山尾悠子作品集成

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著者 : 山尾悠子
  • 国書刊行会 (2000年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (763ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336042569

山尾悠子作品集成の感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読了後の脱力感が半端ない読書体験。すごいわあ、この言葉から喚起される強靭なイメージの力。全体通して読むと、好きな話とそうでもないのと色々分かれるが、あまり物語性のない方がどちらかといえば好きかも。『遠近法』『遠近法・補遺』はとびぬけて頭クラクラするほどだけど、『繭』『傳説』あたりも、すげぇ、かっこいい!と年甲斐もなく身悶えするほど好みだった。読んでも読んでもどこまでも想像の羽ばたく至福の読書タイムでした。

  • 夢で織られた分厚いバームクーヘンを食べるようにして愉しんだ。
    無人島に持っていく本はこれでもいいかも。

  • 発刊当初に読んで「これはすごいものを読んだ」とびっくりし、そして10年以上たって再読。初読の感動は記憶の深さに比例し、再読の喜びも同じだった。最初にいいと思ったものがそのままやっぱりいい。固くて冷たい鉱物のようだ。

    ただすっかり記憶から抜けていたいくつかは、完成度なり方向性なりで今回ははっきりと「そうでもない」の箱に入れざるを得ず(軽く書いた耽美系というか少女系というか)、その意味で星は四つ。山尾さんが書けばなんでも!というファンではないことがわかった。

    10年前と変わらない硬質な光を感じるのは、「夢の棲む街」、「ムーンゲイト」、「遠近法」、「耶路庭国異聞」、「透明族に関するエスキス」、「遠近法・補遺」、「眠れる美女」、「ゴーレム」。「遠近法」は最高。

  • 執拗な情景描写に圧倒されるが、その分物語の筋は希薄に感じる。頭に浮かんだイメージをそのまま描きたかったのだろうと思うが、そのために読ませるための工夫がおざなりとなっている感が否めない。他者が見た夢の話を聞くのは退屈だ。

  • 2001年3月25日、3刷、並、帯付
    2015年6月11日、伊勢BF、函付

  • 「夢の棲む街」を読んだ時に、閉塞感漂う荒涼とした架空の大地がバロの絵と重なった。舞台が架空の土地でも現代のとある町でも、格調高い文体で綴られる物語は目眩がしそうに幻想的。言葉で描かれる幻想絵のようだが、読みながら物語に沿った旋律が生まれるほどに刺激される。見ているだけでは飽きたらず、いつまでも世界に入って遊んでしまう。

  • なんというか、すごいものを読んでしまった。
    すべての話が目の前に映像が浮かぶような視覚的な文章で書かれていて、幻惑される。ひとつひとつ文体を変えて書いているとのことだけれど、根底に山尾節といっていいのか、一貫したものが流れていて、作者を知らずに読んでも、これは山尾さんの話だとわかるような気がする。
    作品世界は頽廃的なものが多く、透明でふわふわしたものではなく、鉱物的なごつごつとした肌触り。なめらかな絹や天鵞絨だと思っていたら、乾いた血でごわついている部分を見つけてしまったような不安を感じたりもする。

    好きなのは『遠近法』『パラス・アテネ』『ゴーレム』。
    他にも好きなのはあるけれど、とても書ききれない。

    ホント、すごい話に、すごい作家に出会ってしまったと思います。

  • 作者の20代のころの短編集。
    一つ一つの物語がとても緻密な描写で描かれている。どれも違う世界で起きる話しなのに、過去にあったか、今にもどこかで同じことが起こっているかもしれないと思わせるような文章。たしかに幻想的という言葉がふさわしい。ただその分一つ一つの物語を読むのにとても体力がいる。好みの話しじゃないときは目が滑って大変だった。絵画や版画などに構想を得ることがあった作者なので、それらの元ネタを知らないで調べたことも。あと、読めない漢字が多く出てきて読むのに辞書、広辞苑は手放せなかった。それでも読んでいる間はその手間が気にならないくらい夢中だった。もともとSFとかファンタジーが好きだったので夢見るような話は嫌いではなかったのもあるかもしれない。
    「ムーンゲイト」「月蝕」「童話・支那風小夜曲集」「シメールの領地」「ゴーレム」あたりが好き。

  • 幻想に到る病と毒林檎の果てに山尾は何を見るのだろうか?
    いつまでも咲き続けるオーロラと巨人の狭間で何を感じるのか。
    それともゴーレムの生成には処女の生贄が必要なのか。
    いいや、腸詰宇宙には終わりも始まりも無く太陽すらないのだ。
    本格幻想作品は一種のノワールであって博愛主義ではない。
    いっそのこと――トロンプルイユに溺れて死んでみたいけれど、
    流星群の蠢くシークエンスはサイレンとともに点滅する・・・。
    呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛祝福呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛。
    永久機関が止まった日に純度の高いエリクシールが手に入るんだ。

  • 衰退の兆している東方の国を書かせたら、この人の右に出るものはいないという説に頷く。

    「破壊王」のシリーズに分類されるのは、パラス・アテネ 火焔図 夜半楽だったか。
    火焔図(旧字の図)が、たまらなく美しい。

    同じ美しい顔を持ったふたりの若者。
    一方は災いを招くとされる紫の血を持ち、一方は真紅の、通常の血。
    額に捺された罪人の印の焼き印は「華」の一文字。
    入れ替わるための、しかしその入れ替わりすら災いを招くための、騙し。

    滅びかけた都、黄金の刺繍すら瘡蓋(かさぶた)に見える衰退。
    炎の都。

    「ムーンゲイト」の水蛇と銀眼もよかった。
    月の光を浴びて空を舞う種族の美しさ。

    これは、ちょっとずつ、大事に文章を味わって読むがいいね。
    夏の蒸し暑さにも秋の夜長にも冬の凍空にも似合うが、春ではないな。
    ものすごく華美な言葉を使っているわけではないのに、連ねられる文章が美しい。
    うっとりしてしまう。

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山尾悠子作品集成の作品紹介

二十年の眠りから目覚める幻の傑作群。"伝説の作家"山尾悠子が残した幻想文学の極北ともいうべき32篇の小説を一巻に集大成。

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