人面の大岩 (バベルの図書館 3)

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制作 : J.L.ボルヘス  酒本 雅之  竹村 和子 
  • 国書刊行会 (1988年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336025586

人面の大岩 (バベルの図書館 3)の感想・レビュー・書評

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  • 全30巻からなる、ボルヘス編集叢書「バベルの図書館」巻3。学生時代からずっとあこがれてきたシリーズ(例によって国書刊行会)なのだが、なかなか手を出せずにいたところ、近くの図書館が何冊かを揃えていたのをみつけて読み始めることにした。

    まずは軽めのところからと思って、『緋文字』で有名な Hawthorne。現代の目から見るとやや単調なきらいはあるが、「小説」の原石とも言うべき作品群。一番のお気に入りは、幻想的な雰囲気を讃えつつ、しっかりと落としてミステリ小説の嚆矢と言われる『ヒギンボタム氏の災難』。次いでボルヘスが「文学におえる最高傑作の一つ」と讃える『ウェイクフィールド』だが、他の 3作品も素晴しい。

  • ボルヘス監修によるバベルの図書館シリーズ。
    ホーソーンの寓話的短編集。

    ★★★
    長い間妻の前から姿を消した男。
    大都会で「宇宙の迷子」となった男の話/「ウェイクフィールド」

    優しく高貴な人影を映す大岩。それは「いつかこの近隣でこの世でもっとも尊い人物が現れる」という言い伝えを生む。/「人面の大岩」

  • 「ウェイクフィールド」
    ウェイクフィールドという、20年間も突如家族の前から姿を消した男の物語。
    彼は20年間も何処にいたのか-実は我が家と隣り合わせの通りにいて、いつも自分の居るべき場所を見て帰る機をはかっていたのだった。

    「人面の大岩」
    アーネストは子供の頃、母親から聞いた『将来いずれの日にか、この近在に生まれた子のなかから、この世で最も高貴な人物が誕生し、その子は聖人すると人面の大岩生き写しの顔になるというのである。』という言い伝えを信じ、毎日何時間も人面の大岩を眺めるようになる。
    やがて、人面の大岩に似た人物が次々と現れる。
    大金持ちの商人、名声の誉れ高い軍人、著名な政治家、詩人-。
    人々は彼らが人面の大岩に瓜二つだと言うが、アーネストは言う。
    「似ているところなんかちっともありはしないよ」

    「地球の大燔祭」
    昔ある時、人類は世界中のがらくたを地球の中心で燃やすことにした。
    焚火の中には、それまで人類が培ってきたあらゆる物が投げ込まれていく。

    「ヒギンボタム氏の災難」
    煙草の行商をしているひとりの若者がある日、一人の旅人にこんな話を聞いた。
    「キンバルトンでヒギンボタムというじいさんが、ゆうべの八時に自分とこの果樹園でアイルランド人と黒ン坊に殺されたよ」
    しかし、その後会った人々に話を聞くと、その時間に老人が殺されたというのはどうもおかしいと分かる。
    さらには当の本人は生きているという話さえ出てくるが-。
    一人の老人が殺されたという噂話がどんどん一人歩きして、人々を巻き込み、膨らんでいく。

    「牧師の黒いベール」
    若い頃に親友を殺し、その日から死ぬまで黒いベールで人々の眼から顔を隠したフーバー牧師の話。

    どれも現実離れした設定が印象的な話。
    そして、その現実離れした、おかしいと思う部分こそが作者の言いたいこと、話のテーマだと思った。
    そこにどうしても焦点がいき、だからその事について何となく考えざるを得ない。
    最初の話なら20年間も姿を消し、しかも我が家の近くに住むなどという手の込んだ事をするのはどういう心理からだろう?どういう意味があるのだろう?と考えるし、次の話では毎日、人面の大岩をアホみたいに飽きもせず眺めるなんて・・・と思う。

    読解力も思考力もない頭で私なりにそれぞれの話について色々感じ、考えました。
    中々興味深い本だと思います。

  • 第3冊/全30冊

  • ウェイクフィールド "Wakefield" (1835)
    人面の大岩 "The Great Stone Face"
    地球の大燔祭 "Earth's Holocaust"
    ヒギンボタム氏の災難 "Mr.Higginbotham's Catastrophe"
    牧師の黒いベール "The Minister's Black Veil" (1836)

  • おもしろい。馴染みの道にいつのまにか見知らぬ穴があいていたような気持ち。日はやさしく照っているけれど、穴は深くて暗いみたいだ。近寄って覗いてみようか、どうしようか。ボルヘスの序文もそれ自体がまるで短い物語のよう。


    “かの〈尊敬すべき〉ベーダのように、ナサニエル・ホーソーンも夢みながら死んでいった。彼が死んだのは1864年春の、ニューハンプシャーの山中でのことである。彼が夢想し、その死によって完成または消滅した物語を想像してみることをわれわれに禁じているものは何もない。だがそれはそれとして、彼の全生涯は、ひとつらなりの夢であった。” 
    (ボルヘス序文より)

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