自由の哲学者カント カント哲学入門「連続講義」

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334977580

感想・レビュー・書評

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  • 三批判書を「自由」を軸に読み解くことも新鮮であったが、自分にとっては9章の宗教論が一番、読み応えがあった。そりゃここまで、人間を隷属化しているキリスト教に鋭く切り込めば、当時のキリスト教から睨まれるわ。

    ・人間が自由でなければ道徳は存在することができない。自由は道徳的な法則の存在根拠。人間が自由であることを認識しうるのは、人間が道徳的法則にしたがって行動しうるという事実によって。その意味で、道徳的な法則は自由の認識根拠。
    ・カントの戒め:独特の義勇兵のように思い上がる人々と道徳的な狂信に陥る人々。
    ・カントは美というものがそれを感受する人間の側にあるものであること、社会の共通感覚が人間に美という感覚を生み出させるものであることを明確に示した。
    ・カントはアダムとイブの物語は悪への道であると同時に、本能に従う動物の隷属状態から人間を離脱させる自由の道でもあることを指摘した。
    ・見えざる教会と見える教会:純粋に道徳的な宗教と神に奉仕する宗教。
    ・ルソー:人間の宗教、国家の宗教、司祭の宗教

  • 読み直したさ:★★☆
    人間が自然的因果関係に従わず、自ら行動を起こすことを可能にする超越論的な自由。これは自由な行動のみ帰責されるという責任論の根拠になると思われる。
    普遍性。
    人倫の公共性。思想が政治体制に影響するのがよく分かる。ルソーとの対比、類比。
    〈感想〉
    疲れた。読み進めるほど理解できるようになるので、立ち止まりすぎず、読み通した方がよかったかもしれない。

  • 講義を本にした体裁だったせいか、著者の情念がやや薄く感じられました。それにしても、部分部分でカントの思考の奥深さが突き刺さります。
    さらに類書を読み、自分なりのカント像を形成したいと思いました。

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著者プロフィール

中山 元(なかやま・げん)
1949年生まれ。東京大学教養学部中退。思想家・翻訳家。著書に『思考の用語辞典』などが、訳書にカント『純粋理性批判』、ハイデガー『存在と時間』などがある。

「2022年 『道徳および立法の諸原理序説 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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