山尾悠子作品集成

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  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (763ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336042569

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読了後の脱力感が半端ない読書体験。すごいわあ、この言葉から喚起される強靭なイメージの力。全体通して読むと、好きな話とそうでもないのと色々分かれるが、あまり物語性のない方がどちらかといえば好きかも。『遠近法』『遠近法・補遺』はとびぬけて頭クラクラするほどだけど、『繭』『傳説』あたりも、すげぇ、かっこいい!と年甲斐もなく身悶えするほど好みだった。読んでも読んでもどこまでも想像の羽ばたく至福の読書タイムでした。

  • 発刊当初に読んで「これはすごいものを読んだ」とびっくりし、そして10年以上たって再読。初読の感動は記憶の深さに比例し、再読の喜びも同じだった。最初にいいと思ったものがそのままやっぱりいい。固くて冷たい鉱物のようだ。

    ただすっかり記憶から抜けていたいくつかは、完成度なり方向性なりで今回ははっきりと「そうでもない」の箱に入れざるを得ず(軽く書いた耽美系というか少女系というか)、その意味で星は四つ。山尾さんが書けばなんでも!というファンではないことがわかった。

    10年前と変わらない硬質な光を感じるのは、「夢の棲む街」、「ムーンゲイト」、「遠近法」、「耶路庭国異聞」、「透明族に関するエスキス」、「遠近法・補遺」、「眠れる美女」、「ゴーレム」。「遠近法」は最高。

  • 凄すぎる以外に言葉が出ない。
    「夢の棲む街」
    「遠近法」
    この2作をよんだだけでももうそれでよい。
    凄すぎてなんかもうそれで良い。

  • センスオブワンダーの極致。
    文体の女王。

  • 作者の20代のころの短編集。
    一つ一つの物語がとても緻密な描写で描かれている。どれも違う世界で起きる話しなのに、過去にあったか、今にもどこかで同じことが起こっているかもしれないと思わせるような文章。たしかに幻想的という言葉がふさわしい。ただその分一つ一つの物語を読むのにとても体力がいる。好みの話しじゃないときは目が滑って大変だった。絵画や版画などに構想を得ることがあった作者なので、それらの元ネタを知らないで調べたことも。あと、読めない漢字が多く出てきて読むのに辞書、広辞苑は手放せなかった。それでも読んでいる間はその手間が気にならないくらい夢中だった。もともとSFとかファンタジーが好きだったので夢見るような話は嫌いではなかったのもあるかもしれない。
    「ムーンゲイト」「月蝕」「童話・支那風小夜曲集」「シメールの領地」「ゴーレム」あたりが好き。

  • 衰退の兆している東方の国を書かせたら、この人の右に出るものはいないという説に頷く。

    「破壊王」のシリーズに分類されるのは、パラス・アテネ 火焔図 夜半楽だったか。
    火焔図(旧字の図)が、たまらなく美しい。

    同じ美しい顔を持ったふたりの若者。
    一方は災いを招くとされる紫の血を持ち、一方は真紅の、通常の血。
    額に捺された罪人の印の焼き印は「華」の一文字。
    入れ替わるための、しかしその入れ替わりすら災いを招くための、騙し。

    滅びかけた都、黄金の刺繍すら瘡蓋(かさぶた)に見える衰退。
    炎の都。

    「ムーンゲイト」の水蛇と銀眼もよかった。
    月の光を浴びて空を舞う種族の美しさ。

    これは、ちょっとずつ、大事に文章を味わって読むがいいね。
    夏の蒸し暑さにも秋の夜長にも冬の凍空にも似合うが、春ではないな。
    ものすごく華美な言葉を使っているわけではないのに、連ねられる文章が美しい。
    うっとりしてしまう。

  • 美しくも硬質な鉱石のような幻想世界。

  • イメージの奔流に眩暈がします。

  • ぼちぼち読んでいることは読んでいるんですが、何せ、ず〜っと同じトーンのものを読んでいると食傷気味になるっちゃぁなる。

著者プロフィール

山尾悠子(やまお・ゆうこ)
1955年、岡山県生まれ。75年に「仮面舞踏会」(『SFマガジン』早川書房)でデビュー。2018年『飛ぶ孔雀』で泉鏡花賞受賞・芸術選奨文部科学大臣・日本SF大賞を受賞。

「2021年 『須永朝彦小説選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山尾悠子の作品

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