったはず。ざっくり見れば、ひとクラスに2人は貧困にあるという計算になる。このルポがまとめられた当時より、わずか数年でさらに悪化しているというこの事態に愕然とする。

    ルポで取材された子どもたちのあまりの健気さに泣けてきた。
    もう個人の努力でなんとかなるレベルではない。社会を挙げてこの事態を何とかしないと。

  • 日本が生き残るためにすべきことは教育の保障なんですね。それが将来、何倍もの経済効果になる。子どもたちの現実は自分で考えていたよりもっともっと大変なんだということがわかりました。

  • 個人の活躍だけでは支える側にも限界があるのではないか...と、読みながら思いました。

    自分が保育園の側の立場だったら、その時点では養育能力が危機的な親から、罵声をあびてまで、その子どもを守る行動をとれるか...正直とても恐ろしい...と思いました。

    様々な制度が申請主義で、仕組みや書類がわかりずらいし利用しずらいことが、まず改善されたらいいなと思います。

    読んでいて、大人になるまでの教育の大切さを、しみじみ痛感しました。

    基本的な学力や判断力のほか、今のこの国で生きていくための基本となる金銭や経済的な感覚を育むこと、生活経営の基本的な事柄や、福祉の利用の仕方、子どもを産み育てることに伴う決断と、長期間にわたる責任...

    それに家族や親類、友達などと健全な人間関係のネットワークを築く能力...

    ふと、現代の若い子たちが、結婚しない、子どもを持たない選択をする一端を、垣間見た気がしました。

    ある意味、産み出さないことによって、負の連鎖を未然に防いでいる側面があるのではないか...とも。

    また、発達障害や、生命・誕生学、金銭教育の分野を、草の根で啓蒙している方たちのことも思いました。

    子どもを国の宝として育む...

    日々、子育てしている身には、色々と思うところがあったのですが、

    この本を読んで、まずは、せめて義務教育までの期間は、保護者の貧困が連鎖せずに、子どもが同じスタートラインで教育の恩恵を受けられるような世の中であってほしい...と、心から思いました。

  • 生活保護、就学援助。
    満足に生活できないのは「親のせい」?
    おなかがすいたから、保健室にある給食の残りのパンを貰う子供。
    視力低下を指摘されても、眼科を受診することも、メガネを購入することもできない家計。
    学校に通いたくても、病気の母親の代わりに家事をせざるをえない子ども。
    住むところがなくなって、車で移動しながら寝る親子。

    本当にこんなことってあるの?
    と、思わず目をそむけたくなるエピソードばかり。

    だけれど、実際にそれが(特に大阪では)子どもたちに起こっていて、
    学校は「家庭のことだから踏み込めない」と
    手をこまねいているだけではいけなくて。
    しかし具体的にどんな手を差し伸べるのがいいのか。

    子どもは悪くない。
    でも、貧困家庭である親が悪いのかといえば、そうではない。
    では、社会が悪いのだ、というには無責任すぎる。

    日本の貧困格差はじわじわと広がっているけれど、
    誰が解決するのかと言えば、
    当事者でもあり、社会でもあり、学校も、だと
    私は感じました。

  • 小学校の章に出てくる保健室の先生がスゴイ!子どもが出すSOSを素早く察知し、大事にならぬ前に手を打つ。ほとんどボランティアで。貧困の子どもを救える受け皿が欲しい。施設でなく家族ごと救える手立てを。

  • 「学生が授業中に携帯使うのはダメでしょ」と何の疑問もなく思ってたけど、携帯が彼らや場合によってはその家族の生活を支える大切な命綱になっているケースもある。
    就学を支援する制度は奨学金をはじめとしていくつもあるのだから、それで教育を受ける機会は最低限保証されているのではと思ってたけど、それが教育ではなく生活を支えるだけで精一杯になっているケースも多々ある。
    想像以上に貧困の根は深いことを思いしりました。
    特に、バイトなど稼ぐ手段もなく何にしても保護者に身を委ねないといけない中学生以下の子たちのルポが、読んでいてとても辛く感じました。
    でも、どの年代のルポにも熱心に問題に取り組まれている先生方が紹介されていることに、少なからず希望を感じられました。
    それにしても、救ってくれるはずの公的な制度にある矛盾・歪みはどうにかならないのかなと思います。
    自治体など「柔軟な運用を」と言われる一方、そうしたらしたで「属人的な対応は差別を生む」とか言われてしまうのでしょうけど…もどかしいですね。

  • ルポルタージュの類はレポートの参考資料に使えないという縛りがあるけれど、どうしても読みたくて読んでしまった。
    一部収録されている対談、出てくる学者さん達に胡散臭いところがまったくない。
    貧困をどうするかということを考えたときに、今の政府がしていることやこれからやろうとしていることはあまりにも逆をいっていたり不徹底だったりするので、政府御用達の貧困学者の数がそもそも少ないのかもしれない。

    やれ早期教育だ、やれ英才教育だというふうに子育てをするつもりがなくても、普通に子どもがいるだけでかかるお金が高すぎると感じた。
    子どもを個々の家庭任せにしてもなんとかなったのは、オジサンの頭からいまだ抜けない経済成長著しいあの時代、親戚や近所の相互扶助が機能していた(もう大昔の話になった)あの時代、だけだ。
    どうしてこの期に及んで、なんでも身内で解決できるとおじさん達は考えるのか?
    子どもは社会全体で面倒をみるべきだ。

    また、小さな子どものいる親が負う社会的な不利や差別にも腹が立ってしょうがない。とくに男性、シングルファザーの事例に、それがよくあらわれている。
    「家に誰かケア担当の人間がいる」ことを前提とした労働のありかた、社会保障のありかたにはうんざりする。

  • 子供を育てることにはお金がかかることが、なぜわからないのだろう。そんなに貧困なのになんで子供を産むんだろう、ってずっと思っていたけれど、
    貧困の連鎖のなかにいるからこそ、連鎖の中の選択しかできないのかもしれない、と、ここ最近の児童虐待関連の本を読んで、思った。

  • 「親の貧困が子どもを想像以上に蝕んでいる」という現実を高校生、中学生、小学生、保育園児と子どもの年齢ごとに分けて紹介したルポ。

    こうやって子どもの年齢ごとに分けて紹介してくれるとそれぞれ抱えている問題の違い(高校生はバイトが出来るので仕事と学校との両立との苦しさが、保育園児だと自分ではほぼ何も出来ないから親の貧困がダイレクトに健康格差に現れるとか)が明確になって、とても良い構成だった。

    副題に「教育現場のSOS」とあるようにこういう子供達をなんとか支えようと頑張ってるのは現場の先生達。ただでさえ仕事が忙しいであろう中で、「こんなことまで(生徒の通学の送り迎え、片付けられない母親がめちゃくちゃにした家の片付け等)してたら、先生達の方が倒れますよ!?」という気持ちでいっぱいになりました。

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駅前のトイレで寝泊まりする女子高生、車上生活を強いられる保育園児、朝食を求めて保健室に行列する小学生…大人たちからハンディを背負わされた子どもに今、何が起きているのか。

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