カメレオンを飼いたい! (Green Books)

著者 :
  • 小峰書店
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本棚登録 : 27
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338250047

作品紹介・あらすじ

とにかく、まわりの注目を浴びたくなくて、ぼくはできるだけ自己主張せず、どんどん内向して、無愛想になった…。でも、だれかとこうしてつながっている。一人じゃないんだ。

感想・レビュー・書評

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  • (No.13-34) 児童書です。

    『中学生の僕(安西逸樹)の夢はカメレオンを飼うこと。でも一度冗談めかして言ってみたら、ばーちゃんに「得体も知れない爬虫類を飼うなんてぜったい許しません!」と言い切られてしまったのでおとなしく引き下がった。なぜカメレオンに惹かれるのか?それはきっと僕が目立つことが嫌いだから。

    父は演劇の舞台の演出家。無名時代に僕を生んで離婚して出て行った母は、いまや華やかな美貌の有名女優。
    父の影響で年のわりに語彙が豊富なのでうっかり「オヤジみたいな口」をきいてしまうことがあるので、フツーの中学生らしく見えるように注意している。
    母に似ていて目立つ容姿。小学生の時には僕をひいきする女の先生がいたり、女の子が僕を取り合って修羅場になったり。
    だから中学は電車で30分かかる私立を選び、視力はそんなに悪くないけど黒縁眼鏡でダサさを演出、平穏で健全な生活を守ろうと日々努力しているのだ。

    それなのにクラスの可愛い子・原島絵里花が最近僕に興味を示してきた。原島に好意を持っているクラス一勉強が出来るけれど浮いている斉藤義邦が、まず僕と友達になれば原島と付き合えるかもという思惑でクラスの班を決めるときに強引に誘ってきて、気がつけば原島の友人三井亜美と4人の班が出来上がっていた。

    常にポジティブ思考の斉藤、女の魅力を振りまいている原島、地味かと思ったら演劇に強い思い入れがある三井、によって僕の平穏な日々は崩壊していく。』

    「僕」は凡人にあこがれているけど勉強も容姿も平均よりかなり上なので、どうしてもそれがにじみ出ています。何でそんなに平凡にこだわるのかといえば、やっぱり自分を捨てて華やかに活躍している母のことが引っかかっているからでしょう。
    あまりにポジティブなのでクラスでズレてしまう斉藤に引きずられ、いつの間にか自分を解放していく過程が気持ち良かったです。
    女の子二人も添え物ではなく、誤解や諍いを経験しながら成長していく姿がちゃんと書かれていました。

    眼鏡を取ればあららかっこいい男の子!っていう、ありがちなお話ですが、とても楽しく読みました。
    カメレオンに憧れていた本当の理由に気がついた僕、良いなあ。

  • 女優の隠し子である逸樹は、地味に生きるため外見を眼鏡で隠して中学校で潜んで生きている。しかし、「親友」ができたり、文化祭で中心人物に祭り上げられちゃったり……。年に一回だけ会う母親を「レイコ」と呼び、丁寧語で遠ざけようとするけれど、なかなかうまくいかない逸樹くん。やっぱりすげーイケメンなんだろうなあ。でも本人はその外見がコンプレックスで、常に地味に地味に!を心掛けている。でも外から、自分の今まで受けてきた教育からつい口を出しちゃったり。おばあちゃんはすごく彼を可愛がってるんだろうなあ……。面白かったです。

  • 再読。

  • 文章のテンポがとても良かった!
    安西くんと斉藤くんのやりとりが好きだ。


    私も青春青春した感じが苦手だったので(笑)
    安西くんの気持ちはちょっと分かるな。

  • 松本祐子さんの話、好きです!ジャンルが今と違う頃から追っかけてるけど、はずしたことがないです。
    擬態する少年の話。擬態は周囲から隠れるためのものなのか…それとも?
    安西くん、あなたイイ子です。

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著者プロフィール

松本 祐子
早稲田大学第一文学部英文科卒業、日本女子大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程満期退学。聖学院大学・児童学科教授。児童文学作家。
1992年、ティーンズ向けの小説『虹色のリデル』(早川書房)を上梓。以後、ティーンズ向けのレーベルで作品を発表するが、児童文学に路線変更し、2002年刊『リューンノールの庭』(小峰書店)で、第1回日本児童文学者協会・長編児童文学新人賞、第19回うつのみやこども賞を受賞。

「2016年 『魔女は真昼に夢を織る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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