動きの悪魔

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制作 : Stefan Grabi´nski  芝田 文乃 
  • 国書刊行会 (2015年7月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336059291

動きの悪魔の感想・レビュー・書評

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  • ポーランドの怪奇・幻想作家グラビンスキの鉄道怪談集。
    彼が健筆を振るった20世紀初頭は鉄道網が地球を覆い始めた時代で、
    新しいテクノロジーに対する憧憬と希望、
    同時に一抹の不信と、
    その狭間に生じる異様な夢想が織り交ぜられている。
    描かれているのは怪奇というより、
    鉄道そのものに魅入られたマニアたちの狂気であり、
    彼らの暴走によって引き起こされる、
    どす黒いスラップスティックである。
    異常な展開を見せる深夜の情事、
    移動の欲望に取り憑かれて繰り返される無目的な旅、
    不吉な予知夢、
    事故死した美女の凄惨な美貌を記憶し続ける駅長……etc.
    ポオより軽く、ラヴクラフトより能天気で、
    恐怖の隙間に皮肉な笑いが滲むところはグラン=ギニョル的。

  • ポーランドのポー、ポーランドのラヴクラフトと呼ばれるステファン・グラビンスキの鉄道短編集。
    ディケンズの「信号手」を思い出しました。

    怪談と言うより、鉄道(列車)に憑かれた人を描いた作品が多い。
    くどくどしい形容詞や例えは、オカルト的な雰囲気はあるものの、どれも似たような印象を受けて、読み飽きてしまった。

  • ❖鉄道怪談集。収録作を最初から読んでいくと、鉄道ありきの設定であった怪異の主軸が鉄道から離れていくような、そんな傾向の変化するグラディエーションが並びから感じられた。
    傑作集でも好みから作品に対し落差を普通感じるものだけれど、すべて魅力ある作品であった。鉄道(機関車)そのものが見せる慄きよりも、それに憑かれた(磁場に呑み込まれた)人間の妄執・狂気を描いた作品に強く惹かれた。例えば『永遠の乗客』『偽りの警報』『機関士グロット』など。『奇妙な駅』『放浪列車』の話は昔自分も想像したことがあるもので懐かしさを感じた。

  • ポーランドは怪奇小説や恐怖小説の不毛地帯なのだろうか。そんな疑問を抱かせる短篇集である。これで、ポーランドのポオやポーランドのラブクラフトを名のるというのだから。鉄道をモチーフにした奇譚集だが、ほとんどが同工異曲。短篇集に所収の各篇は、一篇、一篇それぞれに他と異なる工夫を凝らすべきである。でなければ、読み継いでいく気が失せる。巻末に置かれた「トンネルのもぐらの寓話」一篇が、他とちがって、あれほど強かった鉄道への愛が冷めつつある心境を反映しているが、それがいちばん心に残るというのも皮肉なことである。

  • 海外の郊外の駅舎。峡谷に伸びるローカル線。トーマスワールド的な(*^v^)
    この手の古典的ホラーはたくさんあるので、馴染み深く、イメージしやすかったです。
    原風景は、国語の教科書に掲載されていた「三人の旅人たち」。さばく駅で働く、スミスさん、ジョーンズさん、ブラウンさんが、それぞれ休暇を取る物語。懐かしいな(*^_^*)
    有栖川有栖さん『赤い月、廃駅の上に』の「密林の奥へ」も大好き。

  • 『ポーランドのポオ、ラヴクラフト』とも呼ばれるグラビンスキの短編集。『訳者あとがき』によると、『ポーランド文学史上ほとんど唯一の恐怖小説ジャンルの古典的作家である』そうだ。あちらではあまりホラーは読まれないのだろうか?
    本書は所謂『鉄道ホラー』の短編集。鉄道は昔からホラーの題材になっていたが、この短編集では、大勢の死者が出る、重大な事故を起こすパターンが多かったように思う。

    余談だが、『訳者あとがき』に掲載された著者とラヴクラフト、言われてみれば確かに雰囲気が似ている……。

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動きの悪魔の作品紹介

〈向こう〉には物理的な目には見えない、人間の貧弱な脳にはわからない新たな世界があると、いつも信じていた――
「ポーランドのポー」「ポーランドのラヴクラフト」の異名をとる、ポーランド随一の恐怖小説作家が描く、幻視と奇想に満ちた鉄道怪談集。鋼鉄の蒸気機関車が有機的生命を得て疾駆する、本邦初訳14の短篇小説。

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