- Amazon.co.jp ・本 (714ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336049391
作品紹介・あらすじ
スコットランド文学の奇才アラスター・グレイの第一長篇にして最高傑作『ラナーク-四巻からなる伝記』は第三巻から始まる。記憶を持たない青年ラナークは退廃の色濃い都市アンサンクを彷徨し、謎にみちた奇怪な施設に収容され、やがて混沌と陰謀の渦巻いた大騒動にまきこまれる…悪夢的幻想世界での冒険を強靱な想像力で描く第三巻・第四巻。そして画家志望の少年ダンカン・ソーの友情と初恋、苦悩と幻滅をリアリズムの手法で瑞々しく描く第一巻・第二巻。二つの異なる世界は仕掛けに富んだ語りで絶妙に絡み合い、物語は鮮烈な黙示録的ヴィジョンをむかえる-SF・ミステリ・ファンタジー・半自伝・ビルドゥングスロマン・メロドラマ・文芸批評・メタフィクション等々あらゆるジャンル・小説形式をミックスした現代の叙事詩、ついに登場。
感想・レビュー・書評
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2012/9/1購入
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よく似た世界音痴系の主人公が2つの世界でそれぞれに苦闘する、二重の物語。厚さと装丁が重たいからゴーメンガースト的なびっちりした本かと想像していたら、かなり読みやすかった。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の場合のように、2つの世界はゆるくつながっている。一方の世界に他方の世界のこだまが響く感じのさじ加減がよい。長編を読むと冗長さに興が冷めることがよくあるけれど、わたしのようなただただ文字を追う読者がこの響きを聞きとるには、この長さ・エピソードの積み重ねが必要だったから。
奇想サイドに魅かれて手に取ったのだけれど、リアルサイドが予想以上のみずみずしさ。ちびっこのいとけなさとかモテない君の悲しみとか、青春期前半の描き方がチャーミングで、しっかり主人公に感情移入してしまった。おかげで後半がつらい。
リアルサイドを真ん中に挟む分、奇想サイドの後半はグロテスクな戯画の様相を強めるけれど、微妙な、ほんのりとした終わり方が「なるほどねー」と感じた。結末については、「まあそれが人生で一番大事かもね」っていうのと、「それだけでいいの?」っていうのと、3対2ぐらい。本全体としては、700ページを存分に楽しめた。 -
SFチックな物語だと思っていたら
とたんにティーンネイジャーの痛々しい青春が繰り広げられと
現実と妄想と世界とがぐちゃっとなっていて
かなり物語の世界にどっぷりと浸かれた
痛々しさも含め面白かった -
吐くほど長い小説が読みたいと思った時におすすめの本。
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登録:2009/04/03 図書館
読了:2009/04/14
妄想そのままの不思議な物語と、誰しも覚えがあるような痛い青春の半自叙伝が合体した小説。分量がすごくてびびったけど、意外や引き込まれました。 -
まだ読んでいません。
どこかに載っていた書評を読んで、読みたくなりました。
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19世紀から20世紀初頭にかけての小説黄金時代の愛や芸術についての青春小説と、カフカ以降の不条理的な世界、そしてポストモダン的メタフィクションを一つの作品の中にすべて詰め込んだ百科全書的小説。20世紀後半に書かれた小説の中でも屈指の出来!