- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336038425
感想・レビュー・書評
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バークリーは気軽に読むべきでない。なぜならオールタイムベストを簡単に更新してしまうからだ。
夫婦が地下室から掘り出したのは、若い女性の死体だった。 手がかりがないまま、モーズビー警部は捜査を続ける。地味に、しかし着実に被害者へと近づいていく。
ふとしたきっかけからシェリンガム が飛び出してくる。事件に興味津々なこの名探偵から、作中作という形で、情報が大幅に提供される。事件関係者の詳しい事情が明らかにされていく。
直接捜査に乗り出すシェリンガムは容疑者を絞り込んでいく。確実な証拠がないままシェリンガムが選んだ道は…
ここまで抜群に面白い。バークリーだ。さらに期待で胸が高まる。そしてやってくれた。どんでん返しだけでは済まない。スリルな一撃。
求めているものは笑撃、またはカタストロフ。どちらにも答えるバークリーはNo1の作家で異論なし。 -
初・バークリー作品。ロジャー・シェリンガム。
作品の大部分は警察小説。そのなかで、被害者当てというユニークな謎があり、最終的には推理小説として完結。
地道に物的証拠・確かな証言を探す警察と、想像力を働かせて推理する探偵、双方の対比が興味深い。
30ページ近い解説は、非常に読み応えがある。作者・作品について、より深く理解できる名解説。 -
地下室の床に塗り込められた身元不明の死体が発見される。困難をきわめた身元確認作業の末にたどりついたのは、探偵役ロジャー・シェリンガムがたまたま関わっていた学校の職員らしいとわかった。シェリンガムの回想記から被害者を推理するところは「被害者を捜せ」を思わせる。そして被害者がわかったら次には犯人捜し。見るからに怪しい教師はのらりくらりとしてつかまえどころがない。さて真相はというところで意外な結末が待っている。型通りというか手堅いというか派手な展開はないものの安心して読める水準作。第一容疑者がこれがこのまま犯人ならミステリとして成り立たないのでシロだとはすぐわかるものの、なんで真相を覆い隠すように怪しげにふるまうのかというあたりがちょっとおもしろい。
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あいかわらずバークリーはおもしろい。
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ロジャー・シェリンガムシリーズです。
新婚の夫婦が引っ越してきた新居の地下室から死後数ヶ月たった女性の死体が発見されます。
警察は被害者を特定出来ず五里霧中だったのですが、シェリンガムの協力によって被害者はある学校の教師だと判明します。
そして、犯人らしき男の目星もつくのですが、証拠が見つからないモーズビー警部はシェリンガムに助けを求めます。
そんな本書には特徴が2つあります。
1つはシェリンガムが書いた小説の1部という作中作が挿入されている事です。
そして、もう1つは珍しくシェリンガムの推理が見事に当たっている事です。
彼も毎回、間違えるわけではないんですね。
最後、シェリンガムは真相を隠して偽の解決をしようと目論むのですが、この終わり方が少し変わっているように感じました。 -
読了。
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<pre><b>1920〜40年代、英米の本格探偵小説は、クイーン、
カー、クリスティーら輝かしい才能の登場とともに
黄金時代を迎えた。不可能犯罪、アリバイ破り、名
探偵の活躍。魅力的な謎、巧みなミスディレクショ
ンと論理のアクロバット。パズラーの頂点をきわめ
た本格派の傑作をはじめ、不当にも紹介の遅れてい
た巨匠の代表作、幻の名作を多数収録、永遠のクラ
シックを厳選して贈る夢の探偵小説コレクション。
新居に越してきた新婚夫婦が地下室の床から掘り
出したのは、若い女性の腐乱死体だった。被害者の
身元調べの前段から、名探偵シェリンガム登場の後
半にいたって事件は鮮やかな展開をとげる。傑作本
格ミステリ。</b>
(国書刊行会オンライン・ブックショップ紹介文 より)
資料番号:010472397
請求記号:933.7/セ/12
形態:図書</pre> -
警察の地道な捜査が描かれる前半、次にシェリンガムの作中作がはさまれここで被害者探しというミニミステリが提示され、再び警察の捜査に戻り最後に名探偵シェリンガムの手によって事件が解決される。
事件と解決はそこまで魅力的でもロジカルでもない。むしろ地味。しかしほかのバークリー作品を読んでいるとニヤニヤする結末が待っている。堅実なモーズビーと空想家のシェリンガムの操作法の差が見もの。「最上階の殺人」とあわせてどうぞ。