書物の環境論 (現代社会学ライブラリー4)

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著者 : 柴野京子
  • 弘文堂 (2012年7月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335501258

書物の環境論 (現代社会学ライブラリー4)の感想・レビュー・書評

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  • 出版業界のこれまでとこれからを学ぶのにぴったりの1冊です。
    150ページ程度で要点がまとめられており、気軽に読むことができました。

    第1章は日本の出版の歴史、第2章は電子出版、第3章はリアル書店やインターネット書店について。
    日本の出版制度は再販制が特徴…などの教科書基本情報は知っていたのですが、なぜその流通体系となったのか、ということは知りませんでした。
    大学時代には出版流通や書店についてはあまり関心がなかったかも…不勉強を反省です。

    本書を読んで感じたことは、出版界は現時点でも過渡期の最中であるということ。
    昔に比べて人と本が出会う方法は多様になっています。
    インターネットの普及により出版社だけが発信者であった時代は終わり、誰でも発信者になることができることも大きな変化でしょう。
    今後の変化にも敏感でいたいと思います。

  • “出版”が変わろうとしている。紙・書物からデジタル・インターネットへ。日本という国の「書物の環境」は、時代の潮流を乗り越え、どこを安住の地とするのか。書物・出版の歴史をひも解きながら、書物の未来予想図が垣間見せる、私にとってはとても知的好奇心を刺激された本。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:361//G34//4

  • 2013 1/7読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
    『書棚と平台』の柴野京子先生の本。
    あとがきによれば「本や出版をめぐって産業論と文化史をつなぐ、ベーシックな議論」を提供することを目的とするテキスト。
    第1部ではなぜ出版といういとなみが現在の形になっているのか、その歴史的経緯が(日本についてを中心に)まとめられ、第2部ではそれがデジタル・インターネットの時代にどう変化しつつあるのかが語られる。第3部ではさらに「本と出会う空間」というコンセプトでネット/リアルという単純な区分けを超えて機能/道具としての書店の役割(主には書棚と平台の役割)を解体する。
    まさにこういう話を、さらに軸足を図書館よりにしてやりたいんだよなあ・・・とかいうことを思ったり。
    以下、各章についてのメモ:

    ・第3章:流通システムについて
     ・教科書販売・・・官民が入り交じって構築される書物流通の公的ネットワーク
     ・戦時・・・"日配"がもたらした近現代的取次システム

    ・第4章:日本における本/雑誌定価販売の歴史
     ・価格のあり方が書物のあり方をコントロールする

    ・第5章:関東大震災以前・・・書籍と雑誌の流通体制は別
     ⇔・震災後、インフラダメージを理由に講談社『大正大震災大火災』が雑誌ルートで販売され大ヒット
      ⇒・書籍も雑誌ルートで販売される流れを作る

    ・第6章:電子的に本を「つくる」話

    ・第7章:デジタル機器で本を「読む」話

    ・第8章:図書館・・・Google books / NDL・長尾プラン
     ⇒・図書館と書店のボーダレス化

    ・第9章:大学図書館/電子ジャーナル
     ・機関リポジトリ/オープンアクセスの流れをここまでの議論とからめた論は面白い

    ・第10章:ネット書店

    ・第11章:『書棚と平台』ダイジェスト
     ・スリップ・・・岩波文庫からはじまる
     ・平台・・・口上を伴う露店に起源⇒多くの宣伝材が使われる
      ←・これ今の書店のポップにも通じるな
      ←・海外の書店に平台/ポップ普通にあると思うが、これはどう受け取られるんだろう?? 要検討

    ・第12章:多様な本との出会い方について


    ===
    ○今後読みたい本

    ・『モダン都市の読書空間』
    ・『書物の出現』
    ・『出版と知のメディア論』

  • 取次の話から、書店の棚の話、そこから派生しての現在の電子書籍やアーカイブの話へと、過去を踏まえながら、現在の書物を取り巻く環境を見ることができて、なかなか素晴らしい本。

  • 電子書籍とか最新のトピックだけではなく、取次や書棚の文化史について述べている部分もあり、題名の通り書物の環境を一通り取り上げていて、有益な本でした。
    あらゆる書物をデジタル化するグーグルのプロジェクトがすすめる、世界中の情報の整理とアクセス保証は、書店や図書館とも連携を兼ねており、壮大でそれなりに魅力的だが、権利の問題の解決が難しい。
    いまもって問題が現在進行形。
    では国会図書館がすすめているデジタルアーカイブはどうなのだろう。
    日本の国会図書館での近代デジタルライブラリーは、著作権保護期間を過ぎたものや許諾を得たもの、権利不明のものは文化庁の裁定で利用できるようにする。しかしそんなにデジタル化してしまうと「書店流通」との衝突も懸念される。長尾構想やグーグルと現実がどう折り合いをつけるか。

    一昔前、ワイドショーで「ユーチューブとか観てますよ」と言った男性に、もう一人の男性があんなもの観てはだめでしょうとがっくりうなだれて、呆れ笑いをして、ユーチューブ=違法の巣窟、許せない場所というイメージで表情を作っていたが、いまやどうだろう。

    図書館の未来は情報図書館となり個人の手におさまるほどになり、パーソナルになっていくのかもしれない。が、そこで図書館の強みはその公共空間ということと、逆に書籍という形が注目されることにより、「電子メディア以外である」ということが強みとなり、結局たいして変わらず図書館は在り続けると思ったりもする。そうした、どのような書物と書棚のある空間がこれからあるのかを考えるのに、必須のテキストだと思う。

  • 本の流通に関する歴史と最新状況がコンパクトにまとめられている。
    再販制については改めて考えさせられた。価格は単なる価格ではなく、産業構造と分かちがたく結び付いているゆえに、変革には慎重さも必要となる。
    また、書棚と平台の論が面白い。書棚−分類/平台−イベントスペース。平台的要素は、いま書店に殊に求められている気がする。
    電子書籍についても手際よくまとめてくれていて重宝。流通の観点からアップルとAmazonを比較しているのもわかりやすい。

  • 勉強になった。書物流通の特殊性や、産業としての概念、電子の問題まで、大きく「書物をめぐる環境」として捉えること。

  • それこそ「書物の環境」のいまについて考える。

    書物にまつわるいろいろの「いま」について「ざっくりまとめてある本」が読みたかったので購入。「いま」書店にならんでいる「本」のなかでは「いま」に寄り添っており、かつ、ざっくりが多少過ぎていて断片的に感じる部分もあるけれど、まさに「ざっくりまとめてある」「本」である。web上ではいまの書物にまつわるいろいろな意見が飛び交っているのだけれども、それをざっくりとでもまとめてあるものにはなかなか出あわない。やっぱり、ざっくりとでも「まとめる」というのは大変なのだろうか。そんなもん手前の脳内でやっちまえよ、という声も聞こえてはくるが、それはそれで大変なのである。一旦だれかにおまかせしたいのである。編集か。ううむ、また考えることが増えたなあ。

  • ブックデザインをさせてもらっている「現代社会学ライブラリー」刊行が始まりました。専門家では無くても以外と読みやすいです。

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書物の環境論 (現代社会学ライブラリー4)の作品紹介

ひとは、本とどのように出あうのか?出版のデジタル化やインターネット書店は、「本の世界」をどのように変えようとしているのか。産業としての出版・物としての本は、どのような現実のなかにあるのか。

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