人形 (書物の王国)

制作 : 服部 正 
  • 国書刊行会
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本棚登録 : 92
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336040077

作品紹介・あらすじ

魂なきもののあやしき虚無への誘惑。

感想・レビュー・書評

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  • 入っているピュグマリオン目当てで読んでいたがそこまでの人形に関わる話が多かった。
    人形関係の本を読みたいという人にはいいかもしれない。

  • 最終巻しか持っていなかったけどやはり気になる書物の王国。欲しい本は欲しい時に買え。至言だ。できる限り新刊で揃えたい。国書刊行会に届け!
    「人形幻想」「蒲団の国」「クルミ割り人形とネズミの王様」「しっかり者の錫の兵隊」「マルスリーヌ」「彫像の呪い」「代書人」「女王人形」「人形つくり」「泥人形の兄」「人形奇聞」「承久二年五月の夢」「人形つかい」「雛がたり」「人形」「ものいう人形」「マリオネット劇場について」「悪魔の創造」「ピュグマリオン」を収録。

    評論、小説、古典とさすがの充実ぶり、二段組の圧が心地よい。そしてどれも安定の面白さ。
    まず「クルミ割り人形とネズミの王様」「マルスリーヌ」に撃沈。夢見る人の現実は得てしてつらい。理解者を得ようとしちゃだめなんだな……夢はひとりで見るのが基本。湖を渡るシーンで、ドロッセルマイヤーさんよりマリーのほうが見込みがあると言うクルミ割り人形はつまり、答え合わせと結末の予告をしているのかも。思えばクルミ割り人形の表情や言葉にはふいにドキリとさせられた。安住の地は同じく夢でありつつ、自分が人間を捨てて人形の仲間入りを果たすジャックには、ディレッタンティズムの精華を見る思い。ジャックがアルレッキーノとなることで、ねじれて環を成す物語なのかもしれない。天井が凌辱済みのペンキ塗りであろうと、ジャックはアルレッキーノなのだから、そこはすなわちパスティナティ宮殿で見た小劇場なのでは。
    「女王人形」も特に衝撃的。静止した美しい思い出にまかれながら、現実に痕跡を見ているのに、「作りものの遺体」の葬儀に息を呑んで何もかも忘れてしまいそう。思い出を本物というカルロスもまた人形に興じていて、終幕の醜い現実から目を背けてしまうのかも。陰惨な話だけど、フエンテスは気になる作家に仲間入り。ぜひ開拓したい。

  • この本の中に「雛がたり(泉鏡花)」があります。
    私にとって、鏡花の文章はまさに「眼福」で、内容はさておき(!)眺めて楽しいものなんですが。

    これ、対象の性質上でしょうか、ホラーアンソロジーじゃなかったよね?って確認したくなるくらい、コワい話揃いです。
    「マルスリーヌ」は極悪非道の女房だし、「代書人」はイってるし、ハーディの「彫像の呪い」なんか、ラストでもう一脅かされ、だし。 

    ラストは当然、ピグマリオンもの。
    この手の話って、なぜか「男性と人形」ですよね??
    まー、男の人形ってのも絵にならないからかしらん。
    それにそーねー、女性の方が現実的かもね・・・・

  • よくできた人形に、私たちは言いようのないあやしさ、不安を感ずる。そんな感覚をくみとった人形にまつわるアンソロジー。種村季弘、ホフマン、レニエ、北原白秋 泉鏡花、江戸川乱歩など19篇。

  • 第7巻 全20巻

  • 古今東西の人形に纏わる小説、エッセイ、詩等19編を収録。ホフマンの『クルミ割り人形とネズミの王様』をワクワクして読み、レニエの『マルスリーヌ』の洒脱さに惹かれた。「あどけないのに不気味であり、可愛らしいのに怖いのである。」〜種村季弘

  • 書物の王国シリーズの第7巻 (全20巻)

  • 讀みたい

  • あやしくてよい。

  • 人形の話ばかりを集めた本。クライストの人形論が読める…ハズ。

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著者プロフィール

Thomas Hardy 1840–1928
イギリス南部ドーセット地方の石工の家に生まれ、22歳でロンドンに出て建築事務所で働く。その後作家に転じ、そのキャリアの前半約30年間で『ダーバヴィル家のテス』をふくむ15篇の長編小説、短編小説集4篇、後半約30年間で叙事詩劇『覇王たち』と948篇の短詩を発表して、ヴィクトリア朝時代最後の大小説家にして詩人となった。神の見えない時代に文学の存在意義を探り、みずみずしい感性によって20世紀のモダニズムの先駆者となり、D・H・ロレンスやフィリップ・ラーキンなど後世の作家に多大な影響を与えた。

「2023年 『恋の霊 ある気質の描写』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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