共に生きる-多民族・多文化社会における対話 (現代社会学ライブラリー3)

著者 :
  • 弘文堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335501241

作品紹介・あらすじ

「いかに生きるか」という課題に、どう向き合えばいいのか?異なる文化を生きてきた他者に出会い、共に生きる。そういう社会に、わたしたちは暮らしている。従来の「多文化主義」を乗り越え、対話と協働による新しい「共生」を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は現代社会における(マジョリティ・マイノリティを中心としたところにフォーカスを当てた)様々な人がいかに共存するかについて、社会学の観点から書かれた本である。個人的には、この分野について無知すぎたので、完全に内容を消化できたわけではないが、とても面白く感じた1冊であった。とりわけ、現代社会においては多くの人に読んでもらいたいと思う1冊であるという風にも感じた。
    確かに、(本書でも書かれている通り)他者を完全に理解する事はできない。だが、より理解しようとする姿勢は大事だし、特に異文化の人を理解する際に生じやすい誤解のパターンを認識して、より分かり合おうとする姿勢は大事だと思う。内容をはき違えているかもしれないが、本書を読んで、あらためて他人を思いやる気持ちの大切さを感じた。

  • すごくわかり易く、「多文化社会」(カッコ付き)の現状とあるべき未来について書かれています。
    「郷に入っては郷に従え」が果たして妥当なのか。「普通の日本人」の特殊性。「異文化への理解」の欺瞞。
    相手のいい分をとことん聞き、常に自分を変えて行くという対話によってしかこの社会で共に生きることは出来ないと言うことを肝に銘じたいと思います。

  • 表題名に惹かれて読んだ一冊。
    多文化共生社会を考える上でとても良い考え方に触れることが出来たと思います。
    少数派、多数派、などありますが、人と接する時にはその人の肩書きや生まれ育った国ばかりに目を向けるのではなくて、1人の人として向き合って尊重して関わっていけたらと思いました。

  • 【書誌情報】
    著者:塩原良和
    価格:1,200円+税
    出版年月日:2012/07/30
    ISBN:9784335501241
    4-6 168ページ

    「いかに生きるか」という課題に、どう向き合えばいいのか? 異なる文化を生きてきた他者に出会い、共に生きる。そういう社会に、わたしたちは暮らしている。従来の「多文化主義」を乗り越え、対話と協働による新しい「共生」を考える。
    http://www.koubundou.co.jp/smp/book/b156120.html

    【目次】
    序章 高度近代における自己と他者 
     1.コンサルタント 
     2.存在論的不安とフレキシビリティ
     3.リフレクシビティ
     4.想像力と被害妄想


    第1章 多民族・多文化社会としての日本 
     1.ニューカマー 
     2.多文化共生と単一民族神話の共謀  
     3.同質性と共通性 
     4.総中流幻想と単一民族神話の連関 


    第2章 日本人というマジョリティ 
     1.先住民族としてのアイヌ
     2.「郷に従う」のは誰か
     3.「あたりまえ」という特権
     4.水に流せる/流せない人々
     5.和解と連累


    第3章 マイノリティと差異 
     1.多文化共生とオリエンタリズム
     2.文化本質主義とハイブリディティ
     3.差異の固定化とポジショナリティ
     4.アイデンティティ・ポリティクス
     5.「聞いたつもり」にならないために 


    第4章 多文化主義の台頭とその批判 
     1.わかりあえない人々?
     2.同質化・差異化・標準化
     3.分裂の論理という幻想
     4.シティズンシップと自己決定 


    第5章 公定多文化主義――統合と管理の論理 
     1.マイノリティの要求の制度化と管理
     2.多様性を管理するのは誰か
     3.寛容の限界
     4.バランスをとるのは誰か 


    第6章 ネオリベラル多文化主義――選別と排除の論理 
     1.「役に立つ」人々
     2.ミドルクラス多文化主義の台頭
     3.ネオリベラル多文化主義の出現
     4.「助っ人」と「帝国」の多文化主義
     5.グローバルな「庭」への誘惑


    第7章 「流される」不安とグローバルなリアリティ 
     1.「荒野」の住民たち
     2.不要とされる不安
     3.少数者の恐怖
     4.「庭」と「吹き溜まり」の多文化共生 


    第8章 「やむを得ない措置」という陥穽 
     1.「不法」という他者
     2.予防的排除
     3.ゼロ・トレランスとワイルドゾーン
     4.超法規的措置の常態化
     5.「社会実験」としての排除 


    第9章 支援する根拠について 
     1.バックラッシュの気配
     2.「日本人」と「外国人」の二項対立的思考
     3.日本人と同じに見える子ども
     4.社会関係資本としての「つながり」
     5.社会的包摂という共通の課題 


    第10章 コスモポリタン多文化主義――「変わりあい」としての共生 
     1.外国人住民からの呼びかけ  
     2.会話と対話
     3.「分かりあい」から「変わりあい」へ  
     4.越境人から対話人へ
     5.「居場所」を共有する他者  
     6.対話と熟議

    終章 怒りと対話について 
     1.怒らざるをえない人々 
     2.やり場のない怒り 
     3.ケンカするほど仲が良い 

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著者プロフィール

慶應義塾大学法学部教授。専門:社会学、社会変動論、多文化主義/多文化共生研究。主な著作:『分断と対話の社会学――グローバル社会を生きるための想像力』(慶應義塾大学出版会、2017年)、『分断するコミュニティ――オーストラリアの移民・先住民族政策』(法政大学出版局、2017年)。

「2022年 『オルター・ポリティクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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