運命ではなく

  • 国書刊行会
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336045201

感想・レビュー・書評

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  • この作品の真価は、異常事態である収容所生活と普通の市井の生活が連続しているかのトーンで描かれることか。あまりに淡々としているし、子供の成長物語でもない。このセンスは結構衝撃的です。
    しかし訳がなぁ、、、あとがきで原文の言い回しのくどさに言及しとるが、それって訳者としての職務放棄じゃないか?と思ったりする。そのままってどうやねん?って突っ込みたくなる。それ位訳文の「酷さ」が目についてちょっと残念。
    それにしてもこの本、何で買ったのかな?その昔。内容は覚えていなくとも買った事実だけは結構覚えとるんですが、この本の経緯はまったく覚えとらんです、、、

  • ナチスの強制収容所を生き抜いたユダヤ人の14歳少年の話。

    ハンガリーのノーベル文学賞作家であるケルテースの処女作。

    ホロコースト文学は私的には初めて(だと思う)。少年の一人称(時には一人称複数)で淡々と語られる強制収容所での生活。終章で新聞記者が言うような「地獄」ではない。もちろん、日常的な暴力により、少年の精神は摩滅し、感情や感覚、生きる気力みたいなのは失われていく。しかし、年齢を偽りガス室行きを逃れる部分があるものの、その他の部分ではナチスの強制収容所も他国のそれとも同じようなものかと思った。他のホロコースト文学を読んだことがないけれど、本作品は異色なのではないだろうか。

    少年は収容所から解放されて、次のようにいう。「僕たちには、当然、乗り越えられないような不可能なことはないし、僕の行く道には何か避けられないわなや幸せが僕を待ち伏せしていることももうわかっている。だって、まだあそこ(アウシュビッツ:引用者注)にいた時ですら、煙突のそば(ガス室と焼却場の煙突のこと:引用者注)にだって、苦悩と苦悩の間には、幸福に似た何かがあったのだから(P277)」人間はしぶとい。

    ☆x3.5

岩崎悦子の作品

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