鳥の巣 (DALKEY ARCHIVE)

制作 : 横山茂雄  若島正 
  • 国書刊行会
3.83
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336060594

作品紹介・あらすじ

私のなかで、4人の私のバトルが始まる――
人間心理の奥底にある不安感と恐怖と狂気を巧みにえぐり出す
『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』の
〈孤高の異色作家〉による、古典にして究極の多重人格小説がついに登場!
〈今まで何故訳されていなかったのか不思議に思える傑作〉若島正

エリザベス・リッチモンドは内気でおとなしい23歳、友もなく親もなく、博物館での退屈な仕事を日々こなしながら、偏屈で口うるさい叔母と暮らしていた。ある日、止まらない頭痛と奇妙な行動に悩んだすえ医師の元を訪れる。診療の結果、原因はなんとエリザベスの内にある、彼女の多重人格だった。ベス、ベッツィ、ベティと名付けられた別人格たちは徐々に自己主張をし始め、エリザベスの存在を揺るがしていく……〈孤高の異色作家〉ジャクスンの、研ぎ澄まされた精緻な描写が静かに炸裂する、黒い笑いに満ちた傑作長篇がついに登場!(1954年作)

感想・レビュー・書評

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  • ある日博物館が傾き、それを修復するために穴が開けられた。その博物館に勤務していたエリザベスは、その穴と呼応するかのように心身のバランスを崩してゆく。やがて姿を明らかにしていく、エリザベスの別人格たち。それに悩まされる叔母と、彼女を治療しようとする医師。不安感が漂い、しかしどこかしらユーモラスさもある作品です。
    神経質で臆病なエリザベス、素直でおとなしいべス、乱暴でわがままなベッツィ、そして狡猾さを感じさせられるベティ。それぞれの人格が入れ代わり立ち代わり現れるのだけれど、口調や言動でだいたいどの人格かが察せられるんですよね。そして、それに騙されたりもしてしまいます。登場人物自体は少ない作品なのだけれど、「人格」それぞれを勘定に入れるとそんなことは全然感じさせられませんでした。扱いは厄介だけれど、ベッツィの人格はなんだか可愛いなあ。マザーグースの引用が多いのも、個人的に好きなポイントです。

  • 多重人格小説の皮切りともいえる作品
    うーん、冷ややかで淡々とした雰囲気だ…リアルだけどリアルじゃない、みたいな…

  • 面白かった。書かれたのが1954年のせいか、猥雑になりそうな多重人格ものがシンプルに濃く、読者の求めてる読みたいものを表現出来てると思った。同居のおばさんと精神科医が非常に人間臭くて良かった。こういう場合、本人より周りの人間が大変というのを忘れがち。変に湿っぽくなくて良かった。病気にかかった時にあの時こうしてれば、などと思うこともあるが、実際は何もできないのさ。受け入れるしかないのさ。まさか自分が追い詰めてるなんぞ、間違っても考えないのさ。

  • 多重人格から主人公や周りの人々の闇が浮かび上がる作品。単なる後味の悪さだけでなく余韻が残る作品です。 主人公、リッチモンドは内気でおとなしい性格の博物館職員。ある日出勤すると職場に大きな穴が開いていました。そこから頭痛と奇妙な行動に悩まされるようになり、精神科医のもとに受診します。そこで彼女には別人格があると発覚するのです。 それぞれの人格はキャラクターが立っており、主張も異なります。精神科医もそれぞれに好意や嫌悪を抱きます。そんな関係性の変化は楽しく、魅力的なおぞましささえ感じてしまいます。

  • 2018/5/16購入
    2019/10/7読了

  • 読書日:2017年1月30日-2月5日
    Original title:The Bird's Neat.
    Author:Shirley Hardie Jackson.

    一つの身体に四人の人格が存在する女性の話です。
    これを読み初めて直ぐ感じた事はU.Sでの実話、Sybilの事を思い出しました。
    彼女も一つの身体に十四人の人格者が居て、一人に統合して行きます。

    さて、今回はElizabeth Richmondの話です。
    彼女の名前を基軸としElizabeth,Beth,Bets,Bettyの四人の人格者が居ます。

    叔母の薦めで専門家Light医師との交流で、彼女には四人の人格者が居る事が判明します。
    それが明らかになるにつれ、彼女の事を怖いと思う事もありましたが、
    物語の最後の方でMorgan叔母にも精神異常が見られ、彼女以上に恐怖を抱きました。

    躍動感があるので、読み応えは十二分にあります。

  • 多重人格ものの嚆矢とのこと。
    登場人物が少なく、心理サスペンスものとしての緊迫感が良かった。

  • もちろんまだビリー・ミリガンも現れていない50年代に、こんな多重人格小説を物していたとは、知らなんだ。
    ぐるぐるとした不安と危うさ、独特の「イヤ〜な感じ」は、期待通りの紛れもないシャーリイ・ジャクスン。

  • 『ドーキー・アーカイヴ』第3弾。本当はこれだけ買うつもりだったw
    シャーリイ・ジャクスンの長編第3作、本邦初訳作。
    多重人格もののサスペンスは今でこそ様々な作品が書かれているが、本書が発表された1954年はかなり新鮮な題材だったことが窺える。しかし初訳だとは思わなかった。ホント、なんでこれが邦訳されていなかったのだろう? 創元辺りからとっくに出ていても不思議ではないと思う……。

  • 発売日 2016/11/25
    判型 四六変型判 ISBN 978-4-336-06059-4
    ページ数 374 頁 Cコード 0397
    定価 2,592円 (本体価格2,400円)

    私のなかで、4人の私のバトルが始まる――
    人間心理の奥底にある不安感と恐怖と狂気を巧みにえぐり出す『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』の〈孤高の異色作家〉による、古典にして究極の多重人格小説がついに登場!
    〈今まで何故訳されていなかったのか不思議に思える傑作〉若島正

     エリザベス・リッチモンドは内気でおとなしい23歳、友もなく親もなく、博物館での退屈な仕事を日々こなしながら、偏屈で口うるさい叔母と暮らしていた。ある日、止まらない頭痛と奇妙な行動に悩んだすえ医師の元を訪れる。診療の結果、原因はなんとエリザベスの内にある、彼女の多重人格だった。ベス、ベッツィ、ベティと名付けられた別人格たちは徐々に自己主張をし始め、エリザベスの存在を揺るがしていく……〈孤高の異色作家〉ジャクスンの、研ぎ澄まされた精緻な描写が静かに炸裂する、黒い笑いに満ちた傑作長篇がついに登場!(1954年作)<http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336060594/

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