木ぼりのオオカミ (アイヌの民話)

著者 :
  • 小峰書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338010160

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  • 萱野茂さんと斉藤博之さんのコンビによる「オキクルミ」のシリーズ。
    98年版だから、これが最終話かしら。
    地元の図書館には全3冊のオキクルミ民話が置いてあったのだが、もしこの他にもオキクルミの登場するお話をどなたかご存じだったらぜひ教えて欲しいところ。

    タイトルになっている「木ぼりのオオカミ」だが、土産物のひとつとしてアイヌの木工品を何となく見て来た私には、非常に心に残るものになった。
    良い心を持ったひとに心を込めて作ってもらったものには、ちゃんと作り手の精神が宿って、お守りとしての役目を果たしてくれるものなのね。
    登場人物のひとりである女性を、お守りにしている木ぼりのオオカミが守ってくれるというお話で、モノにも魂が宿ると考えるアイヌならでは感動的なもの。

    ではなぜ、その女性を守らざるを得なかったかと言うと、女性に恋をしたクマが家にやって来るのを、お守りのオオカミが身を挺して防いだから。
    この両者の闘いの場面の迫力が、まぁすごいこと。
    斉藤博之さんの筆致はますます冴えて、息もつかせぬほどの激しい勢いがある。
    叶わぬ恋に身を焦がしたあげく、主人公の若者の矢に射抜かれて死んでしまうクマが哀れ。
    でもその後若者の夢に現れたクマが話したことは・・

    良くないことをしたクマでも、魂を丁寧に神の国へ帰そうとするのがアイヌならでは結末。
    この後はたぶん「ひまなこなべ」の描写のようだったことだろう。
    自然や生き物のみでなく、周りのすべてのものと共存して生きてきたアイヌの人々の生き方が強く現れたお話。
    クマが人間的で、しかもちゃんと罰を受けるという部分も新鮮だった。
    約13分。低学年から。

  • 「アイヌの人々は自分で作った四つ足で頭のあるものは魂が入っていると信じ、お守りにして肌身離さず持っているものだった。不思議な木彫りのオオカミのウエペケレ(民話)を題材にした力強い画風の絵本。1976年刊の新装版。」

  • 四足の作った人形には魂が宿るとされていたとか。

    人間に恋したクマの神様が引き起こした事件。

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著者プロフィール

1926─2006年。北海道生まれ。アイヌ文化研究者。学術博士。長年アイヌの民具や伝承を精力的に収集・記録し、1972年には二風谷アイヌ文化資料館を開設、館長を務める。1994年、アイヌ出身者としてはじめて国会議員となり、北海道旧土人保護法撤廃・アイヌ文化振興法制定などに尽力。主な著書に、『ウエペケレ集大成』(アルドオ、菊池寛賞)、『萱野茂のアイヌ神話集成』(ビクターエンタテインメント、毎日出版文化賞)、『萱野茂のアイヌ語辞典』(三省堂)がある。

「2017年 『アイヌ歳時記 二風谷のくらしと心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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