人と人との間: 精神病理学的日本論

著者 :
  • 弘文堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335650086

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    「異常の構造」木村敏

  • いわゆる日本人論、日本人学。精神病理学が専門の医師である著者が、メランコリー患者などに見られる日本人特有の特徴などをもとに、当時の日本人論や日本文化論、はたまた「菊と刀」などの意見と比較しつつ著者独自の「人と人との”あいだ”」に基づいて日本人の特徴をあぶり出している。「われわれ日本人」というばあいの日本人の定義や、「メランコリーと日本人の親和性」、「義理と人情」、「罪と罰」、「風土が人間性に与える影響」、「甘え」、「人称代名詞と自己意識」、「気の概念」、などなどをとくに西欧との比較から考察し、自身の「人と人の間」という概念の有用性の説明を試みている。この「人と人との間」というのは、簡単に言うと次のように言えるだろう。日本人は独立した個人個人が集まった集合(質点系)ではなく、個人個人は”日本人”という溶液というかぬるま湯(連続体)のなかの生まれた揺らぎのようなもので、我々が生まれてきたそのぬるま湯を<人と人との間>である。世間とか空気と言われるようなものだろうか。ここから放り出されるのが日本人にとっては最も耐えがたいことなのかもしれない。

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著者プロフィール

1931年生まれ。京都大学名誉教授。著書に『木村敏著作集』全8巻(弘文堂)、『臨床哲学講義』(創元社)、共訳書にヴァイツゼカー『ゲシュタルトクライス』(みすず書房)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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