緑のヴェール

  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336050281

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジー三部作の最終巻。
    クレイと共に<彼の地>へと旅立った魔物のミスリックスだったが、途中で旅を続けることを断念してひとりシティの廃墟に戻ったようだ。年月が経ち、ふとクレイのその後が気になった彼は、<彼の地>から採取した水や空気や植物などから旅の続きを幻視する。

    最初のうちは、感情を排したドキュメンタリーのような幻視が少し読みづらかった。でもそこに広がる厳しい自然や過酷な旅の描写から、先の予想がつかない展開に徐々に引き込まれていった。
    それはハラハラドキドキするというより、こんな物語を体験するとは思ってもみなかったというような、スケールの大きさに圧倒されて身動きできないような感じだ。

    幻視の合間にミスリックス自身の今についての話も進んでいく。
    人間らしくウィナウの人々と交流したいという彼の思いが、ここまで強いものだったとは。求めたものをこういう形で手にするというのは、ああー、読み終えて思わず唸ってしまう。
    そういうのも含めてとても壮大な物語だった。

  • 一緒に「彼の地」を目指して旅立ったクレイとミスリックス(と、犬のウッド)しかし次第に魔物としての本能が蘇り始めたミスリックスはそのまま野性に戻ろうと決意した矢先、仲間の魔物から疎外されて自分はやはり魔物に戻れないと悟り、ひとりで理想形態市の廃墟へと戻る。そこで彼は人狼を退治し、美薬の力を借りて、旅を続けているクレイとウッドを幻視する。

    『白い果実』三部作の完結編は、魔物ミスリックスが語り手(書き手)となる。クレイとウッドはさまざまな困難に会いながら旅を続けている。冬にになり雪に閉ざされた洞窟を彷徨ううち、古代の種族の墓所に遭遇、あきらかに身分の高そうな女性のミイラからクレイは小袋のついた首飾りを持ち去り、その後女性の幽霊に悩まされるが、やがて幽霊の指示で小袋の中身の種を植える。その後も洪水に見舞われたり、真紅の鳥を食べて死にかけたりし、全身刺青をした無言の人々に命を救われ、しばらくそこで暮らすことに。

    その間、ひとりで廃墟に暮らすミスリックスのもとに、ウィナウから少女が訪ねてくる。彼女の名はエミリア。かつて川で溺れかけたときにミスリックスに救われた少女だった。この訪問をきっかけに、ウィナウの人々とミスリックスの交流が始まる。クレイが持ち込んだ美薬のせいで壊滅的な打撃をうけたウィナウは再建されており、クレイの手記が発見されたことで、彼とミスリックスの功績を見直す動きがリーダーのフェスキンを中心に起きているが、魔物を毛嫌いする反対派もいる。

    一方クレイは、刺青の人々を「沈黙の民」と呼び共に暮らしていたが、ある晩、村長の妻が踊る姿を見、その晩彼女に夜這いをかけられる。怪しい飲み物のせいで体が動かなくなり、翌朝目覚めたときにはクレイはウッドと共に砂漠に放り出されており、額には青い蛇の刺青をされていた。クレイは絶望するが、オアシスをみつけ旅を続けるうち、かつてアーラの祖父も旅の途中で出会った「緑人」と遭遇。彼はヴァスタシャと名乗り、自分はクレイが植えた種から生まれたこと、緑人とはもともとクレイがみつけた墓所に眠っていた種族が作り出した軍隊だったことなどを教える。

    クレイはヴァスタシャと共に旅をつづけ、ついに古代遺跡パリシャイスに到着。ヴァスタシャは、そこは海から来た尾が魚のO=水人という種族が作ったものだといい、緑人たちの最後の主人=幽霊女性のパニタたちの種族とは戦争をしていた。緑人たちはとても強かったが、Oの開発した特殊なダニにより壊滅させられ、彼らは敗北したという。やがて秋が来て、ヴァスタシャは春の再会を約束して枯れてしまい、クレイは再びウッドと旅を続けるが、海辺でみつけた難破船に、氷漬けにされた本物のアノタインをみつける。しかし船は波にさらわれまた海へと漂い出ていってしまった。

    クレイは冬を越すため、西の帝国からの植民者が暮らす砦を訪問。砦を守るクラスワニ司令官はとても良い人で、クレイとウッドを受け入れてくれるが、実は入植者たちはかつて現地のベシャンティ族を怒らせてしまい、カメレオンのように姿を消せる彼らの刺客=怨霊・レイスにより大勢の兵士や民間人が惨殺されていた。そんな中で夫をレイスに殺された未亡人ウィラ・オルセンが出産、かつて助産師をしていたクレイが赤ん坊をとりあげる。赤ん坊はレイスと名付けられる。

    ウッドの活躍で怨霊の何人かを斃すことに成功するが、敵は何故か赤ん坊をさらってゆく。人質交換として、クレイはブレスデンを連れていく。ビロウの脳内世界で会ったブレスデンもまた実在しており、今は砦の独房にいたのだ。ブレスデンは殺されるが、クレイは「沈黙の民」の刺青によって見逃され、赤ん坊とその母親を連れて砦を出ることになる。司令官と兵士たちは、ベシャンティ族の襲撃をうけ全滅してしまう。司令官も、若い兵士たちも好きだったのでとても悲しい。

    砦を去ったクレイ一行は、しばらくウィラの元の家に暮らしたあと、ベシャンティ族から逃れるため再び旅に出る。その途次で春になり緑人ヴァスタシャと再会、彼によって「彼の地」へ案内され、そこでクレイ、ウィラ、赤ん坊とウッドは本当の家族のように暮らし始める。しかしまたしてもクレイは彼の地を崩壊から救うためにヴァスタシャと旅立つことに。相棒のウッドは赤ん坊を守るために残され、クレイは一人でヴァスタシャと同行。

    ヴァスタシャによると、彼の地を支えていたシリモンという大蛇のような生き物が、水人によって殺されたためにバランスが崩れている。たった一頭残ったシリモンを繁殖させるためには、ヴァスタシャの体に実ったスモモを食べさせなくてはならない。その使命を果たせるのはクレイだけだと言う。クレイはその使命を無事果たすが、なんとここでシリモンに殺されてしまう。ヴァスタシャはこうなることを知っていてクレイを行かせたのであり、この計画には水人も関わっていた。しかしヴァスタシャと水人は、クレイを蘇らせる方法を知っており、それを実行する。

    一方、クレイの物語を幻視し書き進めていたミスリックスは、あろうことかクレイ殺害の容疑をかけられ連行される。ウィナウの、ミスリックスを魔物と嫌う一派が、ミスリックスがウッドとクレイを食い殺したと主張しており、さらにクレイ捜索のため彼の地へ派遣された一隊が、クレイの日記と遺品を持ち帰り、その日記には魔物の本能を取り戻したミスリックスに近いうちに殺されるかもと記されていた。ミスリックスはもちろん無罪を主張、エミリアやフェスキンは彼を信じてくれるが、反証するものがない。ミスリックスを救おうとしたエミリアが偶然みつけた緑のヴェールが逆に決め手となり、ついに彼は裁判で死刑判決を受ける。

    監獄でミスリックスは、クレイのその後を幻視する。クレイは複雑な過程を経て蘇り、無事ウィラと赤ん坊とウッドの待つ家に帰還。幸福に暮らしていたが、ある日、繁殖に成功したシリモンの一匹にウッドが殺されてしまう。ウッド…(涙)そして数年後、意外な人物が一家を訪れる。それは旅人エア。アーラが病で死期が近づいているため、クレイを連れに来たという。クレイは一度は同行するが、途中で思い直し、妻子の元に戻ることにする。そのときエアが告げたのは、実はアーラはすでに亡くなっていること、アーラの遺言で、クレイを連れに行って、彼がもし妻子を選んだら、そのときはじめて「もうとっくに赦している」ということを伝えてほしい言われたと。こうしてクレイは贖罪を終える。

    ミスリックスは処刑を待っている。魔物である彼には、窓を破り逃げ出すことも、看守を殺すことも簡単に出来るけれど、彼は「そうしない」ことで人間性を示す。そもそも獣ならば、人間を殺したとて裁判にかけられることはない。クレイ殺害をミスリックスは認めないが、裁判にかけられその刑を受けることが、彼が魔物ではなく人間であることを示す最後の矜持だった。

    ・・・まさか物語がこんなところへ着地すると思わず呆然。クレイの物語はある意味ハッピーエンドといえるが、問題は、これが事実ではないかもしれない点。証拠の品々がニセモノでないかぎり、ミスリックスは序盤の旅でひとり廃墟に戻る前にクレイとウッドを殺してしまったとしか思えない。やってしまってから理性を取戻し深く後悔したミスリックスがその記憶を封印、贖罪のために別の物語を生み出しただけの可能性も考えられる。だとしたらとても悲しい。しかしいずれにせよ、ミスリックスは人間として処刑されることを選んだ。

    結末はショックだったけれど、三部作ずっと夢中で読めてとても楽しい読書時間でした。完全に別世界にいられた。ジェフリー・フォードは『ガラスの中の少女』しか読んでなかったけど、他の作品も読んでみたい。

  • 『白い果実』から続く3部作。第3部は一連の主人公であるクレイと、人と同等以上の知識を有する魔物、ミスリックスの物語。ミスリックスを観測者として〈彼の地〉でのクレイの冒険譚が書き綴られる一方、あることを切っ掛けに、ミスリックス自身も人として生きるための一歩踏み出そうとする。
    傲慢な一級観相官として登場したクレイは、最終的には思慮深く寡黙な狩人へと変貌したが、それも納得の壮大な冒険であった。〈彼の地〉で出逢う様々な動植物、幻想的な自然環境、特異な部族。それらに翻弄されながらもクレイは贖罪のための楽園への旅を止めることはなかった。もう一度『白い果実』を読み直せば、当初は嫌悪感を覚えずにはいられなかったクレイに愛情を感じることだろう。
    そこに紡がれるクレイの冒険自体がミスリックスの作為的な物語、という可能性もあるにはあるが、たとえそうであっても非常に読み応えのある物語であることには変わりない。

  • 「白い果実」から続いてきた物語が終わって感無量.最後はクレイよりもミスリックスの物語であるとも言える.クレイの彼の地への帰結は果たして真実かミスリックスの妄想か?荒唐無稽なそれでいて哲学的なクレイの遍歴,約束の地への渇望,そしてミスリックスの魔物と人間の間で揺れるアイディンティティー,読み応えのある物語だった.

  • 堂々たるファンタジーである。第一部『白い果実』における理想形態都市(ウェルビルトシティ)、第二部『記憶の書』におけるドラクトン・ビロウの脳内空間、と閉じられた世界をさまようことを義務づけられていた主人公クレイがようやくにして究極のファンタジー空間である<彼の地>へと旅立つ時が来た。旅の道連れは第二部『記憶の書』以来、クレイの良き相棒となった片耳のない黒い犬ウッドだ。動物好きの読者なら、このウッドという道連れが大好きになること間違いなし。

    第二部の終わりで、クレイやウッドと連れ立って<彼の地>へ向かったミスリックスだったが、<彼の地>に長く留まることで、次第に人間的な部分を消失し、魔物の部分に侵食されるという事態が起きる。夜、無意識の理に隣に眠るクレイに襲い掛かり、ウッドに吠えられ、クレイにナイフを突きつけられる仕儀となる。事ここに至っては旅に同行することもかなわない。ついにミスリックスは一人理想形態都市に戻ることになる。

    前二巻の語り手(記録者)と異なり、今回の語り手は魔物でありながら、子どもの頃よりビロウの教育を受け、万感の書を繙いてきたミスリックスである。クレイと別れた後、いったんは魔物の世界に融けこもうとしたミスリックスだったが、人間臭のする彼を魔物は敵とみなし散々な目に遭わされた。人間として生きられる唯一の場所、理想形態都市の廃墟に独居するミスリックスはクレイのその後を案じる。そこで<彼の地>にひと飛びし、羊歯と土、空気と水を持ち帰る。それらからクレイの記憶を蘇らせるのだ。記憶の欠片が立ち上がり、やがて一つの物語を構成し始める。

    三部構成の壮大なファンタジーの完結編である本書は、<彼の地>が擁するクレイの記憶をもとにミスリックスによって紡がれた楽園の死と再生を巡る物語である。今は<彼の地>と距離を置くミスリックスは、実はクレイのその後の足取りを知らない。幼い頃にビロウによって捕えられ、東の帝国に連れてこられたミスリックスは、偶然溺れているところを救ったことから仲よくなった少女エミリアの縁で訪れることになったウィナウの他には、理想形態都市しか知らない。ものに触れればそれが持つ記憶が自分の中に流れ込んでくるという超能力を持つとはいえ、途方もない規模を持つ<彼の地>の年代史ともいえる物語を、現実に見たことのないミスリックスが語るのだ。その意味でミスリックスは「信頼できない語り手」と言えよう。

    前半は、わずかな物しか持たず、ライフル銃と手製の弓矢で狩りをしながら、広大な大地を旅するクレイとウッドの苦難が語られる。せっかく見つけた洞窟の入り口が凍った雪で閉じ込められたり、夜のうちに水かさが増え、河のようになった草地で何日も雨に打たれたり、という冒険続きだ。だが、第一部で第一級観相官として不遜な性情を誇っていたクレイが、筋骨隆々とした狩人に変貌を遂げ、ウッドの助けを借りなながら、どんな苦しい状況に置かれても、困難に耐えつつ歯をくいしばって立ち上がる姿を見て、読者はようやくこの主人公に愛着を抱けるようになった喜びを味わう。主人公を愛せなくて物語が読めるものか。

    もっとも、このクレイの変貌は、語り手が無類の読書家であるミスリックスであることによるのかもしれない。ほとんど無一物と言っていいクレイの持ち物の中に初めのページが破けていて題名も作者も分からない一冊の革表紙の本が何故か紛れ込んでいる。一日の終わりになると、ウッドがそれを読むことをクレイにおねだりをする。読んでやると大人しく聞いていていつの間にか眠るのだ。さっぱり内容の分からない本を読むクレイと嬉しそうにそれを聞くウッド。一日の終わりに心休まる風景である。

    射止めた鳥の血を飲んで窮地に陥ったクレイを救ってくれた刺青を体中に彫り込んだ裸族も、ウッドと同じことを要求した。しかも、読み終えたページを飲み込んでしまうので、しまいには本の中身はなくなってしまう。それでも革表紙だけになった本を加えてきて話をせがむウッドのため、クレイは仕方なく作り話をして聞かせるようになる。第一部や第二部のクレイを知る読者なら、クレイのあまりの変わりように眉に唾をつけたくなるだろう。

    シリーズを通しての作者の立場にしてみれば、さんざっぱら大ぶろしきを広げて見せた物語を、どううまくまとまりのあるものに仕上げるかが問題になる。ミヒャエル・エンデに『はてしない物語』というファンタジーがある。現実世界とファンタージエンという物語世界が並行世界として共存するというアイデアを効果的に使用した一篇だ。子どもの世界から想像力が消え、世界中に<虚無>がはびこり、物語世界であるファンタージエンが崩壊するのを食い止めようと少年が活躍する物語だった。

    二つの異なる世界の出来事を描き分けるのに二色のインクが用いられていた。本書では、ミスリックスのいる現実世界がゴチック体、クレイのいる<彼の地>の出来事を綴るのが明朝体とフォントを変えて描き分けている。第一部『白い果実』で顔を切り刻んでしまったアーラ・ビートンが旅人エアと暮らす真の「ウィナウ」に赴き、アーラの赦しを請うのがクレイにとっての旅の目的である。ところが、旅を続けるにつれ、次第にその目的は変化し始める。

    刺青をした種族や内海の水の中から出てきた種族、西の帝国からやってきた人々を襲う種族、洞窟で見つけた死体とその女が生み出した植物人間<緑人>、クレイがシリモンと名付けたピンク色の怪獣、といった人や獣が想像もできない長い時間をかけて繰り広げてきた<彼の地>をめぐる闘争の歴史がある。その争いの結果、<彼の地>は衰退に向かい始めていた。最後に残ったそれぞれの種族の生きの残りの者たちは、世界の再生の希望を異世界からの闖入者であるクレイに託す。クレイ自身はそれを知らず、唯々アーラの残した緑のヴェールに導かれるように、その役目を果たすのだ。

    その一方で、魔物のことをよく思わない人々は、ミスリックスこそがクレイを殺した犯人であると彼を告発する。魔物となって暴れれば、人間などはひとたまりもないが、それでは、せっかく仲よくなったエミリアを泣かせてしまう。魔物として独り、廃墟となった理想形態都市でこれまで通り暮らしてゆくか、人間界の法に従って裁判を受けるのか、ミスリックスは懊悩する。果たして、人々が言う通り、クレイは魔物の手にかかり殺されたのか。それとも、ミスリックスの書き残した物語通り<彼の地>で楽園に行き着けたのか。

    ファンタジーに異例のミステリー風味を加え、一味ちがった物語に仕立てて見せた作者の手腕にはひとまず拍手を送りたいが、この終わり方に不満を感じる読者もいるだろう。いくつもの伏線が張られており、注意ぶかい読者には見当がつくかもしれない。作者は通常のファンタジーではもの足りないと思ったようだ。第一部、第二部で語り手をつとめたクレイが、何故その役をミスリックスと交代しなければならなかったか、がそのカギを握るといえばヒントになっているだろうか。そういえば、トールキンのホビットをめぐる物語でも語り手は交代していたことを今思い出した。それぞれ単独で読んでも話は完結するように書かれているが、できれば、第一部から順に読まれることをお勧めする。読み切るのにさほど時間はかからない。しかも、読んだ後の充足感は計り知れない。特に第三部は文句なしに面白い。

  • 半分は想像の世界?彼の地?かわからんが、ちょいとしっくりこない終わり方だった
    様々な人物、生き物、世界が出てきて、二冊目よりも想像力をかき立てた

    最後の緑のヴェールが落ちてきたで、やはり彼の地はあるんだと思うようで、、、
    なぜそれが悪い一つの結末になってしまうのか、納得がいかないストーリーでした

    初めから緑のヴェールが、箱に入っていたのか?
    彼の地は夢なのか現実中なのかもよくわからない終わり方

    人間の姿をしていれば許される
    悪魔の姿をしていると許されない的な、、、

    ミリックスが想像した理想の世界がクレイという人物であり、人々から許して欲しいと思う心がアーラへの思いであり、静かな土地で愛する人と過ごしたいという願いが妄想へ?


    う~ん

  • ミスリックスどうなるか心配です。

  • 「白い果実」から続くジェフリー・フォードの3部作の完結編。前2作と同様に素晴らしく独創的な幻想世界を堪能できます。
    クレイと旅を共にする犬のウッドがけなげで…。同時進行するミスリックスの物語ももの悲しい結末を迎えます。果たしてクレイの物語の真実は…?私はミスリックスが<彼の地>の痕跡から辿ったクレイの物語を信じたい。でないと、クレイもミスリックスも救われないよ…。
    クレイはアーラ・ビートンの呪縛から逃れて、遂に安住の地を獲得します。「白い果実」の観相官クレイとはもう別人のように誠実なクレイがそこにはいます。クレイも他の住人も素晴らしい幻想世界も現実世界とリンクさせることができます。自分のことや世界のこと置きかえて読むことも出来るし、懐が深い物語に感服しました。

  • 前作「白い果実」「記憶の書」に続く、ダークファンタジー完結編。震えるほどの豊潤な世界を描いていた前2作に比べると、淡々とした旅人の物語、という印象。とは言うものの、登場する生き物も事物も風景も細部まで表現されていて、地味に、だが確実に心踊る。三部作のまとめという重責を担うには、一種「逃げ」とも感じる、ややありきたりの形態だったことと、訳にもう少し気を利かせて欲しいなあという箇所があったのが残念。

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