少女領域

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著者 : 高原英理
  • 国書刊行会 (1999年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336041944

少女領域の感想・レビュー・書評

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  • 少女を無意志、無力、無垢という非人格的状態に留めてきた従来の男性的視点ではなく、意志、可能性、判断力を持ち、両性具有的で、自由でありつつ魅力的な存在であろうとする、自由と高慢の要求を満たす「少女型意識」。その少女型意識の発生を、マニフェストである野溝七生子『山梔』、少女型意識の解放、龍膽寺雄 『放浪時代』、少女型意識の展開する川端康成『浅草紅団』、異なる世界の可能性の追求、尾崎翠『第七官界彷徨』、『山梔』以前の文学に表れる「少女」の意味合いの例としての室生犀星『或る少女の死まで』、わざと少女の姿を借りる事により性別そのものに批判的な稲垣足穂『菟』、父を共犯者とする事によって少女の自己愛が保証され、高慢が可能になる構造の倉橋由美子『聖少女』、森茉莉『甘い蜜の部屋』、「カワイイ」を超えるものとしての「凛々」という観念を提唱した中森明夫『オシャレ泥棒』、男性ジェンダーの獲得に依らない自尊心の形成、少女型意識の夢見る究極の自己像、松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』、文字通りの「少女型意識体」大原まり子のSF作品『ハイブリッド・チャイルド』までの小説11作品を読み解く。阿字子から始まる阿字子の末裔の系譜。

  • 図書館

    倉橋由美子『聖少女』と森茉莉『甘い蜜の部屋』についての考察が書かれているようだったので読んでみる。
    作者の本は他に『ゴシックハート』を読んだきりだけど、
    なぜだか個人的に文章が読みにくい。テーマはすごく気になることが多いから読んでしまうけれど....
    『甘い蜜の部屋』について、もうこれ以上の少女小説はない感じの説明はすごく興味深かった。

  • 野溝七生子『山梔』
    龍膽寺雄 『放浪時代』
    川端康成『浅草紅団』
    尾崎翠『第七官界彷徨』
    室生犀星『或る少女の死まで』
    稲垣足穂『菟』
    倉橋由美子『聖少女』
    森茉莉『甘い蜜の部屋』
    中森明夫『オシャレ泥棒』
    松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』
    大原まり子『ハイブリッド・チャイルド』

    好きなものが好き、という出発点から、これほどに美しい評論にして成長の物語が書けるとは驚愕。

  • うつくしい、物語としても見ることのできる少女評論

     少女、とここで言うのは、肉体の性別や年齢を超えた、意識として、精神としてのそれである。
     男性社会的視点から与えられる役割を引き受けて、うまく立ち回るのが<大人(の女性)になる>こととすれば、甘んて引き受けはせず、外からの声を拒むほどに自意識を高くもたげる<少女>は、表向き敗色濃く見える。
     ただ、それは実生活での勝算にかかわらず、特に文学の世界には古典のうちから棲んでおり、変身変化を遂げながら生き延びている。高原英理標す、枠にとらわれない意識という少女(自由)、あてはまらない(あてはめない)概念という少女(高慢)の系譜が、そう告げている。

     一般に持たれる「少女らしさ」というイメージも、既に幼く甘たるく、あらかじめ不快に汚されている。そんなお着せの「女らしさ」や「少女らしさ」をジェットで飛ばし、少女が少女に望む少女の物語を探究する書物と出遭うことができ、幸福に思う。

     川端康成や尾崎翠、稲垣足穂、大原まり子等の小説を通じて、高原さんがあぶりだす少女画は、中性的となり、年齢不詳となり、変幻自在となり、境界線が溶けてどちらともつかないグレイゾーンに降り立つ。どちらともつかないと今書いたのは何色ともつかないということであり、グレイと言ったのは、光の波長を捉えられれば美しいグラデーションとして視えてくる領域だ。
     ついには「少女」という呼び方にも捕らわれないというように、それは不意に消えうせ、銀色の粒子が四方に飛び去っていく、うつくしい、物語としても見ることのできる評論である。

     今の時代に、これを評論とは呼ばないと著者自身は言うが、こういう物語のような評論とこそ、多く出遭いたい。話の枝葉を広げすぎるかもしれないけれど、書評の可能性でもあるのでは。書籍の宣伝活動の一環ではなく、創作活動として、小説のように味読できる書評が、少女のように自由で奔放にくり広げられたらいい。

    2008-09-04
    http://khipu.jp/php5/show.php/49188


  • 少女を、ものいわぬ欲望の対象ではなく、行動する主体としてとらえた画期的な評論。

  • 未読。ちゃんと読んでおきたい。

  • この本をスルーして「少女」について語ってはならない。必読書。
    ※ランク付け反対のため常に★5

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