狂気の巡礼

  • 104人登録
  • 3.75評価
    • (4)
    • (1)
    • (7)
    • (0)
    • (0)
  • 7レビュー
制作 : 芝田文乃 
  • 国書刊行会 (2016年9月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336060747

狂気の巡礼の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 好:「サトゥルニン・セクトル」

  • 100年前のポーランドにこういう作家がいたのか。それがこうして美しい翻訳で現代に紹介されるとは日本翻訳大賞に選考されるにふさわしい。
    一言で言うとゴシックホラー。耽美で狂気に満ちた怪奇小説だ。後書きによると「ポーランドのラヴクラフト」だそうだがラヴクラフトを読んだことがなく、一番わかりやすい例えはポーだ。
    特筆すべきは装丁の美しさ。カバー、バラの写真を使った中扉、本文の紙質までこだわりを感じる。

  • 【分類】989.83/G75
    文学のコーナーに並んでいます。

  • いまいちかな。

  • 『けれどもヴジェツキの目に映っだ問題はいささか異なっていた。彼は最大傾斜点の選択において、ある種の様式を認識できるようになった。配列に偶然以上の何かが見えた』―『接線に沿って』

    計算された狂気は驚きを産むことあっても深い戦慄を引き出すことは希だ。狂気の行く末を按じて恐ろしいと思うには、先の見えない行動様式の不定が必要であるのた。例えば一気に高速で上下動を繰り返されても、それが頑丈な枠組みの軌道を辿るだけならばほとんど危険の無い。そのことを理解していればこそ人々はそれに乗車するために列をなすのだろう。左右に揺さぶられて大きな声を上げたとしてもそれを恐怖にかられて上げた悲鳴であると受け取る必要すらないのだ。その対極に、ステファン・クラビンスキの描き出すものは、そのような用意されたお化け屋敷じみたものではなく、着地点の見えないままに軌道から放り出された貨車に乗せられた状態の作り出す本物の恐怖が呼び覚まされる。

    時間の枠外にはみ出ることは空想科学小説的にはよくある話だと思うし、とある場所に思念が巣食う話も怪談話としては珍しくない。それだのにクラビンスキの書くものから冷気のようなものを感じるのは、その移動や場所のもたらす曖昧な違和感ではなく、背後にある先の知れぬ狂気の気配のせいなのだと思う。それを凡庸なる頭脳には敢えて覆い隠されている闇の存在と言ってみることも出来よう。それが真の恐怖を呼び起こすのは、その闇からどれだけ離れようとも安全であることが保証されぬというということが事実であろうことが予感されるからだ。何故ならそれは誰しもが持っている暗黒の存在であるから。自分自身の中に巣食うどろどろとした想い。そんなものをその物語が指し示すからだと思うのだ。一旦、その存在に気付いてしまうと、それは自意識の制御を無視し独自の意思を持った存在であるかのように振る舞う。そして、そのことのもたらす恐怖を拭い去ることが出来なくなってしまう。クラビンスキの描く物語は、キューブリックのシャイニングをどこまでも彷彿とさせる本。

  • 日本独自編集の短編集。
    帯に『ポーランドのラヴクラフト』とある。確かに『孤高の怪奇小説作家』というイメージは共通しているかもしれない。
    SF要素が含まれつつも正統派の怪奇小説の香りも濃いという独特の作風を堪能。造本も凝ってて所有欲が満たされるw 国書の本は手触りが良くていいね。

全7件中 1 - 7件を表示

ステファン・グラビンスキの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊藤 計劃
スティーヴン・ミ...
ウンベルト・エー...
冲方 丁
ステファン グラ...
ポール オースタ...
宮下 奈都
アンナ・カヴァン
山尾 悠子
ジョン・ウィリア...
ウンベルト エー...
イバン・レピラ
村田 沙耶香
有効な右矢印 無効な右矢印

狂気の巡礼を本棚に「読みたい」で登録しているひと

狂気の巡礼の作品紹介

日常に侵された脳髄を搔きくすぐる、名状しがたい幻視と惑乱。冥境から降り来たる歪形の奇想。ありふれた想像を凌駕する超越的感覚と神経症的筆致で描く14の短篇。〈ポーランドのラヴクラフト〉による類なき怪奇幻想小説、待望の邦訳。

壁が包囲する入口のない庭園。漂う薔薇の芳香には、ある特別な《におい》が混じっていた。「薔薇の丘にて」
神経科医のもとへ診察を受けに訪れた精神病理学者の妻。彼女が打ち明けた夫の驚くべき秘密とは?「チェラヴァの問題」
筆を折り蟄居する作家を見つめる無人の向かい家からの不穏な視線。著者の自画像ともいうべき怪作。「領域」

装幀:小林剛 装画:榮真菜

ツイートする