朱日記

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著者 : 泉鏡花 中川学
  • 国書刊行会 (2015年4月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336058911

朱日記の感想・レビュー・書評

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  • 鮮やかで幻想的な朱と赤の使い分け。

  • 強風の話や不思議な夢の話でなかなか本題に入らない雑所先生、何だ何だと読み進むうちにもじわじわと潜在意識に語り掛ける火の粉を連想させる朱い物々。知らぬ間にもう始まっていたのだ。艶めかしい男子児童が不思議な女と会ったのも、朱文字の日記の書き始めもちょうど一週間前という符合、もう確実に何かが迫っているのだ。そして火事、これらの不思議と火事の因果関係は分からないが、男子児童が女の加護で火の粉から救われていたのは確かだ。まんじりともしない気分だか、それだけが確かだったと思う。

  • 装丁が素敵すぎる。透かした紙で朱をのせた扉がいい。
    解説を読んでやっと話が掴めました。たしかに、理不尽な災害など自分の力じゃどうにもならない災難に見舞われている現代にこそ、読むべきお話なのかも知れない。

  • 『絵本 化鳥』に続く中川学による泉鏡花絵本。
    ごく短いお話ながら、場面を効果的かつふんだんに絵に起こしているため、実際以上のボリュームで味わえる。基本となる朱と墨の2色が終始映えて、どこか寂しげに物凄い。
    紙がしっかりとしていて適度な重厚感がある。普通のハードカバーより少し大きい程度のサイズ(A5変型判)は「絵本」らしくはないのかもしれないけど、そもそも大人向けと思えばこれは絶妙な落としどころかも。大きすぎず小さすぎず、薄くなく軽くなく。

    雑所先生の語り口が演出する緊張感が良い。はじめはなかなか本題に触れられなかったのが、次第に滔々と流れるようになり、最後には焦りと不安に大いに荒れる。浪吉の語る「姉さん」がどんどん予兆を裏打ちしていくのに、最後まで動けなかった彼がかわいそうで、でも仕方ないとも思えてやりきれない。浪吉の言うとおりにしたところで、火事が防げたわけでもないのだろうけど。
    「姉さん」と赤合羽の坊主の間に何があったのか、判然とせずに終わるのもまた良かった。そもそも雑所先生は例の予兆を偶然垣間見てしまっただけで、事態に関わる役どころとしては端役もいいところなんだろうな。そこがこのお話の面白さでもあると思う。逆に浪吉は、実はもう少し詳しく話をほのめかされて、あるいは察してでもいるのかもしれない。
    語り部になりそこねた源助は惜しかったような、結局雑所先生が足踏みするための人材としてそこにいたような……「人」文字のくだりの心理といい、人間臭くはあった。「緋の法衣」や「城下の寿命」と確信的に言っていたのに、あの直後にどーんと猿の絵だから肝が冷えた。

    絵本で読むのと普通に小説として読むのとでは、だいぶ印象が変わりそう。

  • 絵が綺麗で絵本としてはいいと思います。ただ小説としては他の泉鏡花作品と比べると少しおちるように思います。しりすぼみな終わり方でしたが、謎を謎のままに残したのは意図があってのことなんでしょうか。

  • 鏡花の絢爛華麗な幻想美と、ノスタルジー溢れる和ポップ絵が渾然一体となった文芸絵草紙。朱文字で書かれた日記、少年が握る紅いグミの実、魔人の羽織る赤合羽、城下を焼きつくす紅蓮の炎。あやかしの色彩が乱舞する幻想世界。

  • うーん、冊子にある通り、モノクロと赤なのに、美しい絵でした。
    雑所先生渋くて素敵。
    これからも鏡花作品が絵本化等して広まると良いです。

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朱日記の作品紹介

鏡花の絢爛華麗な幻想美と、ノスタルジー溢れる和ポップ絵が渾然一体となった文芸絵草紙。朱文字で書かれた日記、少年が握る紅いグミの実、魔人の羽織る赤合羽、城下を焼きつくす紅蓮の炎。あやかしの色彩が乱舞する幻想世界。

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