ヒガンバナのひみつ (かこさとし大自然のふしぎえほん 3)

著者 :
  • 小峰書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338161039

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  • かこさとし著『ヒガンバナのひみつーかこさとし大自然のふしぎえほん3』(小峰書店)
    1999.9.22第1刷発行

    2022.1.7読了
     ヒガンバナの絵本としては、ほかに福音館書店から甲斐信枝作『ひがんばな』が出版されている。「かがくのとも傑作集」として1977年9月に絵本として刊行されており、あるいは甲斐信枝氏の絵本の方が有名かもしれない。全文ひらがなで書かれていて、とにかく絵が美しい。

     こちらの加古里子氏の作品は、ヒガンバナが持つ沢山の名前の由来について焦点を当てた内容になっており、小学校低学年向けに描かれている。

     『日本方言大辞典』(徳川宗賢ほか編)や『日本植物方言集(草本類編)』(日本植物の会編)などを参考に収集した多くの方言について、その由来を物語形式にして語っている。

     最初は、仏様に供える綺麗で色んな花遊びができる良い花だったのに、次第に毒があることが判明したり、ジゴクバナと呼ばれていることが分かったりして、ヒガンバナへの印象が目まぐるしく変化し、子どもたちは右往左往する。その様子は何とも愛らしい。
     ところが、植木屋のおじさんから薬として重宝されていた話やおばあちゃんから飢饉の際の非常食として食べられていた話を聞き、人々に愛されてきたからこそ、沢山の名前が付けられてきたことを知る。
     最後は、ジゴクバナという名前にも意味があることを知り、本当の意味でヒガンバナが好きになる。

     身近に咲いている花の名前から、ヒガンバナと人間の関わりや歴史を知る。

     調べもの学習の見本のような出来映えで、とても興味深く読んだ。

    ※27頁に小田切春江『凶荒図録』による天明の飢饉の様子が模写されている。『凶荒図録』を確認すると、巻末に「救荒草木一覧」と「有毒草木一覧」が掲載されており、ヒガンバナは「シタマガリ(石蒜)」として有毒草木一覧にリストアップされている。同書によれば、ヒガンバナは「右の種類は草木中最も大毒あれば決して食すべからざるものなり誤りて食すれば死に至るべし」とのことである。

    『凶荒図録』は「河本家住宅保存会・手錢記念館・島根大学附属図書館/山陰地域史資料アーカイブ」で閲覧可能。
    https://trc-adeac.trc.co.jp/WJ11F0/WJJS07U/3290515100/3290515100200010/mp002980

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「生き物・自然」で紹介された本。

  • 彼岸の頃にいつの間にか伸びてきて、おどろおどろしい花をつける…
    そんなヒガンバナには秘密がいっぱい。

    その土地土地で呼ばれ方も違い、この本の中で紹介されているだけでも600種類を超えていることには本当に驚いた。
    決して難しい図鑑のようではなく、かこさとしさんの親しみやすい絵と、テーマごとに物語仕立てになっているあたりは、こどもも大人も楽しめる。

    ドクバナ、ジゴクバナ、そんな恐ろしいネーミングの裏には隠された秘密が。
    この季節にぜひ読んでみたい1冊。


    ※あとがきにこの本の本当の秘密があるように思えます。
    かこさとしさんの温かさが存分に詰まっています。

  • 地方によって、いや同一地方でも、色々な呼び名のあるヒガンバナ。
    どうしてそのように色々な名前で呼ばれているのかを解き明かす本。
    彼岸の頃に咲くから云々、歳時記的な言い伝えしか知らなかったので、有毒植物かつ救荒植物であることや、昔の子供の遊びの理由など、たいへん興味深い内容だった。
    地味だけど一度は読んで欲しい1冊である。

  • ヒガンバナって、こんなに奥深いのかと思いました。

    全国での呼称一覧などもあって、面白いです。

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著者プロフィール

かこさとし:1926年福井県武生市(現越前市)生まれ。大学卒業後、民間企業の研究所に勤務しながらセツルメント運動、児童会活動に従事。1973年退社後、作家活動、児童文化の研究、大学講師などに従事。作品は500点以上。代表作として「からすのパンやさん」「どろぼうがっこう」(偕成社)「だるまちゃん」のシリーズ(福音館書店)、「こどもの行事しぜんと生活」シリーズ(小峰書店)などがある。

「2021年 『かこさとしと紙芝居』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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