- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334976927
作品紹介・あらすじ
60年代末、佐藤栄作・ニクソンによる沖縄返還交渉の裏で極秘に活躍した若泉敬。一私人にもかかわらず、米政府中枢のキッシンジャーたちと真っ向から渡り合い、悲願の沖縄復帰と引き換えに、有事の「核再持ち込み」を認める密約を交わし、米軍による基地の「自由使用」という結果を招いた。悔恨に苦しみ続けた若泉は、90年代半ばに当時の交渉過程を告白する本を出版し、壮絶な死を遂げる-。09年、日本政府による密約の調査開始をきっかけに、取材に乗り出した記者・ディレクターが辿りついた事実とは?孤高の密使の足跡を辿り、彼が抱いた思いの真相に迫る。
感想・レビュー・書評
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沖縄返還をめぐるダイナミックな政治ノンフィクション、かと思いきや、それに密接に関わった人物の足取りを追う、って感じです。沖縄返還の当事者として殉死を果たすほど沖縄の現状に胸を痛めていながら、それが政治家、ひいては我々に届いていないのはどうしてなのか、というところを掘り下げると面白いね。つまり、政治家にこの話を聞いたっていい。元となった若泉の著書を読んだ人もいるはずだし。どーなのよ、と。
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沖縄を本土並み、がいつの間にか本土が沖縄並みになってしまった沖縄返還。日米安保の改訂になってしまった沖縄返還、と言う視点。
結局アメリカにやられっ放しだったことへの痛恨と沖縄への贖罪。
どうやら情報戦ではいつも負けているか、情報を的確に判断できない民族なんだろうか我々は。 -
深い。最初はNHK記者の取材活動自慢が鼻に付くが、途中からは若泉敬の内面への掘り起こしが進み読ませる。
「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」。
(彼の著書題名だが全身全霊傾けて行った事象を省みた際の言葉、歴史の重さ。元は陸奥宗光の著書「蹇蹇録」の言葉)
「このような試練に立つ歴史の一大変容期に直面している今日、経済的には自他共に認める大国となりあがった日本及び日本人は、果たして、日本の理念を普遍的な言葉と気概を持って世界に提示できるのだろうか」
沖縄復帰運動のスローガン「小指の痛みを全身の痛みと感じて欲しい」
考えさせる言葉群。