- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784335100185
作品紹介・あらすじ
環境世界が本源的に表情性を帯びている事実から出発し、既成理論の「内なる心理現象」と「外なる身体現象」との二分法の過誤を排しつつ、社会行為論・役割行動論にまで射程を伸ばす。言語発達論・記号形成論・他者認識論などの新しいパラダイムを提示する意欲的な書下し。
感想・レビュー・書評
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「表情現象」を、人間や動物が示す狭義の「表情」だけに限定せず、情動的な感応を引き起こす世界の現出にまで拡張しながら、「表情」を内面的な心的内容の表出と捉える近代的な認識観を克服しようとする試論。カッシーラーの象徴形式の哲学やギブソンのアフォーダンスの理論などを援用しつつ、「全一態としての表情性知覚こそが本源的かつ原基的な体験相なのである」(148頁)という言葉が表わすように、「表情現象」ないし生き生きとした「表情活動」を──廣松の言う世界の「共同主観的な」構成を支える、と言えようか──第一次的な事態、すなわち「こと」として捉えようとする。幼児の示す表情への反応を引き合いに出しながら、生命活動自体を共振と捉え、そこにある「表情活動が言語的交信の前梯をなし、かつ、それを俟って甫めていわゆる言語が成立しうるという事情」(173頁)に言及している点、表情という現象と──中動態における──言語活動の関係に触れているように思われ、興味深い。
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[ 内容 ]
環境世界が本源的に表情性を帯びている事実から出発し、既成理論の「内なる心理現象」と「外なる身体現象」との二分法の過誤を排しつつ、社会行為論・役割行動論にまで射程を伸ばす。
言語発達論・記号形成論・他者認識論などの新しいパラダイムを提示する意欲的な書下し。
[ 目次 ]
第1章 表情現相の暫定的定位
第2章 世界現相の表情的分凝
第3章 表情現出と共軛的理解
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