比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336046758

感想・レビュー・書評

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  • お気楽な貴族バーティーとその執事ジーヴスの周りで繰り広げられるさまざまな問題を、ジーヴスの頭脳ですっきり解決する話。

    ユーモア小説がすっごい好きなんだけど、今まで手を出してこなかった。というのもちょっと前に話題になって、なんか手を出すのもどうかなあ…と天邪鬼精神を発揮してたから。良い子過ぎるユーモアじゃ嫌だなあ、と思ってたのもある。でも読んでみて「ああこれは私の好きなイギリスユーモアだ!」と感じた。皮肉が効いてて、言葉遣いが絶妙で…すっごい面白い。

    語り手は貴族のバーティーで、執事のジーヴスの機転を楽しむのがこの本の読み方ではあると思うけど、私が思うに、この話のキモはジーヴスじゃなくて絶対バーティー・ウースター。彼がこの話を面白くしてる。バーティー、好き!いい人なんだよなあ。教養があるけど抜けてて好き。周りを固めてる脇役もみんな変で好き。言葉の選び方も好み。だって「突っ立ってるだけで使えない人間」のことを「赤血球の吸入器」って言いますか?ウケる。

  • 偉大なる古き善き大英帝国の知性、P・G・ウッドハウスのジーブスもの。上皇后美智子様が、ご公務を離れた後に読みたい本として「ジーヴスも2、3冊、待機しています」と仰られたことでも有名。

    のんべんだらりの生活をこよなく愛する、自他ともに認めるおバカの若主人バーティ・ウースターと、彼が生活の全てを依存する召使のジーヴス。この二人の掛け合いだけでも楽しいのに、いつも厄介ごとを持ち込んできてバーティの私物や金をさも当然のように巻き上げていく大学時代の友人、傍若無人な振る舞いでバーティを翻弄する従兄弟、問答無用でバーティを支配する伯母さんなどが絡むことで、話が一層面白くなる。時折、友人や従兄弟の理不尽さに腹が立つこともあるが、ジーヴスの活躍によって溜飲が下がることもしばしば。

    このシリーズ、話の展開もそうだが、とにかく表現が秀逸で、思い出してはまた笑える。枚挙に暇がないが、いくつか挙げる。以下の表現を読んで、そのおかしさを少しでも感じられたなら、この作品を探して読むだけの努力をするべきだ。

    (恋心を抱く女性が現れた場面で)「ビンゴはポプラの葉のようにぶるぶる震えた。それから男の子が現れると、奴はゼリーのようにふるふると風れた。…(中略)…奴の顔は紅潮し、白いカラーと風に吹きさらされて青くなった鼻とあいまって、他の何よりもフランスの国旗に似ていた」

    (酷い仕打ちに怒り心頭の地主が)「老トレシッダー氏は-僕は彼を責めない-着席したまま、毎秒ごとに、膨張し、鮮やかな紫色に変色していった」

    (錯乱して部屋に飛び込んできた友人の様子を)「実際、奴は何か固いもので太陽神経叢を強打されたような顔つきだった」

    ただ単に「怒り心頭の地主は~」とか「奴は見たことが無いほど取り乱して~」などと書くより、よほどユーモラスで魅力的になる。こういう表現が満載の小説が、面白くないわけがない。

  • 面白い。ウッドハウス最高。
    天才執事ジーヴスとお気楽な金持ち青年バーティのタッグ。そして年中恋しているビンゴ。
    小賢しいステッグルス。
    何度くすっとさせられたか。

    良かった、ウッドハウスは多作だ。まだこの世界に浸かることができる。

  • 英国モノが好きな人、モンティパイソンとか・・・(それはワタシです)にオススメです。
    1巻を読んだだけでわかる、この「水〇黄門」のような、「暴れん〇将軍」のような、要するにある意味安心できるこの感じ。時代劇をちょっとイイナと思っている、そこのアナタ!(笑)おすすめです。
    全巻イッキ読みはしないだろうけど、ちょびちょび読みたい作品ではないでしょうか。
    ジーヴスの執事じゃない時の姿は出てくるのか・・・楽しみです。

  • 英米では知識人にファンが多いという噂のジーヴス本、ついに本邦でも刊行というわけで、読んでみました。

    ジーヴスというのは執事の名前で、これが何でも解決する完璧なスーパー執事。
    常に丁重で礼儀正しく、控えめでありながら〜やる時ゃやる!?

    バーティという主人の方の視点から語られます。
    バーティはお気楽な独身の紳士で、いたって気は良いが特に能はなく、なぜか巻き込まれ体質。
    友達の恋愛沙汰に振り回されたり、難題を押しつけてくる叔母をごまかすのにあたふたとしているのです。

    名コンビの二人ですが、たまに微妙な意地の張り合いが起きるのは、ジーヴスの良識には耐え難い流行の服や小物をバーティが着たがる時…
    些細な事に火花を散らすところもユーモラスで楽しいです。
    それと、余りにも有能なジーヴスばかりを皆が高く評価して頼ってきて、バーティがないがしろにされていると感じる時でしょうか。
    ジーヴスを必要としているバーティをジーヴスは内心可愛がっているというか、ある意味高く評価しているんじゃないでしょうかね?
    ウッドハウスは1902年から作家活動を始めた大変多作なユーモア小説家。
    75年にサーの称号を受けて亡くなったということです。

  • ジーヴス&ウースターシリーズは全部読んだ。最高。

  • 平成最後の皇后陛下お誕生日に際し、美智子皇后が宮内記者会へのご回答にて積ん読を明かされ、一部界隈で話題を呼んだジーヴスシリーズの一作目。(文春文庫は「ジーヴズ」なので国書刊行会のものを積ん読されている、原書を読まれる
    に決まってるでしょといった論争が生まれた。)
     登場人物がとにかく皆個性的で魅力に溢れることもさることながら、ウィットに富んだ内容が抱腹絶倒(惹句)とはいかないまでも面白い。
     主人公バートラム・ウースターに若干の親近感を覚えるとともに、(言葉通りの)独身貴族を(ジーヴスのお陰で)能天気に過ごせる姿には羨望を禁じ得ない。

  • 話題のジーヴスを早速…。オモチローイ。
    ヒュー・グラントで読めばいいのねバーティー。ふむふむ。

  • #国書40th 国書刊行会40周年フェア開催中の某本屋さんで一度ぱら読みした時はこのじわじわくる面白さが分からなかったが、ちゃんと腰を据えて最初から読んでいくと陽気で人のいい主人公バーティーとその完璧な執事ジーヴスの活躍にどんどん引き込まれていく。
    (正確には執事ではないのだけど、訳者あとがきにある「(家僕、従僕という訳語が)いかにも軽々しい」という感覚はよく分からない。私は従僕の方が分かりやすいように思うけど)

    二十世紀初頭のイギリス、もう電話はあり人々の移動には車が使われ、不労所得で暮らす富裕層がまだ存在し、しかしバルカン半島はきな臭くなってきた時代。気ままな独身者として日々遊び暮らすバーティーはたいていビンゴ(愛称。犬の名前っぽいけど人間)が持ち込んでくるやっかいごとに巻き込まれて/あるいは嬉々として飛び込み、のっぴきならない立場に追い込まれるものの、デウス・エクス・マキナのごとく全てを治める「比類なき」ジーヴスのおかげで命拾いをすることになる。

    読んでも読んでも続きがあるシリーズなので、気楽に読んでしばらく楽しめそう。

  • 有能執事とダメ主人が織り成すコメディタッチの小説。もう100年近く前の本ですが、古さを感じさせません。
    ドラえもんとのび太みたいな感じの主従関係がいいですね(笑)
    主人のセンスの良し悪しに関しては、漫画版で言及されているのでそちらもどうぞ。

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