ノーラ、12歳の秋 (文学の森)

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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338174077

作品紹介・あらすじ

夏休みがおわり、新学期がはじまった。ひさしぶりに学校にいったノーラは、幼なじみで親友のサビーナがファニーと仲よくしているのをみて、とまどう。クラスの中で浮いてしまったノーラに近づいてきたのは、だれからも相手にされない、くそまじめなカーリン。-そして、ゲームがはじまった。現代を生きる女の子たちの姿を等身大で描く心に響く物語。

感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り、主人公ノーラは12歳。
    秋、水ぼうそうで遅れて新年度の学校に戻ると、保育園からの親友だったサビーナがファニーとつるんでいる。
    そしてノーラのそばには、クラスでみんなに嫌われているカーリンがいた。

    この年齢の女の子の心の動きはほんとうに残酷で、苦しい。
    もう二度とこの年齢には戻りたくないと、心から思いながら、苦しく読んだ。

    どうしてこの年齢のころにはひとりでいられないのだろう。
    悪いとわかっていることを友達と一緒にいたいというだけで、できちゃうんだろう。
    学校という場でひとりになることの恐怖ははかりしれない。
    だからいじめられている子は死のうと思ってしまうのかもしれない。

    でも、一歩学校から離れると世界は広いのだから。

    ノーラの母親の描かれ方が最後までハラハラさせられたが、他の母親と違っていて救われた。だからノーラも立ち直れるだろうし、きちんと育つだろうと思われる。

    子どもはやはり一人では育たない。

    アニカ・トールは、『ステフィとネッリの物語』ですっかりはまってしまって、これも読みたいと思ったのだけれど~現代の少女を描くのもうますぎて、読みやすいのだけれど、つらくなった。
    実は日本で訳されたのはこちらが先。

    12歳の少女がこの本をどう読むのか知りたい。

  • アニカ・トールの本は、「ステフィとネッリの物語」で知りましたが、この本が日本で紹介された1冊目だったのですね。
    日本の12歳に重ねるには、ちょっと違和感がありますが、思春期の子ども達の友情や裏切り、様々な葛藤にはため息が出ました。友達とのすれ違いで、似たような気持ちになったことがあったなぁと、きゅっと心を掴まれた気分です。
    主人公ノーラの母親は、決して優秀な母親なイメージはないけれど、最後にノーラの全てを受け入れたであろう部分で、ほっとさせてくれる母親でした。教科書どおりではなくても、この先ノーラは正しく生きられると予感されるラストは、読後感をすっきりさせてくれました。

  • この本のいじめられっ子はダサくてまじめで空気読めないタイプ。先生からは信頼されている。(だからますますいじめられる)運動神経も鈍い。
    私も鈍くて、球技のときは球が来ない場所に逃げていた(来たら相手チームに奪われる率100%だから)ので、このいじめられっ子の気持ち、そこの部分は特によくわかった。文章は主人公ノーラ(スポーツは得意)の目線で描かれているので、できる人のいらつく気持ちが自分に向けられている気がした。
    それにしても、この小説に出てくる女の子たちって、みんな家庭に問題アリで、いじめっ子のサビーナのうちは、貧しい上に崩壊状態、ファニーのうちは金持ちだけど、子どもはほったらかし。いじめられっ子カーリンのうちは厳格で、父親が絶対的な支配者。一番まともなのがシングルマザーで恋人に夢中な母を持つノーラのうちなんだから。
    これじゃ娘たちの性的目覚めが早くても仕方ないって感じ。
    日本の小学6年生は、さすがにここまでの子はあんまりいないんじゃないか。
    読ませるなら、中学以上がいいと思う。
    安易な解決を与えていないところは、誠意をもって書かれたいじめの小説に共通している。

  • スウェーデンで1997年に10歳ー12歳の子どもの投票で一番面白いと選ばれた本。映画化も。

    読み終わったあともモヤモヤした気持ちが残ってしばらく寝付けなかった。
    主人公のノーラに対して苛々したけど、当時の12歳の自分だったらどうしていただろうということを想像したら同様に嫌な人間になっていたであろうというのが想像に難くなくて、そんな自分に対してもモヤモヤした。きっと今の自分と、子どもの時の自分の取る行動、考え方、余裕は格段に違う。
    大人になっても成長していることもあるし、変わらないこともある。
    親の恋愛が奔放なのはさすが北欧だけど、子どもにあまり良い影響は与えないと思うのだ。それはやはりそのようだ。

    作者のアニカ・トールさんは図書館員をしていたこともあるとの言及が著者プロフィールにあり親近感。

  • 04.05.12

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