オキクルミのぼうけん (アイヌの民話絵本)

著者 :
  • 小峰書店
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  • / ISBN・EAN: 9784338010153

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  • アイヌに伝わる昔話を探していてめぐりあったもの。
    アイヌ文化の伝承者であり研究者でもある萱野茂さんによるテキストに、斎藤博之さんが勇壮な雰囲気の挿絵を添えている。
    言わば「アイヌの国のはじまり」物語なのだが、日本の昔話とは違うスケールの大きさがある。

    オキクルミというのは神の国に住む、かなり男前の神様。
    アイヌの人々に生活のすべてを教え、導き、守り、そして再び神の国に帰るというまでの物語。
    しかも、アイヌに行くために受けねばならない三つの試練というのが、大変な無理難題。
    言わば艱難辛苦に耐えてまでも伝えたかったこととは・・

    墨の濃淡を生かしたアウトラインを描き、その後渋めの彩色を施してあるのだが、その挿絵のダイナミックで美しいとことに驚いてしまう。
    何かに似ていると思いながら読んでいて、読後はたと思い当たった。
    これは、郷里の山車の上に乗っている人形たちに瓜二つなのだ。どおりで懐かしいはずだわ。

    今回発見したことのひとつ。図書館にはかなりの数のアイヌ関連の蔵書があるということ。
    アイヌ語を流暢に語れる人は今や3人から5人くらいしか存在しないらしい。
    口語訳ではあっても、こうして文化の一端に触れることが出来るのは幸せかもしれない。
    余談だが、萱野さんはアイヌ民族として国会議員を4年間務めたこともあるという。
    約16分。低学年から。

  • 「この世に人間が生まれたばかりの頃、アイヌに生活のすべてを教えてくれたのはオキクルミの神だった。アイヌ語で語られたウパシクマ(故事来歴)を題材にした勇壮な絵本。1975年刊の新装版。」

  • 「この物語は、アイヌ語で語られたウパシクマ(故事来歴)を現代の日本語に直し、さらに絵本の文章にするため手を加えたものです。」(この絵本について)

    アイヌに伝わる伝承のひとつ(神オキクルミが神の国からやってきてアイヌの人たちに物事を教え、最後に帰っていったという話)で、わかりやすく、臨場感あふれる絵も素晴らしい絵本。神々がとても人間に近くて親近感まで持てました。

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著者プロフィール

1926─2006年。北海道生まれ。アイヌ文化研究者。学術博士。長年アイヌの民具や伝承を精力的に収集・記録し、1972年には二風谷アイヌ文化資料館を開設、館長を務める。1994年、アイヌ出身者としてはじめて国会議員となり、北海道旧土人保護法撤廃・アイヌ文化振興法制定などに尽力。主な著書に、『ウエペケレ集大成』(アルドオ、菊池寛賞)、『萱野茂のアイヌ神話集成』(ビクターエンタテインメント、毎日出版文化賞)、『萱野茂のアイヌ語辞典』(三省堂)がある。

「2017年 『アイヌ歳時記 二風谷のくらしと心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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