- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784337208018
感想・レビュー・書評
-
キリスト教徒の父親が治安維持法により、逮捕されてしまう中で、残された少年が何を思い、激しくなっていく戦時中の教育の中で何を考えるようになっていくか、明らかに「あの戦争のなか」にいたことが、素直に語られていたと思う。
クリスチャンとしての思想的なことは、なかなかシンクロしにくかったが、それ以外の日常描写などはリアル。朝鮮人のくだりが、なかなか複雑だった。
「わしの国にしたことを、今度はアメリカが(日本に)するんじゃ。ざまあみろ」
そういったことを、いったい、今の日本人の誰が知るだろう?
そして、そのことを日本は他国に対し、真摯に謝罪しただろうか?
日本は確かに敗戦国で、原爆においては被爆国であり、被害者でもあるかもしれない。市民は兵士ではなく、武器を持った者ではないのだから、無抵抗な市民に対する攻撃は人道的に問題があった。それも確かではあるが。
でも、その原因をつくり、引き金を引くきっかけをつくったのは誰なのか。
避ける道はなかったのか。その声を、いったい誰が上げただろうか?
もっと考えてみる必要があるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フォトリーディング&高速リーディング。
積ん読になっていた者を年末の読書量調節のために慌てて読了。 -
クリスチャンの父が治安維持法により広島刑務所に入れられることになり、母と兄弟2人は、母の実家へと疎開を余儀なくされました。
日本は勝つと信じて疑わない人。
一億層玉砕を説く大人。
「ヤソ」とキリスト教を差別弾圧する地域の人。
頑張れと励ましてくれる大人。
戦争という極限状態において、何を自分の信念とするか。主人公の小学生目線で、戦争の不思議さや、人の不思議さ、怒りや悲しさや憤りが語られます。読みやすく、考えさせられる本でした。
母とおばあちゃんがかっこいいです。